和田有一朗・衆議院議員(日本維新の会)は12月18日、所属する外務委員会においてアルバニア決議の政府見解や台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)加入、岩屋毅・外務大臣の対中姿勢、日本人拘束問題への対応などについて質疑した。
1971年10月25日の第26回国連総会で可決されたアルバニア決議(第2758号決議)を巡っては、中国は近年、「『一つの中国』原則」を補強する材料として使っている。
中国はアルバニア決議について「中華人民共和国の国連におけるすべての権利を回復し、中華人民共和国政府代表が国連における中国の唯一の合法的代表であることを認め、台湾当局の代表を直ちに国連と国連に所属するすべての機関から追放することを決定した。
台湾は中国領土の不可分の一部であり、国連及びその他の主権国家しか参加できない国際組織に参加する根拠、理由あるいは権利はいかなるものであれ持たない」(外交部の林剣報道官:2024年10月25日の定例記者会見後の発言)などと主張している。
これに対して台湾は、中国による歪曲だと反駁し「「台湾の地位を決めた決議ではない」「台湾の国連やその他の国際組織への加盟に関する決定をしていない」と主張している。
和田議員は外務委員会において、中国アルバニア決議の解釈について疑問を呈し、外務省の見解を質したところ、答弁に立った政府の大河内昭博・大臣官房審議官は淡々と「国際連合における中国の代表を中華人民共和国と定めた決議」と答弁した。
それ以上でも、それ以下でもなく、裏を返せば、台湾は中国領土の不可分の一部や台湾は国際組織に参加する根拠、理由あるいは権利は持たないなどという、中国が主張するような内容の決議ではない、となる。
本誌11月29日号で、本会会長でもある渡辺利夫・拓殖大学顧問が産経新聞「正論」欄に寄稿した「中国が歪める『アルバニア決議』」を紹介した。
渡辺会長は「この決議は、国連における中国の代表権問題に決着をつけるためのものであって、台湾が中国の一部であるという『一つの中国』原則を認めたものではない」と剔抉し、「アルバニア決議をもって「一つの中国」原則を国際社会が認めたものだという中国の主張は、牽強付会以外の何ものでもない」と、中国による歪曲・曲解を明瞭に指摘した。
渡辺会長は「中国は「これを『一つの中国』内部の“内戦″として喧伝(けんでん)し、武力行使が国際的に非難さるべき問題として扱われるのを極力避けたいという思惑』をも指摘した。
政府見解は渡辺会長ほどには踏み込んでいないが、同じ見解だとみなしてよい。
当然といえば当然の見解で、アルバニア決議は中国の「『一つの中国』原則」を是認するものではない。
◆和田有一朗議員:衆議院外務委員会 国際情勢に関する件
【2024年12月18日15:56〜16:37(41分)】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55435&media_type=
衆議院外務委員会の速記録を入手できたら、政府答弁の詳細について改めてご紹介し、アルバニア決議をめぐる米国をはじめとする各国の見解もご紹介したい。
。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。