このような国民党の動きに対し、蔡英文政権は3月28日、「和平協定などを締結する際のハードルを引き上げ、中国が目指す『一国二制度』による中台統一を阻止」するため、対中交流について定めた関連法の改正案を閣議決定した。
時事通信は「改正案では、中国と政治的な協定締結を進める場合、立法院に諮ることを義務付け『4分の3以上の立法委員(国会議員)の出席と、4分の3以上の賛成が必要』と明記」すると伝えている。
それで思い出したのが、陳水扁政権が2007年に行った4分の3条項と言われる憲法改正で「立法院立法委員4分の1の発議により、4分の3の出席及び出席委員4分の3の議決に基づいて、憲法改正案を作成して国民大会にその承認を提議することができる」(第174条)と定めた。
台湾の憲法改正は、全113人の立法委員の4分の3(85人以上)が出席し、4分の3(64人以上)の賛成を得なければ国民大会にその承認を提議できないと定めた。
日本の場合の憲法改正は「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない」(第96条)と、3分の2(66.66%)以上の賛成が必要と定めている。
これでさえ相当厳しいと言われているが、台湾はさらに厳しく4分の3(75%)だ。ほぼ不可能と言っていいだろう。
蔡英文政権が閣議決定した対中交流関連法の改正案も4分の3。中国による台統一を阻止するためどれほど高いハードルを課したかがわかる。
—————————————————————————————–「一国二制度」阻止へ法改正=和平協定締結にハードル−台湾【時事通信:2019年3月28日】
【台北時事】台湾政府は28日、中国と政治的な協定締結を推進する場合のプロセスを新たに規定するため、対中交流について定めた関連法の改正案を閣議決定した。和平協定などを締結する際のハードルを引き上げ、中国が目指す「一国二制度」による中台統一を阻止するのが狙い。立法院(国会)での審議を経て、早期の施行を目指す。
改正案では、中国と政治的な協定締結を進める場合、立法院に諮ることを義務付け「4分の3以上の立法委員(国会議員)の出席と、4分の3以上の賛成が必要」と明記。協定を結ぶ際は、協定案への賛否を住民投票(国民投票に相当)で問うことも定める。