脱中国のすすめ アジアの悪友を謝絶せよ  黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2020年4月8日】

*原題は「もう国民が国内旅行を楽しむ台湾と、緊急事態宣言の日本」でしたが、「脱中国のすすめ アジアの悪 友を謝絶せよ」と改題したことをお断りします。*小見出しは、読者の便を考慮して編集部が付していることをお断りします。

◆国内旅行を楽しむ台湾と緊急事態宣言の日本

 台湾は4月2日から、先祖の墓参りをする「清明節」に伴う4連休となりました。新型コロナの影響で海外旅行に行かない人たちが国内旅行を楽しんでいるという記事がありました。人気なのは台中の日月潭や、台湾最南端のリゾート地である墾丁などだそうです。

 一方で日本は非常事態宣言が発令され対象地域となった7都府県にお住まいの方は、1か月ほどの間不自由な生活を強いられることとなりました。このことに対して蔡英文総統は、ツイッターに日本語で以下のようなコメントを出しました。

「手を携えてこの闘いに勝ちましょう!地震も、台風も、台日の協力で乗り越えてきました。だからこそ、勝ってまた会いましょう!」

 東京の感染者数が増加の一途をたどり、緊急事態宣言の発令により東京や大阪などの対象地域は社会生活がかなり制限されています。それに比べて、台湾人は清明節休暇をリゾート地で満喫しているのです。この差はどこからきたのでしょうか。

 もちろん、台湾政府の迅速な対応と、徹底した感染防止対策があったからです。マスク販売についても、身分証を提示しての予約販売制度により買い占め行為が起こらないようになっています。さらに毎朝の政府高官の記者会見で、あらゆる情報を公開し、ルール違反者は厳しく罰する徹底ぶりです。これまで、コロナ関連で高額な罰金を科された例はいくつかあります。例えば、武漢への渡航歴を隠した人は罰金30万元(約110万円)。自主隔離を義務付けられていたのにナイトクラブで遊んでいた男性に罰金100万元(約360万円)などです。

 政府の毅然とした態度が感染拡大を封じ込めました。その結果、台湾人は4連休の休日をリゾート地で満喫できるわけです。

 一方で、日本は緊急事態宣言は出すが都市封鎖はしない(できない)など、中途半端だという声も少なくありません。学校が2か月も休みになり、家から出られない子どもたちのストレスは相当なものでしょう。授業も滞ります。今回ばかりは、日本政府の対応に責任を問われても仕方がないのかと思います。

 海外からも「大胆な措置を取るのが遅い」「強制力がない」など、緊急事態宣言に対して、厳しい批判が出ています。

◆憲法に「緊急事態条項」がない日本

 とはいえ、日本は、私権を制限することは憲法上できないことになっています。日本は戦前の反省から、憲法には緊急時に私権を制限する「緊急事態条項」がありません。戒厳令さえありません。他国では、緊急事態になれば、私権を制限するのは当然です。ところが日本ではそれができません。

 もちろんそれは、護憲派が憲法改正に反対してきたからであり、また、日本人も平和ボケをしていたからです。人権派は人権至上主義を唱えながらも、中国のウイグル人弾圧は批判しない。1月から2月にかけてコロナ問題そっちのけで「桜を見る会」の追求ばかりしてきた立憲民主党や共産党も、いつもは政府による私権制限に大批判するマスコミも、「遅すぎる」などとむしろ批判するほどで、ご都合主義もいいところです。

 一方の中国は、新型コロナ対策について、武漢の封鎖が解除されたことで自画自賛しています。日本には、中国に見習えといった媚中派もいます。一方で、ちっぽけな台湾はどれだけ的確な政策を取り、その正しさが数字に反映されたとしても、国際社会で高く評価されることは難しいのが実情です。

 しかし、ソ連やドイツが解体して以後、ユーラシア大陸には小国が乱立しています。アジアにもシンガポールのような小さな都市国家が、世界でも有数の優良な先進国となっています。今や、ミニ国家あるいは都市国家のほうが治安もよく、経済も社会も安定している魅力ある国家となっています。

◆脱中国のすすめ アジアの悪友を謝絶せよ

 そもそも、新型コロナウイルスは、中国からの人流と物流を敬遠すればするほど巻き込まれずに済んだのです。台湾はまさにそれをいち早く実行しました。福沢諭吉の脱亜論にあるように、「アジアの悪友を謝絶せよ」です。

 今や、これは脱亜論というよりは脱華論です。WHOは中国政府の言いなりで、徹底的に台湾を排除していますが、大国が世界を牛耳る時代はもう古いのかもしれません。スイスでの専門会議では、台湾がオブザーバーとして参加を認められました。世界が小国家や都市国家の実力を認めつつあるのです。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: