【台湾八八水害】台湾大地震:発生10年「防災体制確立を」水害で要求高まる

【9月22日 毎日新聞】

 【台北・大谷麻由美】台湾中部で99年9月、2400人以上が死亡した「台湾大地震」から
21日で10年となった。台湾では8月にも台風による水害で多くの犠牲者を出し、馬英九政
権の対応の遅れが批判されたばかり。台湾メディアは地震と水害を比較し「10年たっても
政府の防災・救援体制に進歩なし」と批判し、与野党の対立を超えた体制確立を求める声
が高まっている。

 馬政権は水害の復興に経費を回すため、地震関連の行事中止を決めている。このため、
21日は、地震被害の大きかった南投県など地方政府が避難訓練や討論会、写真展など小規
模な行事を開催した程度だった。

 水害の不手際で批判を浴びた馬政権は、内閣総辞職で人心一新を図り、支持率は若干持
ち直している。しかし、水害の際の政府の体制を見れば、10年前の地震の経験が生かされ
ていないことは歴然としている。地震後に今後の課題をまとめた成功大学防災研究センタ
ーの謝正倫主任は聯合報の取材に「10年前の報告書を数字だけ置き換えれば、水害の報告
書になる」と語るほどだ。

 8月の水害では村、県市、中央政府とつながる情報系統の混乱が被害拡大の原因となっ
たが、地震の際も情報管理の一元化が課題として挙げられていた。10年前に提言のあった
防災と救援の機能をあわせ持つ「防災総署」はいまだに設立されていない。未整備の責任
は陳水扁前政権の8年間の執政にもある。

 聯合報は20日の社説で「台湾はこの10年で2度の政権交代を果たしたが、民主主義が成
就する中で民衆の生活改善を忘れてはならない」と戒めた。「りんご日報」も、選挙によ
る対立激化から、与党・国民党の北部と野党・民進党の南部の支持基盤の亀裂が深まって
いるとして、「北部にいる馬政権が南部の水害に意識が及ばず、対応の遅れの一因となっ
た」と指摘した。馬総統はネットワーク化された「災害防災救援署」の設立などを約束し
ている。



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