去る8月3日午前、北海道白老町(しらおいちょう)と台湾の花蓮県秀林郷が「友好交流推進協定」を締結しました。調印式には北駐日経済文化代表処の謝長廷代表が立会い、白老町からは戸田安彦(とだ・やすひこ)町長、秀林郷からは王●瑰・郷長が臨み、オンラインで協定書に署名したそうです。(●=枚の木扁が王扁)
白老町にはアイヌ文化復興拠点の「ウポポイ(民族共生象徴空間)」があり、花蓮県秀林郷の住民の9割が原住民のタロコ族が暮らすことから、台湾の領事館に当たる台北駐日経済文化代表処札幌分処が協定締結を白老町に提案して実現したそうです。
「ウポポイ」とは、白老町役場のホームページによると、アイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」を意味し、ポロト湖畔に設置された先住民族アイヌの文化復興等に関するナショナルセンターだそうで、このウポポイには、国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園・慰霊施設などの施設があるとのことです。
白老町はこれまで、アイヌ民族博物館(現・国立アイヌ民族博物館)が台湾原住民委員会の要請を受けて訪台してタロコ族と交流し、2014年10月には同年に発足した白老日台親善協会が主催する台湾親善の旅に戸田町長も参加して台北市でトップセールスを行い、翌2015年11月には高雄市で「アイヌミュージアムフェアin台湾」を開催するなど、台湾との交流を積極的に進めてきていて、それが今回、秀林郷との「友好交流推進協定」という形に結実したそうです。
心から祝意を表し、下記に地元紙の「苫小牧民報」の記事をご紹介します。
なお、白老町と花蓮県秀林郷の「友好交流推進協定」締結は、日台の都市間提携として今年3件目で、7月11日の千葉県銚子市と桃園市の「友好交流協定」、7月27日の佐渡市と高雄市の「友好交流覚書」に続くものです。
また、本会に調査によりますと、日華断交から7年後の1979年10月10日に青森県大間町と雲林県虎尾鎮が「姉妹町」を締結したことを嚆矢として、白老町と花蓮県秀林郷の「友好交流推進協定」締結で106件となります。
◆白老町役場:ウポポイ(民族共生象徴空間)について http://www.town.shiraoi.hokkaido.jp/docs/2016081600013/*アイヌの歴史とアイヌ文化を主題とした日本初の国立博物館。開業は2020年7月12日。
—————————————————————————————–白老町と台湾の花蓮県秀林郷 友好交流推進協定を締結【苫小牧民報:2022年8月4日】http://www.hokkaido-nl.jp/article/26100
白老町は3日、台湾の花蓮県(かれんけん)秀林郷(しゅうりんごう)と友好交流推進協定を締結した。調印式は町役場と台湾をオンラインでつないで行い、平等互恵の立場で教育、伝統工芸、芸術、観光、産業など幅広い分野で交流を進めることを取り決めた。
秀林郷は台湾中央山脈の東側に位置する花蓮県の北部の村で構成された郷(行政区)。人口は白老町とほぼ同規模の約1万5,500人で、先住民のタロコ族が9割を占める。
協定は計4条あり、平等互恵の立場で、多岐にわたる分野で友好関係を構築することが盛り込まれている。「国立の先住民族文化復興拠点がある白老町と交流を深めたい」という秀林郷の提案を、同町が受けて締結に至った。
台湾と同町は、民間主体で親睦交流を重ねてきた。10年以上前にはアイヌ民族博物館(現国立アイヌ民族博物館)が台湾原住民委員会の要請を受けて訪台。タロコ族との交流を深めた。2014年には白老日台親善協会が発足し、台湾親善旅行を実施。15年には台湾でアイヌミュージアムフェアin台湾が開催されたほか、アイヌ民族博物館と台湾国立博物館「台湾行政院原住民文化園区」が博物館協定を締結している。
調印式は、秀林郷の王●瑰郷長らのほか、台湾の大使館に当たる東京・台北駐日経済文化代表処の謝長廷駐日代表などをつないで行い、計20人ほどが参加した。(●=枚の木扁が王扁)
王郷長は「郷が誇る自然とタロコ族の文化を生かし、両郷町のますますの交流と新たな外交視野を広げていきたい」と述べた。戸田安彦町長は「コロナウイルスの感染状況が落ち着き次第、教育や観光分野で交流したい。子どもたちが異文化に学ぶ意義は大きい」と話した。
謝駐日代表は「二つの先住民族文化復興拠点が手を取り合ったことは、とても意義深い。締結を機に台日の結び付きが強まり、観光、文化、青少年交流が深まっていくことを期待する」と話した。
先住民族間の交流によって国際的な友好交流協定を自治体間で結んだのは、白老町では初めて。
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