と亜東関係協会との間の漁業秩序の構築に関する取決め」)が結ばれてから2年を経た。
李登輝元総統が1996年に農林水産省に持ちかけて以来、日台漁業協定の締結は日台間の「最大の
トゲ」と言われ続けた難問だった。しかし、安倍晋三総理自身が明らかにしているように、強い政
治的主導と米国のバックアップにより、17年目にして17回目の協議でようやく妥結した。
この協定のキイワードは「北緯27度」。北緯27度より南、日本の先島諸島より北の間の水域に
「協定適用水域」を設けることにより、日本と台湾は中国漁船の侵入を食い止めることで一致し
た。それゆえ、李登輝元総統は「歴史的快挙」と快哉を叫び、中国は「重大な懸念」を表明した。
4月12日、馬英九総統は宜蘭県蘇澳鎮で開催された「台日漁業協議」調印2周年の活動に出席、同
協議調印2周年の成果と意義について説明し、台湾外交部も締結2周年の声明を発表したことを「琉
球新報」が伝えている。
この日台漁業協定締結の意義は深い。いくら強調しても強調しすぎることはない。日台の最大の
懸案が解決されたことで、いわば、頭の上の重しが取れた状態となり、日台の実務関係はよりス
ムーズにかつ着実に伸展するようになっている。
この年の11月5日には、交流協会と亜東関係協会は3つの取決め(「日台電子商取引取決め」、
「日台薬事規制協力取決め」、「日台航空機捜索救難協力取決め」)と2つの覚書(「日台特許等
優先権書類電子的交換了解覚書」、「日台鉄道交流了解覚書」)を締結した。
また11月28日、本会の小田村四郎会長らが控訴人となったNHK「JAPANデビュー」裁判の
控訴審で逆転勝訴したこの日、日本と台湾は「金融監督協力覚書」(金融監督分野における相互協
力のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の覚書)を締結している。
日台間で残っているのは二重課税問題だけと言われる。それが解決すれば、いつでも自由貿易協
定(FTA)や経済連携協定(EPA)の締結ができる状態になるという。
◆日台民間漁業取決め(全文)
http://www.koryu.or.jp/ez3_contents.nsf/15aef977a6d6761f49256de4002084ae/122d5ed43161e84049257b490024d3d4/$FILE/torikime.pdf
日台漁業協定2年 沖縄側に残る不満、台湾側は評価
【琉球新報:2015年4月15日】
2013年4月10日に結ばれた日台漁業取り決め(協定)について、外務省に相当する台湾の外交部
は14日までに締結2周年の声明を発表し、同宜蘭県で調印2周年のイベントも行った。日本の排他的
経済水域(EEZ)内で、台湾が主張する海域での漁業問題は「適切に処理され、アジア太平洋地
域の安定と繁栄に貢献できた」と評価している。外務省は正式に声明を出していないが、3月の日
台漁業委員会で決定した新たな操業ルールに「一定の成果があった」と評価した。一方、県内の漁
業関係者からは「もともと、われわれの海域」と不満の声が挙がった。
外交部の声明書は「『日台漁業協定』調印2周年の優れた成果」という表題で、「取り決めが締
結される1年前、17件争議があったが、現在は全くなく、良好な作業秩序が確立された」と評価し
ている。新たな操業ルールについて「日本の小規模な漁船を配慮し、海域によって昼夜交代操業な
どを原則とし、双方のトラブル減少や漁業者の操業利便性を高めた」と指摘。「今後も、日台漁業
委員会を通して、協議できていない海域について日本側と交渉していく」方針だ。
外務省アジア大洋州局中国・モンゴル第2課の伊藤直人首席事務官は、日本側が声明を発表しな
いことについて「文化の違いもあると思う」と話し、その上で「漁業者がちゃんと安心して漁を
行ってもらうことが一番重要だ」と強調した。
一方、県漁業協同組合連合会の国吉真孝会長は「EEZが国際法で決まる前まで、台湾漁船も日
本のEEZ内を操業していた」と説明し「EEZが決定後、台湾はそれまで使っていた漁場を使え
なくなった。もともと(台湾漁船が)使っていた漁場が戻って来たということでセレモニーを実施
したのではないか」とみている。「(協定の)適用水域内は、日本のEEZ内でわれわれの海に違
いない」と強調し、台湾側との認識の違いが浮き彫りになった。