【良書紹介】 一青妙『「環島」 ぐるっと台湾一周の旅』(東洋経済新報社)

自転車などで台湾を一周することを「環島」や「環台」と言い、2000年以降にこの言葉が急速にひろがり、近年は大ブームとなっている。日本人の参加者も少なくなく、旅行会社がツアーを組むほどまでになっている。「環島」は日本語では「かんとう」、中国語で「ホワンタオ」と読むそうだ。

 本誌でも、第1作のエッセイ集『私の箱子』をはじめ『ママ、ごはんまだ?』などを紹介してきたエッセイストや女優、歯科医としても活躍中の一青妙(ひとと・たえ)さんがこのほど『「環島」 ぐるっと台湾一周の旅』を出版された。

 本書は2016年11月、初めて自転車でこの環島に挑戦し、8泊9日で時計とは逆回りのコース966kmを走った体験記だ。しかし、単なる体験記ではない。台湾各地の料理や風景などを紹介するだけにもとどまらない。

 一青さんは「環島を通して自分の育った台湾を『認識』し、台湾に対する郷土愛が生まれた。環島という行為は、原点回帰を意味する行為なのかもしれない」とつづり、「台湾をぐるっと回れば、台湾に対する既成概念が覆(くつがえ)される」ともつづる。環島とは「認識台湾」(台湾を知る)であり、新しい台湾の発見だという。

 自転車による初めての環島で、一青さんはすっかり環島の魅力にはまってしまい「環島中毒」になったという。「台湾を知る」という環島から、「日本を知る」環島となり、今年に入ってからは日本にも環島できるところはないかと探しはじめ、2月には屋久島一周(100km)、3月には四国一周(1,000km)、5月には佐渡一周(210km、一青さんは半周の100km)に行ってそれぞれの環島を堪能し、9月には母のルーツでもある能登半島をめぐる「ツール・ど・のと400」にも参加したという。本書では、屋久島、四国、佐渡を自転車で巡った体験記も載せている。

 驚いたことに、10月には2度目の台湾環島に行ってきたそうで、最近の夢は「近い将来、日本人と台湾人の構成チームを結成し、環島すること」だと記す。

 本書には、一青さんをここまではまらせた環島の魅力がぎっしり詰まっている。その他にも「列車、バス、徒歩……ほかにもある台湾環島の方法」や「自転車環島のために必要なもの」「環島で立ち寄りたいところ 観光・グルメ紹介」もあり、これ1冊で環島への不安を除いて心の準備が整うよう構成されていて、痒いところに手が届いている本だ。

 なお、一青妙さんご自身もブログ「妙的日記」で本書を紹介しています。

◆一青妙オフィシャルブログ「妙的日記」[11月10日] https://ameblo.jp/hitototae/

・書 名:「環島」 ぐるっと台湾一周の旅・著 者:一青妙・体 裁:四六判、並製、本文268頁(オールカラー)・版 元:東洋経済新報社・定 価:1,404円(税込み)・発 売:2017年11月10日 https://store.toyokeizai.net/books/9784492046197/


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