馬英九も「中国台湾省」に反対を表明WHOに抗議【毎日新聞】
台湾:「中国台湾省」名称 WHOに抗議
2011年5月11日
【台北・大谷麻由美】台湾野党・民進党は9日、世界保健機
関(WHO)が昨年9月に加盟国に対し、台湾の名称について
中国の一部であることを意味する「中国台湾省」を使うよう求
める内部文書を配布したことを明らかにした。台湾外交部(外
務省)は同日中にWHOに「台湾の主権をないがしろにしてい
る」と抗議した。
さらに馬英九総統は10日、「我々を矮小(わいしょう)化する
名称だ」とWHOに強い不満を表明。中国にも「WHOに圧力を
かけたのは明らかで、台湾人の感情を傷つけた」と批判した。
この内部文書には、WHOと中国との間で05年に「中国台
湾省」の名称を使う密約が交わされていたことが記されていた。
文書には名称のほか「台湾を中国とは別の国と見なすべきで
ない」とも書かれていたという。
馬総統は08年の就任後、対中関係の改善を進めてきた。中
国とWHOとの協議の末、09年からWHO年次総会へのオブ
ザーバー参加を果たした。公式の場では、中国が台湾に配慮
する形で、五輪参加の際の「中華台北」という名称が使われて
きた。しかし、中国は各国に「一つの中国」を認めるよう圧力を
かけ続けてきた。
一方、馬政権は内部文書の配布を当初から知っていたが、
WHOへの参加を「国際社会での孤立から脱却する成果」と評
価しており、公表しなかったようだ。民進党の暴露を受け、馬総
統がすぐに抗議を決定した背景には、来年1月の総統選を控え、
台湾人にとって最も敏感な主権問題に絡んで「中国に対して弱
腰だ」との批判をかわす狙いとみられる。