【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2020年4月22日】*原題は「『アベノマスクも被害』。今度は不良品マスクを世界に拡散する中国」でいしが「今度は不良品 マスクを世界に拡散する中国」としたことをお断りします。*小見出しは、読者の便を考慮して編集部が付していることをお断りします。
◆台湾と日本は災害時に助け合う麗しい伝統
4月21日、台湾政府から日本に寄贈されたマスク200万枚が成田空港に到着しました。その包み紙には、「台湾日本友好」「日本加油」(日本頑張れ)と書かれてあったそうです。
超党派議員連盟の「日華議員懇談会」の会長である古屋圭司衆院議員は、「困った時に手を差し伸べてくれる方こそ真の友で感謝する。日本と台湾の友好信頼関係の絆はますます強くなっていく」と述べました。
これに対して台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は、1999年9月に起こった台湾中部大地震のときに日本の救援隊が大活躍したことや、台湾が東日本大震災や熊本地震の際にも救援物資を贈ったことをふまえ、「新型コロナウイルスと闘うために世界が団結しなければいけない。台湾と日本は災害の時、お互いに助け合う伝統がある」と話しました。
中国およびWHOにより、世界的な防疫連携の輪から外されている台湾ですが、皮肉にも、WHOが最初に発していた武漢肺炎への楽観的意見に従わず、当初から中国との往来を中止するなど厳しい水際対策を行ってきたことで、台湾は世界でももっとも新型コロナウイルスの被害が少ない国となりました。
台湾はタイに対しても、20万枚のマスクを寄付しています。
◆マスク不足を作り出してマスク外交を展開する中国
一方、中国も他国へマスクを支援するなど「マスク外交」を展開していますが、その裏で、良品は自国用に徴収し、不良品を他国への輸出や援助に回しているといった実態が明らかになっています。
JBpressの報道では、中国でマスクを生産する外国企業でも、中国当局からの命令で、マスクの出荷が差し押さえられ、不良品だけが海外へ輸出されているといいます。
中国では国営企業のみならず、私企業、そして外国企業にも中国共産党の支部が企業内に設置され、さまざまな「指導」が行われているということは、これまでのメルマガでも述べてきましたが、上記のJBpressに寄稿した元陸上自衛隊幹部学校長で陸将だった樋口譲次氏は、そうした中国共産党の統制監督によりマスクが差し押さえられていることが、世界的なマスク不足の一因だと指摘しています。
さらに樋口氏は、有事の際に中国人従業員を予備役として招集でき、民生用資源を徴用できるとした中国の「国防動員法」が背景となってマスクが戦略物資として扱われていることも、日本へマスクが届かない理由として挙げています。
日本では妊婦用に配布されたマスクに、黄ばみや髪の毛、虫などが混入していたことが問題となっていますが、これらはいずれも中国やベトナム、ミャンマーなどから調達したものだということです。前述したように、中国が不良品ばかりを輸出用にしていることが影響しているのだと思います。日本側の検品体制にも問題がありますが、それ以上に、中国に製造拠点を持つことの問題点が、ここでも浮かび上がってきます。
中国は世界のマスク生産力の85%を占め、日本のマスクの約8割は中国から輸入されているといいます。そのため、同様のことが世界中で起こっています。
◆不良品ばかりの中国マスクやテストキット
たとえばオランダは中国から医療用のN95というマスクを輸入しましたが、3月に到着した130万枚のうち、60万枚が不合格だったため、すべてを不良品として返品しました。そのような不良品にも品質証明書が付けられていたといいますから、いかにも「中国らしい」といえるでしょう。
また、3月中旬にはスペインとチェコに送られた数十万枚の新型コロナウイルスのテストキットも不良品ばかりだったということです。
フィンランドでは、中国から購入した200万枚のマスクと呼吸用防護服23万個が全部不良品だったそうで、国家緊急供給庁の責任者が辞任する騒ぎとなっています。
オランダなどの医療関係者は「中国の医療製品の製造・販売元がこのような危機的な状況を利用して、利益を上げようとしている」などとして、中国側の態度を強く批判する声明を発表しています。
◆台湾と中国の国としての姿勢や民度の違い
一方で、台湾はオランダにも多くの医療用マスクを送り、感謝されています。台湾は4月1日、感染状況が深刻なEU加盟国やイギリス、スイスなど11カ国に対して、マスク計700万枚を寄付することを表明しています。
オランダ政府の台湾に在外公館であるオランダ貿易●投資弁事処は、公式フェイスブックページに「最前線で働くオランダの医療関係者は長くサージカルマスクの不足に直面していました。彼らは同じマスクを繰り返し使ったり、工事現場で使われるようなマスクを購入したりしています。台湾が貴重な資源をオランダと共有し、マスクを寄付してくれることに感謝します」というメッセージを投稿しています。(●=既の下に旦)
このようなところでも、中国と台湾の国としての姿勢や民度の違いがはっきりと出ています。
世界的な困難のために一致団結を呼びかけ、困っているところにマスクを届ける台湾に対し、中国は「ウイルスはアメリカがばら撒いたかもしれない」などと責任転嫁するばかりか「世界は中国に感謝すべき」とまで言い出し、ここぞとばかりに儲けに走り、しかも不良品ばかりを売りつける。
そんな中国が台湾を統一しようというのですから、それは無理だというものですし、台湾が中国に飲み込まれることは、世界の損失でもあるといえるわけです。
◆中国依存のツケが回ってきた
あまりに各国からの苦情が相次いだため、中国当局は医療関連物資の輸出に許可制を導入しました。とはいえ、どこまで効果があるかは未知数です。前述したように、中国政府が良品を押さえてしまい、輸出されるのは不良品ばかりという構造があるからです。
コロナ感染拡大を受けて、中国では2万8000社以上が医療分野に新規参入しているそうです(「日経新聞」電子版2020年4月17日付)。1〜3月期のGDP成長率マイナス6・8%と発表した中国政府(この数字自体が、あまりにも小さくて嘘くさいですが)にとって、この「コロナ・バブル」は願ってもいないチャンスでしょう。
それだけに、許可制にしたというのも名目だけ、いざとなれば、「保存管理が悪かったからだ」などと相手国のせいにするのは目に見えています。
かわいそうなのは、中国の「借金の罠」に嵌っている途上国です。こうした不良品を大量に押し付けられても文句が言えず、その結果、感染が拡大する可能性があるからです。これは中国による2次被害ともいえる状況です。医療品まで中国に依存してしまったツケが回ってきたともいえます。
かつて私の大学研究室にモンゴルの元閣僚が訪ねてきたことがありましたが、次のような話をしてくれたことがありました。「中国の食糧援助ということで受け取った食料が、廃棄処分直前の腐ったものだったので、閣僚会議まで開いて家畜用の飼料とするかどうかを議論したものの、モンゴル人すべてが病毒に犯される危険もあるので、家畜飼料にもせずにすべて廃棄したということでした。
そのような中国の体質は、今回の新型コロナウイルスの感染拡大およびマスク外交でもまったく同じです。
今後、各国は本気で脱中国に向かわなければ、亡国の危機すらありえると言ってもいいでしょう。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。