関である交流協会を通じてメッセージを発表したことを、昨日の本誌でお伝えしたが、早
速、台湾の外交部がこれに答え、6日、プレスリリースを発表した。
台湾の報道によれば「外交部は『東シナ海の平和維持に役立つと信じる』とするととも
に、台日間での制度化された対話メカニズムの構築に期待」を示すとともに、漁業協議の
再開について「建設的な対話を日本側が期待していることについては、次回の協議で具体
的な成果をあげるため、日本側に対して釣魚台海域での台湾漁業者の操業権を尊重するな
ど善意を示すよう呼びかけた」と伝えている。産経新聞が共同通信記事を伝えているので
下記に紹介したい。
何よりも重要なことは東シナ海の安定である。玄葉外相のメッセージも、そのことを意
識したもので、だから「東シナ海の平和と安定の確保は、すべての当事者に共通する利
益」としていた。台湾側もそれに応え「東シナ海の平和維持に役立つと信じる」となって
いる。
また「中華民国政府」に向けてではなく「台湾の皆さま」となっていたのは、国交を断
たれている台湾への外務大臣から呼び掛けとしては、政府に呼び掛けるわけにも行かず、
台湾との窓口である交流協会を通じれば政府にも届き、台湾の関係漁民にも呼びかける形
になると考えてのことと推察される。
それにしても、このような外務大臣メッセージを出すことを編み出したのは玄葉外相な
のかは詳らかではないが、中国政府も反対しにくい方法だ。日本にも知恵者がいたことに
少しく驚かされた。
やはり、台湾との間を切り開くのは「政治判断」である。役人では限界がある。漁業交
渉も、水産庁の役人が実質的に交渉するのだろうが、16回やってダメなものはダメで、こ
こは政治家の出番だ。大局的見地から達成すべき着地点とアウトラインを政治家同士で決
め、事務的・具体的なことを役人が詰める形が望ましいのかもしれない。
そこで、改めて玄葉外相の「台湾の皆さま」へのメッセージ全文を下記に紹介するとと
もに、早期の「日台漁業協定の締結」に期待したい。
台湾、尖閣周辺の漁業協議早期再開に同意 玄葉外相メッセージに回答
【産経新聞:2012年10月6日】
台湾の外交部(外務省)は6日、玄葉光一郎外相が5日のメッセージで、沖縄県・尖閣諸
島(台湾名・釣魚台)周辺海域の漁業権をめぐる日台漁業協議の早期再開を呼び掛けたこ
とに対し、「日本の考えに同意する」と応じる声明を発表した。
声明は日本に対し「善意を示し、台湾漁民の釣魚台周辺海域での権利を尊重すべきだ」
と求めた上で、「漁業協議で具体的成果が出るよう共に努力したい」と表明した。
馬英九総統が尖閣諸島をめぐる争いの平和的解決のために提唱した「東シナ海平和イニ
シアチブ」を、玄葉外相がメッセージで評価したことに対しては、「日本側の考え方は東
シナ海の平和維持に役立つと信じる」と好感を示した。(共同)