「独裁と民主の対決」軍拡中国に日米台で対抗を  河崎 真澄(産経新聞論説委員)

【産経新聞「国際情勢分析」:2019年7月25日】https://www.sankei.com/world/news/190725/wor1907250001-n1.html

写真:台湾有事への備えをテーマに都内で開かれた国際シンポジウム「日米台安全保障協力の方向   性」で登壇者に質問する会場の参加者(左端)=2019年5月29日(河崎真澄撮影)

 台湾海峡や周辺地域の安全保障をめぐる議論が活発になってきた。中国は共産党の一党独裁によるトップダウンで、軍備増強を急ピッチに進めてきた。一方で地政学的に対峙(たいじ)している日本や台湾、米国は議会や世論、選挙など民主主義の手続きを踏まねばならず、中国の軍拡スピードに追いついていないのが実情だ。台湾で来年1 月に行われる総統直接選を控え、中国は「独立派」とみなす候補を不利にさせようと、軍事脅威を高めて台湾の有権者を威圧している。日米台が安全保障上の関係をいかに強め、抑止力を高められるかが急務となっている。(河崎真澄)

 習近平国家主席は今年1月、台湾統一へ「武力行使の放棄を承認しない」と改めて強調した。呼応した中国軍は、台湾海峡での挑発行為を繰り返している。

 台湾海峡で3月、空軍戦闘機「殲(J)11」2機が台湾海峡の中台中間線を越境した。極めて異例な動きだ。台湾の中央通信社などによると、6月には海軍の空母「遼寧」を中心とした艦隊が、沖縄の宮古島沖を通過して南下した。米領グアム島の周辺を経由し、フィリピン南部の海域を回って南シナ海に入った。さらに台湾海峡を北上した。日米台を威圧した格好だ。

 ウクライナ製の旧式空母をマカオ企業がカジノに利用すると偽って購入し、中国軍が初の空母として改修してきた。さらに2隻の国産空母を建造中という。

 一方で、米国務省は7月8日、台湾への主力戦車や携帯式地対空ミサイルなど総額22億ドル(約2400億円)の武器売却を承認。中国は「強烈な不満と断固とした反対」を表明した。

 こうした流れには「デジャブ(既視感)」がある。1995年から96年にかけて、中国が台湾沖に弾道ミサイルを発射し、一触即発の事態となった「台湾海峡危機」だ。

 台湾での96年3月の総統直接選挙を控え、中国は独立派と非難した李登輝総統の当選を阻もうと、「戦争の恐怖」をあおって台湾有権者を威圧した。ただ、米軍は空母2隻を台湾周辺に派遣し、沈静化させた。

 台湾では来年1月、7回目となる総統直接選が行われる。党綱領に台湾独立を掲げる民進党の総統、蔡英文氏の再選阻止を中国は狙っている。米国との対立は今後、先鋭化しそうだ。

 そうした状況下で日米台関係研究所(渡辺利夫理事長)が5月、都内で開いたシンポジウム「日米台安全保障協力の方向性」で、台湾シンクタンクの頼怡忠(らい・いちゅう)副執行長は、「独裁と民主主義の対決だ」と述べ、民主主社会の団結を訴えた。

 台湾の弱点は、日米ともに外交関係がないこと。だが頼氏は、「日米間には安全保障条約があり、米台には米国の国内法『台湾関係法』がある」と強調し、日台間の防衛対話が欠かせない、との認識を示した。

 また、米国の元国防次官補(アジア・太平洋安全保障担当)、ウォレス・グレクソン氏は、「米国の台湾をめぐる政策は一貫しており、法の支配が重要だ」と訴えた。また、「世界で民主主義が衰退しているとすれば、日米台の協力が欠かせなくなる」と述べた。

 岡崎研究所理事で元海将の金田秀昭氏は、日米台の協力策に4点を挙げた。

 まず、高度な機密は含まない準外交レベルの軍事情報を省庁間で交換する。次に、海上の安全や秩序維持で共同対処行動を取る。そして、定期的な連絡協議など日露、日中間にはすでにある危機管理システムを日台間にも作る。最後に、例えばグアムを中心に、人道主義的な観点から日米で災害協力の訓練を行い、台湾にも参加を呼びかける。

 台湾はパラオやマーシャル諸島など太平洋に外交関係のある6カ国があり、地震や津波、台風や海難などで地域の安全を維持する役割を担うべきでもある。

 同シンポジウムでは日本に対し、台湾との関係に法的な根拠を設ける「日台交流基本法」制定を求めるなど、連携のための6項目の共同声明が採択された。

 さらに6月には、日本安全保障戦略研究所(高井晉所長)が、「台湾の安全保障と日本の課題」と題する公開セミナーを行った。

 台湾の国防大学で校務諮詢委員の役職にある邱伯浩(きゅう・はくこう)氏は、中国からの軍事脅威について「かつては(国民党と共産党の)内戦だったが、現在では国際紛争となっている」と述べた。中国が「内政だ」と主張して日米などからの介入を拒む事態を強く牽制(けんせい)している。

 技術面で「台湾にとって潜水艦技術の取得が重要だが、日本の協力はなお得られていない」と訴えた。邱氏はまた、「台湾は外交関係のないシンガポールの軍事訓練を引き受けるなど実績がある」とも述べ、外交の壁を乗り越えた日台協力の方策に期待を示した。

 また、元海将の矢野一樹氏は、「中国は(軍事パワーで)自信をもった瞬間に出てくる」と強調。元空将の小野田治氏も、「既成事実化のリスク」と話し、南シナ海における実効支配など、中国の軍事的行動に強い警戒感を示している。

 来年1月11日に投票される台湾の総統選まで半年を切った。もはや一刻の猶予も許されぬ事態だ。台湾に隣接する日本が、今こそ行動すべき時ではないか。


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