10月21日、台湾の徐斯倹・外交部次長がワシントンにおいて国務省で東アジアを担当するスティルウェル次官補と「台湾が外交関係を持つ国との関係や混乱が続く香港の情勢、それに来年の台湾総統選挙などについて意見を交わした」という。NHKが伝えているので下記に紹介したい。
この記事では「アメリカ国務省が会談を事前に発表する異例の対応」を取ったと報じ、米国が昨年3月に制定した「台湾旅行法」の成果が確実に現れているようだ。
ちなみに、NHK記事でも触れている米国が維持している「『一つの中国』政策」について、米国はこれまで「中国との3つの共同コミュニケと台湾関係法」だと説明していたが、2016年7月6日に上院が「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する第38号両院一致決議案」を可決して以降、「『一つの中国』政策」を取っていると表明するものの「中国との3つの共同コミュニケ」に触れることはほとんどない。
また、米台関係の基礎として「台湾関係法」と「台湾に対する『6つの保証』」を強調する傾向が強くなっていて、昨年10月4日のペンス副大統領演説で中国政策の転換を宣して以降は台湾との関係を強化しつつ、中国の覇権的行動をあからさまに牽制するようになっている。
—————————————————————————————–米と台湾の外交当局の高官が異例の会談 中国をけん制か【NHK NEWS WEB:2019年10月22日】https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191022/k10012143851000.html
アメリカ国務省の高官が、訪米中の台湾外交部の次長と会談しました。トランプ政権は、これまで控えてきた会談の事前の発表を行うという異例の対応をとり、中国をけん制するねらいがあるとみられます。
アメリカ国務省で東アジアを担当するスティルウェル次官補は、台湾外交部ナンバー2でアメリカなどを担当する徐斯倹次長と、21日、ワシントンで会談しました。
徐次長は会談のあとNHKなどの取材に応じ、台湾が外交関係を持つ国との関係や混乱が続く香港の情勢、それに来年の台湾総統選挙などについて意見を交わしたことを明らかにしました。
徐次長は「国務省のほか国防総省やホワイトハウスの担当者とも意見を交換した。台湾に対するアメリカ政府と議会の支持に感謝する」と述べました。
アメリカは台湾と外交関係がない「1つの中国」政策をとっているため、これまで台湾の高官がワシントンを訪問しても、会談を公にするのは控えてきました。
しかし、トランプ政権は米台の高官どうしの相互往来を促進する「台湾旅行法」を成立させたほか、今回はアメリカ国務省が会談を事前に発表する異例の対応をとっていて、中国をけん制するねらいがあるとみられます。
アメリカ国務省はNHKに対し、「中国との建設的な関係を追求しながら、台湾との非公式の関係も維持していく」とコメントしています。