台湾からの警告はなかったと主張したWHOに台湾が反論

 WHOは自らのミスを認めず台湾にその非を押し付けてきた。いかに忍耐強い台湾と言えど、ここまでコケにされては発言せざるを得なかったのだろうと、同情を禁じ得ない。

 本誌でもお伝えしたように、台湾は昨年の12月31日、武漢肺炎の人から人への感染の可能性について、書面でWHOと中国に文書で問い合わせをして警告を発していたにもかかわらず、WHOは「関連の情報を内部のウェブサイトに掲載せず、各国と共有していなかった」という事実が発覚した。

 台湾側の根拠は、「複数の患者が隔離治療されている」と指摘したことで、つまり「隔離」ということは人から人への感染の可能性を示唆しているのではないかと警告したのだった。

 ところが、WHOのテドロス事務局長は1月14日、記者会見で、武漢市で新型コロナウイルスが検出されたと認定したものの、台湾の警告を無視し、人から人への感染は確認されていないと発表した。しかし、その6日後の1月20日に中国の新型コロナウイルス専門家チームのリーダーが「現在の統計によると、新型コロナウイルス肺炎は確実に人から人に感染している」と発言し、中国が初めて人から人への感染を認めたのだった。

 一方、WHOは4月10日、台湾からの警告に関するAFP通信の取材に対し「台湾からの通知に人から人への感染について言及はなかった」と否定するという見解を発表した。

 台湾もこれには反論せざるを得ず、陳時中・衛生福利部長は4月11日の記者会見でWHOに宛てた電子メールの文書を掲げながら「専門家が素人を装っている。隔離治療が警報でなければ、どんな状況が警報なのか」「これ以上、過ちを犯さないでほしい」(4月11日付「時事通信」)と苦言を呈したという。

 下記に陳時中・衛生福利部長が「WHOは台湾の通報内容から『隔離治療』に関する一節を見落としたと指摘」した中央通信社の記事を紹介したい。

 冒頭に記したように、WHOは自らのミスを認めず台湾にその非を押し付けてきた。これが現在のWHOの実態だろう。日本もWHO幻想を捨て、米国と足並をそろえ、拠出金について「一時停止」を考慮すべき時期に来ていると言ってよい。

—————————————————————————————–台湾の対策本部、WHOに反論 新型コロナ早期警告を否定する姿勢受け【中央通信社:2020年4月11日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202004110005.aspx

(台北中央社)新型コロナウイルスが人から人に感染する可能性を示唆した台湾の警告を無視したとして批判された世界保健機関(WHO)が、「人から人に感染する」という文言はなかったと主張したのを受け、中央感染症指揮センターの陳時中指揮官は11日の記者会見で、台湾がWHOに送った電子メールを公開するとともに、「一部だけ切り取って都合のいい解釈をしている」と反論した。

 台湾は昨年、中国・武漢で呼吸器系の感染症が発生しているとの情報に基づき、保健当局を通じて同12月31日、WHOの連絡窓口に電子メールで通報していた。

 同センターは、WHOへのメールには重症急性呼吸器症候群(SARS)を疑わせるような症状があることや「患者が隔離治療を受けている」ことが明記されており、公共衛生分野のプロならこれで人から人への感染の可能性を判断できるとの見解を示している。陳氏は、WHOは台湾の通報内容から「隔離治療」に関する一節を見落としたと指摘。WHOがこの部分をはっきりと世界に伝えれば、その後の対応がどうであったか「一目瞭然だ」と述べ、焦点をぼかさず、正直にこの件と向き合ってほしいと呼び掛けた。

 AFP通信は、米政府が9日、政治を優先して台湾の警告を顧みなかったとWHOを非難したと報道。これを受けたWHOは10日、同社に宛てた電子メールで米の指摘を否定した上で、台湾から受け取った文書には「人から人に感染するとの言及はなかった」と主張していた。

(張茗喧、呉欣紜/編集:塚越西穂)

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