する世論調査では、民進党の蔡英文・陳建仁の支持率は46.1%、中国国民党の朱立倫・王如玄は
16.1%、親民党の宋楚瑜・徐欣瑩は9.1%だった。
11月27日に発表された「台湾指標民調」の世論調査では、蔡英文・陳建仁の支持率は44.8%、中
国国民党の朱立倫・王如玄は19.1%、親民党の宋楚瑜・徐欣瑩は11.8%だったから、民進党候補者
は中国国民党候補者との差を25.7ポイントから30ポイントに広げ、独走態勢に入ったとみられる。
産経新聞は「民進党・蔡英文氏の優勢はほぼ確定」と報じ、日本経済新聞も「独走態勢に入って
きた。馬英九政権(国民党)の経済政策などへの不満を取り込み8年ぶりの政権交代が近づく」と
報じている。下記に日本経済新聞の記事を紹介したい。
台湾総統選、野党・蔡氏が独走 馬政権への不満吸収
【日本経済新聞:2015年12月24日】
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM23H4L_T21C15A2FF1000/
【台北=山下和成】来年1月16日に投開票する台湾総統選挙で最大野党・民進党の公認候補、蔡
英文主席(59)が独走態勢に入ってきた。馬英九政権(国民党)の経済政策などへの不満を取り込
み8年ぶりの政権交代が近づく。国民党の朱立倫主席(54)は出馬の際の混乱などが響き支持率で
大差がついている。同日実施される立法委員(国会議員、定数113)選でも民進党は単独過半数
(57議席)をうかがう勢いだ。
「国民党は『633』を約束したのに給料は安いままだ」。蔡氏は20日、台湾北部の桃園市内での
選挙集会で訴えた。集まった約1万人の支持者からは「そうだ!」との掛け声が一斉に飛んだ。
2008年の総統選で勝利した馬英九総統(65)は公約に「経済成長率6%、失業率3%、1人当たり
域内総生産(GDP)3万米ドル」の「633」政策を掲げた。ただ15年の経済成長率は約1%、1人
当たりGDPも約2万2400米ドルにとどまる見通し。10月の失業率も3.9%だ。馬政権への失望感が
蔡氏の支持につながっている。
蔡氏は毎週末、台湾の北部や大票田の中部での集会をこまめにこなす。台湾では伝統的に北部は
国民党、南部は民進党の支持基盤だが、今回は蔡氏が北・中部でも浸透している。北部苗栗県で市
レベルの行政単位のトップである「郷長」で、国民党支持者の一人(53)は「みんな変化を求めて
いる。朱氏の逆転はもう難しい」と嘆く。
蔡氏は、12年の前回総統選で苦手とした対中政策でも、民進党の台湾独立志向を抑えた「現状維
持」を掲げた。経済団体が22日に開いたフォーラムでは「(中国と)意思疎通し、挑発はせず、想
定外の事態は起こさない」などと語り、経済界の評価も高まっている。
調査会社の台湾指標民調が10〜11日に実施した世論調査では、蔡氏の支持率は46.1%、朱氏は
16.1%と、差は3倍近く開いている。
朱氏の頼みの綱は「危機カード」だ。20日には、蔡氏が当選した場合「皆さんは両岸(中台)関
係がどうなるのか悩むことになる」と訴えた。中台関係は国民党だからこそ安定し、民進党に政権
交代したらぎくしゃくしかねないとの不安をあおる作戦だが、今のところ有権者には響いていな
い。
国民党のエース格の朱氏は支持率が低迷した洪秀柱・立法院副院長(国会副議長、67)に代わ
り、10月中旬に急きょ党の公認候補となった。それまでは出馬をかたくなに拒んでいた。国民党の
ベテラン立法委員は「『責任逃れ』『計算高い』といったマイナスイメージが払拭できていない」
と語る。
ペアで出馬する副総統候補の女性弁護士、王如玄氏(54)のスキャンダルも痛手だ。軍人専用住
宅を投資目的で複数購入していた問題が発覚。王氏は8日の記者会見で涙ながらに謝罪したが「弱
者の味方」というイメージが失墜し、朱氏の支持率急落にもつながった。
朱氏の最後の手段は対中政策を巡り蔡氏の「敵失」を誘うこと。今月27日と1月2日には野党・親
民党の宋楚瑜主席(73)も含む3人の総統候補のテレビ討論会が開かれる。朱氏はここで蔡氏の対
中政策の曖昧さを突きたい考え。蔡氏はここまで台湾の主要メディアのインタビューをほとんど受
けておらず、失言を極力避ける「守り」の戦いに徹している。