日本台湾交流協会台北事務所の片山和之(かたやま・かずゆき)代表は、上海総領事やペルー大使を歴任後の2023年10月に外務省を退職し、11月に代表(駐台湾日本大使に相当)として台湾に赴任してきた。
本会では赴任直後の2024年1月の李登輝学校研修団で片山代表を講師にお招きし「台湾に着任して思うこと」と題して講義していただいたのが最初で、以来、研修団のたびにご講義いただいている。
昨年11月の研修団では、赴任して満2年を迎えたことから「日台交流の問題点」としてお話しいただいた。
片山代表の講義の要点は本誌11月10日号でも紹介しているが、改めて紹介してみたい。
片山大使はまず1)自由、民主、法の支配など日本と価値観を共有する、2)台湾はインド太平洋の要衝、3)半導体などハイテク製品の世界的生産拠点の3点から台湾の重要性について述べ、その後、10項目にわたって日台交流の問題点について解説。
例えば、日台間の往来が台湾から日本へは年間604万人に対し、日本から台湾へは130万人と「交流の非対称性」がもたらす通訳者や土産店の減少という問題が出ていると指摘。
また、八田與一は日本でも知られるようになったが、蓬莱米を作った磯永吉や末永仁(すえなが・めぐむ)、感慨用水路の白冷[土川]を造った磯田謙雄(いそだ・のりお)、地下ダムを造った鳥居信平(とりい・のぶへい)など、日本統治時代にインフラ整備を手掛け、台湾の人々から尊敬されている日本人を日本からの訪台者にはほとんど知られていないことを挙げ、もっと日本人は台湾近代史を学ぶべきなどと指摘。
さらに、台湾有事で日本はなにができるのか、台湾有事が起こる前に、中国に冒険的選択をさせないことがもっとも重要で、日本は台湾有事が存立危機事態に当たるのか当たらないのかさえ明確ではないとも指摘し、問題点の一つとして挙げていた。
片山代表は2月1日、台湾のニュースチャンネル「三立新聞台」の番組「国際弁論社」の単独インタビューを受け、「台湾に駐在した2年2か月の間、台湾は日本にとって極めて重要なパートナーであり、かけがえのない友人であることを確信した」と述べ、また「台湾のように自由で民主的、安定し発展しており、なおかつ日本に友好的な社会が日本の近くに存在することは、日本にとって存亡に関わる重要な意味を有して」いるとの認識を示したという。
片山代表が11月の講義で示した、台湾有事が存立危機事態に当たるのか当たらないのかという問題は、研修団で訪台していた折の11月7日に高市早苗総理が国会において「(中国による)その海上封鎖を解くために米軍が来援をする、それを防ぐために何らかのほかの武力行使が行われる、こういった事態も想定される」「それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」と答弁したことで、台湾有事は存立危機事態に当たることが明らかになった。
片山代表がインタビューで示した台湾についての認識は、研修団で示した日本と価値観を共有するなどほぼ同じだが、新たに「台湾は日本にとって存亡に関わる重要な意味を有する」と述べたことが目を引いた。
これは、李登輝元総統が「日本と台湾は運命共同体」と指摘した認識とほぼ同じと見ていいかもしれない。
台湾は日本の存亡に関わるとはなんとも心強い発言だ。
片山代表は、代表1年目を経た感想として「発展し、成熟し、民主的で、安定し、親日的な社会が隣に位置することの日本にとっての死活的重要性を痛感する」(『交流』2025年1月号)と記していた。
その感懐は確信に変わったようだ。
日台交流協会の片山代表:台湾が日本の存亡に関わる存在だと日々確信【台湾国際放送:2026年2月2日】https://www.rti.org.tw/jp/news?uid=3&pid=189886
日本の対台湾窓口機関である日本台湾交流協会台北事務所の片山和之代表(大使に相当)は台湾のテレビ局の単独インタビューで、日台の経済関係は互いに補完関係を形成し、サプライチェーンを確立することで経済安全保障を確保すべきである。
日本にとって台湾は存亡に関わる重要な意味を有しており、これは自身が日頃から確信していることだと表明しました。
片山代表は、台湾のテレビ局「三立電視(三立テレビ)」のニュースチャンネル「三立新聞台(SETN)」の番組「国際弁論社」の単独インタビューを受け、同番組は2月1日に放送されました。
片山代表は、日台関係は戦後、最良の状態に発展した。
まず第一に、双方は価値を共有する協力パートナーである。
第二に、重要な経済パートナーであり、第三に人的交流や文化交流も行われている。
第四に、台湾海峡の平和と安定は、世界の安全と繁栄に不可欠であるとの観点から、日台は平和を共に追求するパートナーでもあると強調しました。
片山代表は、日台関係は経済、文化、人文交流に加え、安全保障や防災分野においても幅広く発展している。
特に、双方は対等な協力関係を築き、それぞれの強みを生かした水平的な交流を行っていると述べました。
また、信頼関係は日台関係の重要な基盤であり、その信頼関係に基づく互恵的な協力が極めて重要だと強調しました。
台湾の人々に伝えたいメッセージを問われた片山代表は、台湾に駐在した2年2か月の間、台湾は日本にとって極めて重要なパートナーであり、かけがえのない友人であることを確信した。
このような確認と確信は日頃から感じていることだと述べました。
片山代表はまた、台湾のように自由で民主的、安定し発展しており、なおかつ日本に友好的な社会が日本の近くに存在することは、日本にとって存亡に関わる重要な意味を有しており、これは日頃から確信していることだ。
日本と台湾の今後の協力の方向性は、ある意味で、アジアの将来の発展の方向性に大きな影響を与えるものであると述べました。
半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が日本・熊本に工場を設立した件について、片山代表は、台湾は半導体製造、特に先端プロセスにおいて世界の7〜9割のシェアを占めており、日本は材料や製造装置分野に強みを持っている。
日台はそれぞれの強みを生かして競争関係ではなく、相互補完関係を築くべきだと指摘。
また、経済安全保障の観点から、サプライチェーンの構築、双方の人材育成、そして第三国の人材育成に向けた協力が非常に重要であると述べました。
片山代表は、日本と台湾が昨年(2025)12月に「デジタル貿易取決め」を締結したことについて、日台には従来の電子商取引協定があったが、時代に完全に適合しなくなっていたため、現代のデジタル環境に対応した協定に更新された。
特に、将来のテクノロジーや人工知能(AI)などは戦略的に極めて意義のある分野であり、今回の協定は双方の協力発展の基盤を築くものだと説明しました。
(編集:許芳[王韋]/豊田楓蓮/本村大資)。
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