れから始まる中国の悪夢」と題して講演。来年1月16日に投開票の台湾総統選挙と立法委員選挙で
起こりうることとして、総統選立候補者の「暗殺」について指摘した。
<民進党の蔡英文主席を暗殺するのは反発が強いから、ひょっとしたら、国民党の朱立倫主席を暗
殺する可能性がある。暗殺すれば選挙中止の口実になる。>
去る12月はじめに実施した本会の「役員・支部長訪台団」でも、ひまわり学生運動の理論的指導
者で中央研究院台湾史研究所副研究員の呉叡人氏やジャーナリストの迫田勝敏氏、日本交流協会台
北事務所の花木出・副代表などいろいろな方に1月選挙について解説いただいた。中でも、選挙分
析には定評がある迫田氏も黄文雄氏と同様、暗殺の可能性に言及した。
迫田氏は、立候補者が暗殺されるなどの死亡事故が起これば選挙は無効となり、馬英九総統は秩
序を取り戻すという理由を掲げて戒厳令を布いて憲法を停止し、総統に留まる可能性もあると指摘
した。
台湾では、2004年総統選挙のときには投票日前日の3月19日、民進党候補者で総統だった陳水扁
氏への銃撃事件が起こり、2010年11月の統一地方選挙のときも投票日前日の11月26日、新北市議選
候補者の選挙応援に来ていた連勝文氏(連戦・国民党名誉主席の長男)が拳銃で撃たれるという銃
撃事件が起こっている。
物騒この上ない話ではあるが、民主化が根づいた台湾とはいえ、総統選立候補者の暗殺はけっし
てあり得ないシナリオではない。
台湾総統選で暗殺の可能性も? 黄文雄氏が中国・台湾問題を解説
【日仏共同テレビ局フランス:2015年12月10日】
動画:http://www.france10.tv/international/5462/
台湾出身の評論家・黄文雄氏が11月26日、都内で「これから始まる中国の悪夢」と題する講演を
行った。
黄氏は尖閣諸島の問題について「中国にとっては尖閣というのは、とる理由はゼロに近い。最近
は習近平も(尖閣の問題では)反省してきている。習近平はやり過ぎる傾向にある。本来ならば日
米とまで喧嘩する必要はないのだけれど、わざわざ喧嘩を売っている。そのやり方に周囲の疑問も
多い。これから彼の力がだんだん弱くなってきて、外に対してだけでなく、内部においても本来な
らば仲間に入れる連中を叩き出してしまっている。それ故に習近平は孤立している。尖閣でこれ以
上のことをすることは、彼が損するだけだから、やることはない。周りが賛成しない。今の関心は
南シナ海に向いている」と解説した。
来年1月に行われる台湾総統選については、「予想外のことがなければ、民進党が勝って70年の
国民党の体制が崩壊する」と指摘した上で、「中国がどういう手を出すかといえば、民進党の蔡英
文主席を暗殺するのは反発が強いから、ひょっとしたら、国民党の朱立倫主席を暗殺する可能性が
ある。暗殺すれば選挙中止の口実になる」と予測した。
その上で、「台湾が今どういう問題を抱えているかと言えば、馬英九・政権で台湾元で7兆元赤
字がある。政権交代すれば、赤字だけが次の政権に回されることになる。現在、地方財政も深刻
で、給与さえ払えていない。台湾の次の手は、日本やアメリカから借金をしながら立ち回っていく
しかない。だから、両国とはもっと緊密になっていく。国民党が崩壊すればアジア情勢が一変す
る」と述べた。
最後に黄氏は「憂慮するのは、民進党の勢力がそんなに政治経験がないことだ。蔡英文の次の政
権でないと台湾の独自の路線を打ち出せないのではないかと心配している」と台湾の先行きに懸念
を示した。