http://sankei.jp.msn.com/life/news/110604/trd11060418010010-n1.htm
東日本大震災以降、激減していた北海道への外国人観光客が、復活の兆しを見せている。
中でも台湾からは、6月の直行便がほぼ9割の予約で埋まっているほどで、道内の関係者を
ひとまずホッとさせている。今月2日には両者の親交をより深めようと、札幌日台親善協会
も設立された。
台湾は、海外から北海道への観光客数でトップの座を占める。道によると、昨年度は12
月の時点で前年同期比18%増の約14万人となっているが、「台湾の航空会社3社だけで、去
年1年間で21万人が北海道に来ています。成田や関空経由を含めると、24万人以上は確実で
す」と言うのは、台北駐日経済文化代表処札幌分処の徐瑞湖処長だ。
だが大震災後は、福島第1原発事故の影響などで予約のキャンセルが相次ぎ、航空便も
軒並み減便や運休となった。徐処長自身、父親から毎日、「長崎に逃げなさい」と電話が
かかってきたという。
「北海道は原発から600キロも離れているから心配しなくていい、と何度も言ったが、そ
れでも心配している。函館や釧路に津波が来た映像が繰り返し流されていて、その影響が
強いようです。道と観光振興機構に頼んで、交通状況や原発のデータを毎日、ネットで出
してもらうようにして、やっと4月半ばから若い人がぽつぽつ来るようになりました」
こんな徐処長の努力もあって、6月にはほぼ震災前と同レベルにまで復活。千歳への航空
便は、中華航空はすでに毎日運航、エバー航空も6月下旬には毎日運航となるほか、復興航
空の函館や旭川へのチャーター便も再開した。
さらに両者のより深い交流を後押しするのが、札幌日台親善協会の設立だ。すでに昨年7
月に旭川、今年3月には北見にも設立されたが、人口190万人の大都市、札幌にできること
は大きな意義がある。
徐処長は「うちの事務所は人数も少なく、何かあったら協力してくれる組織ができるの
はありがたい。台湾から経済、青少年、文化の団体が来たとき、札幌での窓口になってく
れる。今後、もっといろんな地域に広がっていくことを歓迎します」と話す。
2日には札幌市内のホテルで設立総会が開かれ、約170人が出席。すでに法人88社、個人
43人が会員に加入しているという。
総会では、住宅資材を販売するキムラの木村勇介社長が会長に選出された。あいさつに
立った木村会長は「北海道に観光にいらっしゃる外国人で一番多いのは台湾からだし、歴
史的にみても台湾のみなさまには親愛の情を持っておつきあいしていただいている。今回
の大震災の対応でも、170億円以上のご寄付とさまざまな支援物資をいただいた。ぜひ
一緒に日台友好を進めていただければ幸せです」と呼びかけた。