台日民主教育交流訪問団と本会などが意見交換会

地図帳問題解決や教師交流について前向きに検討

 12月6日から台湾の台湾教授協会、台湾歴史学会、台湾教師聯盟で構成する「台日民主教
育交流訪問団」(団長=戴寶村・台湾教授協会会長)の一行が来日し、国内の教育関係団
体などと積極的に意見交換している。本日から日光視察に赴き明日11日に帰台する。来日
メンバーは以下の12名。
戴寶村(政治大学教授・台湾の検定審議会委員長)、ト[塗の土を除く]醒哲(総統府国
策顧問)、黄瑞疆(副団長、台湾教師聯盟理事長)、陳延輝(政治大学教授、台湾教授協
会法政委員会委員長)、何清人(輔仁大学教授、台湾教授協会次期会長)、ト炳榕(ト醒
哲国策顧問尊父)、朱美英(陳延輝氏夫人)、謝徳謙(フリーランス記者)、張人傑(淡
江大学助教授、台湾教授協会事務局長)、潘振輝(技術大学講師、台湾教授協会事務局次
長)、陳玲薫(高校教師・南陽義学)、張聰明(高校教師・南陽義学)
*ト醒哲・総統府国策顧問は所要のため日光視察から参加。

 また、一行が意見交換や視察したところは以下のとおりだ。
・12月6日、来日→早稲田大学台湾研究所
・12月7日、新しい歴史教科書をつくる会、憲政記念館、金美齢・総統府国策顧問、在日
  台湾同郷会・在日台湾婦女会
・12月8日、扶桑社、国会図書館、日台交流教育会・全日本教職員連盟・台湾研究フォー
  ラム・日本李登輝友の会
・12月9日、靖国神社(昇殿参拝・遊就館見学)、新宿御苑(台湾閣)、許世楷・台北駐日
  経済文化代表処代表
・12月10、11日 栃木県日台親善協会、日光東照宮、鬼怒川→帰台

 早稲田大学台湾研究所では西川潤所長や西川所長の友人である君島和彦・東京学芸大教
授、李成市・早大教授などと意見交換し、君島教授が教科書の編集から採択・供給までや
、扶桑社の教科書がなぜ中韓から批判されるかを解説し、李教授は日本の歴史授業のあり
方や中・韓・台・日の四カ国による歴史教科書の作成を提案した。

 新しい歴史教科書をつくる会では、八木秀次(会長、高崎経済大学助教授)、藤岡信勝
(副会長、拓殖大学教授)、遠藤浩一(副会長、評論家)、福田逸(副会長、明治大学教
授)、内田智(理事、弁護士)、高池勝彦(理事、弁護士)、福地惇(理事、大正大学教
授)など14名が出席し、藤岡教授がなぜ『新しい歴史教科書』をつくるようになったかの
経緯などを説明し、元文科省検定官の福地教授は「日本統治時代の良かった所の記述は増
え、教科書内容改善の成果がでているとの報告は印象的であった。台湾の自由と民主主義
を守ろうとする愛国者との交流がこのような形で一層深まることは両国にとり実に有意義
だ」との感想を述べた。

 在日台湾同郷会と在日台湾婦女会では、何康夫・在日台湾同郷会会長をはじめ黄文雄、
林建良、陳明裕、長谷虎峰、林哲正、張信恵、黄麗郷、薛格芳などの在日台湾人の方々と
先般の統一地方選挙の結果を踏まえて意見交換した。

 扶桑社との懇談では、扶桑社から真部編集長と『新しい歴史教科書』の編集を担当した
吉田氏が出席、真部編集長から一般書籍を出している出版社が教科書出版に乗り出した経
緯とともに、検定の修正表などの資料を用いて教科書の検定や採択について詳しく解説。
吉田氏も検定の実情について解説した。

 日台交流教育会・全日本教職員連盟・台湾研究フォーラム・日本李登輝友の会との意見
交換会では、日台交流教育会からは、佐藤健二(副会長、東京都教師会会長)、草開省三
(事務局長)、勝岡寛次(事務局次長、明星大学戦後教育史研究センター専任研究員)、
佐々木健(日本教師会副会長、昭和第一高等学校教諭)の4名、全日本教職員連盟からは
三好祐司委員長、台湾研究フォーラムからは片木裕一(副会長)、猪鼻嘉行(副会長)梶
山憲一(運営委員)の3名、日本李登輝友の会からは柚原正敬(常務理事・事務局長)、
中田一郎(理事)三宅教雄(理事)、謝雅梅(理事)、薛格芳(理事)、冨澤賢公(台湾
李登輝学校研修団一期生)の6名の計14名が出席した。
 本会の柚原事務局長が中学校の地図帳問題、台湾出身戦歿者慰霊祭や台湾に桜を寄贈す
ることを解説したところ、地図帳問題では台湾側も戴寶村会長が最近、群策会から『台湾
は中国ではない』という著書を刊行したばかりのこともあって拍手が起き、支持を表明し
た。また、日台交流教育会の佐藤副会長が日本と台湾は憲法問題や戦後のあり方が酷似し
ている状況を指摘、三好全日本教職員連盟委員長は小中学校の先生方の交流などを訴え、
台湾側も前向きに取り組みたい意向を表明した。

 靖国神社では南部利昭宮司自ら出迎え、昇殿参拝し、その後、遊就館では坂明夫館長の
解説により台湾少飛会会旗や李登輝前総統に実兄の李登欽命の遺影などを拝観した。靖国
神社のご祭神にはどのようにしたらなるのかなどについても解説され、興味深く聞いてい
た。

 台日民主教育交流訪問団の来日は今回が初めてのことであり、通訳を介しての論議なの
で時間が足りず、双方の実態を深く理解するまでは至らなかったが、戴会長の報告によれ
ば、来年度から使用される高校の歴史教科書9冊の中には、日本統治時代における歴代19
名の総督全てが写真入りで解説したり、日本時代の事柄は全て明治や大正などの元号で表
記し、西暦を括弧で補う教科書もあるとのこと。
 議論の中では、日本と台湾の歴史教科書をテーマとした共同研究についても提案されて
おり、さらに深い論議をするため第2回目の来日を待ちたいものだ。(編集部)