蔡英文政権にとっての総統選挙における侮りがたいもう一つの敵

本年1月3日、台湾の大手紙「自由時報」の広告欄に、蔡英文総統は2020年総統選への再選出馬を諦めるよう呼び掛けるメッセージが掲載された。呼び掛けたのは、台湾独立派の長老と言われる総統府元資政の彭明敏氏、総統府資政の呉●培氏、長老教会牧師の高俊明氏(2019年2月14日逝去)、中央研究院元院長の李遠哲氏の4氏(●=さんずいに豊)。頼清徳・元行政院長の人気が高く、総統候補の呼び声が高かったころのことだった。

 今度は、台湾独立聯盟日本本部の主席をつとめたこともある辜寛敏氏が記者会見で、蔡英文総統支持打ち出した。8月7日のことだ。辜氏は「総統選では総統と副総統をペアで選ぶため、辜氏は蔡総統と頼氏が手を組むことに期待を寄せた」(中央通信社)ともいう。

 長老方の意向表明は一定程度の影響力を持つ。候補者にとって支援は有難く、不支持は傍迷惑以外のなにものでもないが、テレビメディアが毎日、候補者の動向を逐一放映したらどうなるか。

 それを証明したのが、昨年11月24日の高雄市長選で当選した韓國瑜氏のケースだ。中天電視と中国電視がそれをやってのけた。結果は昨年8月くらいまでは泡沫候補扱いだった韓國瑜氏の圧勝という結果になった。

 イギリスの日刊経済紙「フィナンシャル・タイムズ」は、中国系資金で運営される台湾のテレビ局が中国の「国務院台湾事務弁公室から、中台関係や中国関連のテーマについて、毎日のように直接の指示を受けている」ことを暴露した記事を掲載した。

 やはり、怖いのはこのようなテレビ媒体やSNSを通じ、フェイク・ニュースやプロパガンダ放送を流されることだ。長老方の影響力の比ではない。台湾で、メディア情報を批判的に評価すメディア・リテラシーの涵養が叫ばれている所以だ。

 長老方には自分たちの意向表明もさることながら、大所高所の立場から、まず中国が仕掛けているフェイク・ニュースやプロパガンダ放送に気をつけろと注意を喚起して欲しかった。フェイク・ニュースなどもまた、中国の台湾工作の一環なのだ。蔡英文政権にとっては、総統選挙における侮りがたいもう一つの敵である。

 岡崎研究所が「フェイク・ニュースやサイバー攻撃によりプロパガンダを流し、国民党に有利な状況を作り出すというようなことが強く想定される」として、台湾政府に「あらゆる前線で中国の介入に対抗して」いくことを勧めている。

—————————————————————————————–中国が侵食する台湾総統選【WEDGE infinity:2019年8月9日】

 7月28日に開催された台湾の国民党大会で、2020年1月の総統選における同党の公認候補として、韓国瑜・高雄市長が正式に選出された。中国側の同人、そして、国民党への肩入れ工作が強まることは間違いない。また、韓国瑜、国民党側からの中国に対する働きかけも増すであろう。双方は「独立派」の蔡英文を共通の敵としている。

 2018年11月の統一地方選挙で高雄市長に選出された韓国瑜は、2019年3月には早速「中国詣で」をしている。韓は、3月22日に香港入りし、その後、深圳、厦門など中国本土を巡った。その間、中国の国務院台湾事務弁公室の劉結一主任(閣僚級)と会談するなど、異例の厚遇を受けた。

 国民党の洪秀柱・前主席(党首)と中国側当局者の間で「秘密対話」が頻繁に行われているという話もある。最近では、7月4日に天津市において「両岸フォーラム」に洪率いる代表団が参加し、国務院台湾事務弁公室の劉結一主任らと密室で懇談した、と報じられている。洪はもともと国民党の中でも少数派の「統一論者」で、「台湾の将来は統一に向かっている」と述べることも厭わない。

 蔡英文政権の頭越しに公職者、政治的有力者どうしが交流するというのは、蔡政権を認めないという姿勢を明確にする意図がある。ひいては「一国二制度」を浸透させたいとの目論見でもあろう。ただし、香港での逃亡犯引き渡し条例改正をめぐる騒動により、台湾の民意は「一国二制度」への拒絶を著しく強めている。今日の台湾においては「一国二制度」に賛成する国民党幹部はほとんどいない。それにかわって、中台が使用する暗黙の「合意事項」として「92年コンセンサス」(一つの中国、その意味は中台各自が解釈する、との合意があったとする)という同床異夢の約束事を使用する人たちが多い。例えば、馬英九政権のころの台湾は「92年コンセンサス」を根拠に、中国との対話、交流を行っていた。

 台湾当局も、国民党と中国の「秘密接触」に手をこまねいていたわけではない。2019年の5月以降、次のような法改正が行われている。両岸人民関係条例を改正し、中国との政治取り決め調印の手続きを厳格化。刑法を改正し、中国共産党のスパイへの外患罪適用を可能に。国家機密保護法の改正により、機密情報の漏洩防止を強化。6月には、中国との通謀への罰則強化を盛り込んだ国家安全法改正案が立法院で可決された。行政院大陸委員会は 、いかなる政党も 違法行為が発見されれば「政党法」により解散させられ得るとして、 初めて 、洪の代表団のようなものに対し、両岸人民関係条例と人民団体法により法的措置を執る可能性を示した。ただ、こうした対応も、もっと早く執られてしかるべきものであり、遅きに失したと言えるだろう。

 選挙干渉や選挙を混乱させるために中国がとりうる手段として、フェイク・ニュースやサイバー攻撃によりプロパガンダを流し、国民党に有利な状況を作り出すというようなことが強く想定される。一部の台湾メディアへの浸透ぶりは、かなり深刻なものであるようだ。

 7月17日付けのフィナンシャル・タイムズの記事‘Taiwan primaries highlight fears over China’s political influence’は、中国系の資金にからめとられた衛星テレビ局CTiTV(中天電視)とその系列の地上波テレビ局CTV(中国電視)が、この1年間、韓国瑜をバックアップする大々的なキャンペーンをしている様子を生々しく伝えている。記事によれば、CTiTV、中国時報(CTiTVおよびCTVとグループ関係にある新聞)の編集責任者は、国務院台湾事務弁公室から、中台関係や中国関連のテーマについて、毎日のように直接の指示を受けているという。

 台湾当局としては、頭越しの人的交流、経済的締め付け、メディア攻勢、インターネットを通じたフェイク・ニュースやプロパガンダなど、あらゆる前線で中国の介入に対抗していかなければならない。しかし、台湾のような開かれた民主的社会にとっては、フェイク・ニュースやプロパガンダへの対応は、なかなか難しいのが実情である。香港情勢は蔡英文総統にとって追い風となっているが、台湾が中国との関係で厳しい状況に置かれていることに違いはなく、来年の総統選挙の帰趨が地域の安全保障環境に重大な意味を持つことにも変わりはない。

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