李登輝元総統が「烏山頭ダム」の世界遺産登録に賛成署名

許世楷・前台湾駐日代表処代表が提唱し、台湾で署名活動が拡大

 日本でも大評判だった八田與一(はった・よいち)の烏山頭ダム建設を描いたアニメ映
画「パッテンライ!!」の台湾吹き替え版「八田與一」の一般上映が13日から台湾各地の映
画館11館で始まった。9日の台北市での試写会には李登輝元総統も臨席、鑑賞後に「若者
のためになる映画だ。多くの人に見てほしい」と 感想を語ったという(10月9日付「北國
新聞」)。

 この烏山頭ダムを世界遺産に登録しようという活動が活発化している。報道によれば李
登輝元総統も9日に賛成の署名をしたという(下記参照)。

 そもそも烏山頭ダムの世界遺産登録を提唱したのは、許世楷・前台北駐日経済文化代表
処代表(台湾駐日大使に相当)だったようだ。

 昨年4月28日発行の本誌第1754号でも伝えているように、許世楷代表は2008年4月25日に
石川県金沢市で講演した際に「烏山頭ダムはユネスコの世界遺産に登録申請されるべきも
のだが、台湾は国連に認められず、ユネスコのメンバーでもないため申請さえできないと
し、日本の人たち、特に石川県の人たちが烏山頭ダムを石川県人の誇りと考えるならば、
台湾に代わって登録申請してほしいと訴えた」という4月26日付の「台湾国際放送ニュー
ス」を紹介している。許大使は代理登録申請の例として「東京上野にある国立西洋美術館
はフランスによって世界遺産に登録申請する動きがあり、登録申請の代行は前例がある」
と講演で紹介していた。

 その後、「登録に向けた運動は金大に留学経験のある台湾警察専科学校(台北市)の許
光輝助教授が、八田技師の墓前祭に参列した日本の学者との議論を通し、緻密に計算され
た設計や自然環境に配慮した構造など、烏山頭ダムの素晴らしさを再確認したことがきっ
かけ。『世界遺産として恥ずかしくない』と登録申請に向け準備を進め」(2009年1月5日
付「北國新聞」)、昨年11月には、許助教授の呼び掛けに応じた台湾大学農学部の郭華仁
教授と台南芸術大学の曾旭正教授が中心となり「烏山頭ダム水利システム世界遺産登録」
推進同盟が設立され、台湾で署名活動が推進されてきたというのがおおまかな経緯だ。

 台湾と日本を結ぶ絆の象徴が八田與一と言っても過言ではない。日本は台湾に代って烏
山頭ダムの世界遺産登録に協力したいものだ                (編集部)

■許世楷代表が金沢講演で烏山頭ダムの世界遺産登録の代理登録を提案
 http://www.melma.com/backnumber_100557_4078574/(2008年4月28日)                     


台湾:李元総統、「烏山頭ダム」世界遺産登録に賛成の署名
【11月10日 毎日新聞】

 【台北・大谷麻由美】台湾の李登輝元総統は9日、日本統治時代に日本人の八田与一技
師(1886〜1942)が建設した南部の巨大ダム「烏山頭ダム」の世界遺産登録に賛成する署
名を行った。馬英九総統も署名運動を「非常に有意義」と評価しており、八田技師を介し
た日台関係強化の動きが加速している。

 李元総統は台北で9日に行われた八田技師を描いた日本のアニメ映画「パッテンライ!!」
(台湾語で「八田が来た」の意味)の上映会に出席した。台湾野党・民進党の謝長廷・元
行政院長も来場し「八田技師は多くの台湾人に影響を与え、生活を改善させた」と評価し
た。同映画は今月13日から台湾全域で一般上映される。

 烏山頭ダムとかんがい施設は建設当時、アジア一の規模を誇り、不毛の土地を台湾最大
の穀倉地帯に変えた。



投稿日

カテゴリー:

投稿者: