トランプ戦略の最後の地固め 台湾へ追加武器供与  宮崎 正弘

 米国のトランプ政権は12月8日、台湾へ11度目となる武器売却を承認し、議会に通知したと発表した。売却は、軍事用の野外通信システムや関連装備(ノード154個、通信用リレー24個、ネットワーク管理システム8つ、プログラム管理支援、人材育成など)で総額2億8000万ドル(約290億円)だという。

 宮崎正弘氏は「トランプ戦略、最後の地固め」と解説している。下記に「宮崎正弘の国際情勢解題」を紹介したい。

—————————————————————————————–トランプ戦略の最後の地固め 台湾へ追加武器供与ミラー国防長官代行はマニラとジャカルタを急遽訪問【宮崎正弘の国際情勢解題:令和2年(2020)12月9日】

 バイデン次期大統領は閣僚の目玉となる国防長官に元陸軍大将で中央軍司令官だったロイド・オースティンを指名した。オースティンは黒人で、党内左派への配慮と見られる。しかし軍人の国防長官就任は退役後7年以上を経過後という規定に違反するため、上院公聴会で共和党はこの人事の法的不備を衝くだろう。

 同時期に英国は空母打撃群を極東から南シナ海に派遣し、米軍と共同歩調の作戦を開始、英国海軍は長期滞在予定という。また米国では「アーミティジ第五次報告」がアーミティジ元国務副長官、ナイ元国防次官補らの協同で発表され、日本をファイブアイズに加盟させ「シックスアイズ」とすることなどが提案された。

 米・英に加・豪・NZとの情報共有システムに日本を加えようとするものだ。

 トランプ政権下、現職の国防長官は、トランプが解任したマーク・エスパーにかわり、クリスファー・ミラー国防テロ対策センター長(元特殊部隊出身)が「国防長官代行」として、先週末からフィリピンとインドネシアを訪問した。代行は議会承認を必要としない。

 ミラーはフィリピンでロレンザナ国防相、ロクシン外相と会談し、海軍のスキャンシステムなど2900万ドルの装備を寄付した。

 インドネシアではスビアント国防相、マルスデ外相らと会談し、インド太平洋作戦、とくに南シナ海での中国軍の牽制作戦などに関する話し合いが行われたという。

 台湾外交部は12月8日に米国が戦闘機、ミサイル、魚雷、潜水艦技術にくわえて野外の軍事通信システムを2億8000万ドルで供与してくれることになった、と発表した。

 かくしてトランプ戦略、最後の地固めが急がれている。

──────────────────────────────────────※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: