李元総統もDVDで鑑賞した「パッテンライ!!」が5月8日から新宿で公開!

映画を見る前にお勧めしたい李登輝元総統の『「武士道」解題

 八田與一(はった・よいち)技師による台湾の烏山頭ダム造成を描いたアニメ映画「パ
ッテンライ!!」(90分)は李登輝元総統もDVDで鑑賞されたというが、その完成披露試
写会が昨年11月11日に金沢市の北國新聞赤羽ホールで開かれたのを手始めに、金沢市内の
映画館で公開され、また11月20日には東京・新宿の明治安田生命ホールでも試写会が開か
れている。

 今年に入ってからは、1月30日に台北駐日経済文化代表処の主催により東京・文京シビ
ックセンターで開かれ、また2月7日には台湾との交流を10年来続けているという長野市の
豊栄(とよさか)小学校が長野市松代文化ホールで開いている。2月16日には北海道長沼
町でも試写会が開かれている。

 劇場公開までにはかなりの試写会を繰り返さなければならないとは仄聞していたが、こ
れは大事業だ。

 その劇場公開が5月8日、八田技師の命日に東京・新宿の「シネマート新宿」で公開され
ることが決まったという。今後は名古屋の名演小劇場、大阪のテアトル梅田でも公開され
る予定だそうだが、それでも単館上映だ。全国的に同時上映というわけではない。

 日本と台湾の歴史的結びつきを象徴する八田與一を描いたアニメ映画「パッテンライ!!」
を通して、日台の絆を改めてかみしめたい。

 なお、この映画はあくまでも日台関係を知るための入口だ。八田という人物を通して、
自分の夢の実現のために力を尽くしてゆくという切り口を強調しているため、日本と台湾
の歴史的関係はあまり掘り下げていないうらみがある。今では外国となった台湾で、なぜ
日本人の八田技師が烏山頭ダムを造ることになったのかなども分かりにくい。

 八田與一を通して日台関係史を掘り下げるのなら、やはり書物を読む以外にない。古川
勝三(ふるかわ・かつぞう)『台湾を愛した日本人』(青葉図書、平成元年刊)や許國雄
(きょ・こくゆう)監修『台湾と日本・交流秘話』(展転社、平成8年刊)、斎藤充功(さ
いとう・みちのり)『百年ダムを造った男』(時事通信社、平成9年刊)などがあるが、
残念ながら今ではほとんど手に入らない。

 そこでお勧めは、李登輝元総統による『「武士道」解題』だ。この本の最後に「日本人
の精神」と題した付録が収録されていて、これが八田與一の烏山頭ダム造成をテーマに慶
応大学の三田祭で行う予定だった講演原稿だ。当初、小学館から単行本で出たが、平成18
年(2006年)に小学館文庫から出て、今でも入手できる。単行本も在庫がある。

 アニメ映画「パッテンライ!!」を見る前に、ぜひご一読をお勧めしたい。 (編集部)

■アニメ映画「パッテンライ!!」
 http://www.hokkoku.co.jp/pa-tenrai/index.html

■李登輝『「武士道」解題』(小学館文庫)
 http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/sol_detail?isbn=4094057927