台湾総統選の「ラストサンデー」の16日、与党・民進党と最大野党・国民党は台湾全
土で大規模集会を開き、支持を呼びかけた。中国で広がるチベット族の暴動は、総統選
にも影響を与えており、中台融和を訴える国民党の馬英九候補(57)には逆風が吹いて
いる。
台北市内で大規模集会を行った民進党の謝長廷候補(61)は「馬氏は以前、台湾の前
途は、中台の人々が共同決定すると言ったが、どういう意味か。今日のチベットの事態
が、未来の台湾だ」と、馬氏を批判した。
集会は、中国が台湾への武力侵攻に法的根拠を与えた「反国家分裂法」制定から3年
を迎えるのに合わせて開いたが、劣勢な謝陣営は、中国で相次ぐ暴動を「追い風」にし
たい考えだ。
中国は総統選で馬氏の当選を期待。馬氏は「チベットの自治、風習、宗教は尊重しな
ければならない」と、中国の鎮圧を批判しているが、総統選で中国との和平協定締結を
目指す考えを表明しており、暴動は不安材料になりそうだ。
(台北 庄司哲也)
大規模行動で支持訴え 台湾総統選、最後の日曜日
【3月17日 中国新聞】
【台北、台南(台湾南部)16日共同】22日に投開票が行われる台湾総統選へ向け、最
後の日曜日となった16日、対中独立志向の与党、民主進歩党(民進党)候補の謝長廷氏
(61)と、対中融和姿勢の最大野党、国民党候補の馬英九氏(57)が、それぞれ台湾全土で
大規模行進や集会を行い有権者に支持を訴えた。
選挙戦は「中台共同市場」や直行便の定期化など対中関係強化による経済再生策を打
ち出す馬氏が依然リード。「台湾の主体性」堅持を主張する謝氏は「反中国」を前面に
押し出して近年高まる「台湾人意識」にアピール、懸命の追い上げを続ける。
台北での集会で謝氏は、「逆転勝利」と書かれたTシャツ姿で、「当選すれば必ず台
湾の利益と安全、尊厳を守る。(馬氏の掲げる中国との)市場ができればチベットで今
起きていることが台湾の将来となる」と訴えた。
行進は台湾への武力行使に法的根拠を与えた「反国家分裂法」などに反対して民進党
が2005年3月に行った100万人デモを再現し、巻き返しを図るのが狙い。馬氏の対中政策
では、日本で中毒事件が起きた中国製ギョーザや粗悪な食材などが中国から台湾に入っ
てくると訴えるパフォーマンスも行われた。
馬英九陣営も大規模行進を実施。「前進」と書かれたTシャツ姿の馬氏は民進党の票
田である南部の台南で「台湾は(民進党政権で)8年間を無駄にした。台湾を前進させ
る総統を選んでほしい」と政権交代を呼び掛けた。同日夜には与野党候補とも大規模集
会を実施。