関として、日本は公益財団法人交流協会を設け、台湾は亜東関係協会を設けている。
このほど、交流協会の柿沢未知・総務部長が「台湾と日本の関係は過去40年で最もよく、ここ5
年では投資、並びに難しいとされた租税面での協定を結んだ他、17年間懸案だった漁業協定も結ぶ
ことができたとして、ほぼFTA自由貿易協定締結に等しいレベル」という認識を示したという。
台湾の台湾国際放送が伝えているのでご紹介したい。
現在、交流協会は大橋光夫氏が会長、今井正氏が理事長をつとめていて、総務部長の発言が
ニュースとして取り上げられるのは珍しい。
3年ほど前、本会の「日米台の安全保障等に関する研究会」(川村純彦座長)が交流協会台北事
務所と意見交換をしたとき、通産省出身の佐味祐介・副代表がほぼ同じ認識を表明し、「日本が台
湾と自由貿易協定(FTA)を締結するかどうかは政治家の判断」と発言していた。日台関係をよ
く知る方々も、恐らく柿沢総務部長の認識に同意を示すのではないだろうか。
ちなみに、柿沢総務部長は交流協会台北事務所の研究員などを経て、昨年8月、小松道彦氏の後
任として総務部長に就任している。
なお、交流協会は台北市に交流協会台北事務所(駐台大使館に相当)、高雄市に交流協会高雄事
務所(駐台領事館に相当)があり、公益財団法人という民間団体ながら、外務省と連携を取りつ
つ、台湾在留邦人旅行者の入域、滞在、子女教育などについて各種の便宜をはかり、台湾との間に
民間の貿易、経済、技術交流などの関係が支障なく維持、遂行されるよう必要な調査、措置を講ず
ることなどとされ、政府の在外公館(大使館、総領事館など)と変わらない主権にかかわる公的事
務を行う特殊な機関。
一方の亜東関係協会は外交部の管轄下にあり、東京都内に台北駐日経済文化代表処(駐日大使館
に相当)、大阪に台北駐大阪経済文化弁事処(駐日領事館に相当)を設けている。台北駐日経済文
化代表処の管轄として横浜、那覇、札幌に分処があり、台北駐大阪経済文化弁事処の管轄として福
岡に分処を設けている。
◆公益財団法人交流協会
http://www.koryu.or.jp/
◆亜東関係協会
http://www.mofa.gov.tw/aear/default.html
交流協会:台日関係はFTA締結に等しい
【台湾国際放送:2016年3月8日】
日本の対台湾窓口機関が、日本と台湾の良好な関係は自由貿易協定締結にほぼ等しいレベルとの
認識を示した。日本の対台湾窓口機関・公益財団法人・交流協会の柿沢未知総務部長はこのほど、
台湾と日本の関係は過去40年で最もよく、ここ5年では投資、並びに難しいとされた租税面での協
定を結んだ他、17年間懸案だった漁業協定も結ぶことができたとして、ほぼFTA自由貿易協定締結
に等しいレベルだと説明した。
柿沢氏は、2000年における台日の人的往来は延べ173万人だったのに対し、昨年は延べ540万人を
超えて3倍以上になったと指摘した他、2011年の調査で、日本人で台湾の人たちに親しみを感じる
と答えた人の割合は63%と、韓国人に対する32%、中国大陸住民に対する14%を大きく上回り、東
日本大震災以降、台湾の人たちに対する好感度はいっそう高まったと説明した。
柿沢氏は、自由貿易協定は政策上、そして外交上難度が高く、締結に至っていないが、馬英九政
権と日本政府の間には自由貿易協定に関する暗黙の了解ができており、投資や租税、電子商取引な
ど個別の経済協力を積み木方式で処理することで、自由貿易協定と同じ効果をあげることができる
と強調した。