【5月8日 北國新聞】
【台南8日=宮本南吉】台湾を訪れている「八田技師夫妻を慕い台湾と友好の会」(
金沢市)の一行は八日、同市出身の八田與一技師が築いた台南市郊外の烏山頭ダムで、
技師と外代樹夫人の墓前祭に参列した。祭壇には、昨年五月に亡くなった八田技師の長
男・八田晃夫さんの遺影が飾られ、参列者は台湾南部の荒野を穀倉地帯に変えた偉人を
たたえるとともに、技師が結ぶ日台のきずなを大切にした晃夫さんをしのんだ。
三〇度を超える暑さとなったが、八田夫妻の墓は木立に囲まれ、ダム湖から時折、さ
わやかな風が吹いた。読経に続き、晃夫さん夫人の綾子さん(73)、晃夫さん長男の修
一さん(49)、友好の会の一行、地元住民らが次々に焼香し、冥福を祈った。
日台の参列者を前に修一さんは「父も来たがっていると思い、遺影とともに墓参に訪
れました。祖父もこの光景を見て、大変喜んでいると思います」とあいさつした。
友好の会の中川外司事務局長(70)は、八田技師のアニメ映画の製作が進んでいるこ
とを紹介し、「日本はもとより、台湾の方にも見てもらい、より多くの方に技師を知っ
てもらいたい」と呼び掛けた。
この日は、烏山頭ダムにある八田技師の記念館の清掃ボランティアをしている地元高
校生が墓参するなど、参列者は約二百五十人に上り、八田技師を通じた日台交流の裾野
(すその)の広がりを感じさせた。