李登輝元総統特別展「関鍵1991」と蔡英文総統のスピーチ

李登輝元総統特別展「関鍵1991」と蔡英文総統のスピーチ

 李登輝元総統の一周忌の7月30日、蔡英文総統は頼清徳・副総統、游錫?・立法院長、陳菊・監察院長を伴って新北市汐止区の五指山国軍示範公墓にある李登輝元総統の墓地を訪れた後、國史館が主催する李登輝元総統特別展「関鍵1991年:李登輝と台湾民主元年展」を8月2日からの一般公開に先立って参観したそうです。

 この日の開幕セレモニーで、蔡英文総統は「皆で李元総統を偲び、台湾における民主化の道のりを振り返ろう」と、この特別展がなぜ「関鍵1991」(キーとしての1991年)と銘打たれているのかをスピーチしたそうです。

 下記に紹介するTaiwan Today誌は、蔡総統のスピーチについて「李元総統が『動員戡乱時期』の終結を宣言し、『動員戡乱時期臨時条款』を廃止したことを指摘。1991年の様々な改革があったからこそ国民代表が同年初めて全面的に改選され、翌年には立法院(国会)でも全面的な改選が初めて行われたと説明、これによって台湾における一連の民主改革が可能となり、1996年の総統直接選挙につながったとの見方を示した」と報じています。

 李元総統は1991年5月1日、民主化を阻んでいた動員戡乱(かんらん)時期の終了と動員戡乱時期臨時条款の廃止を宣言。また5月22日には「懲治叛乱条例」の廃止を布告し、7月3日には「ブラック・リスト」を大幅解除しています。

 さらに12月31日に至って、1948年に中国で選出されて改選されなかった立法委員と国民大会代表の「万年議員」全員を辞職させ、これによって1992年12月19日に立法委員選挙が実施されることになります。

 この間の1992年5月16日には、反政府運動などの思想犯や陰謀罪を処罰する「刑法百条」を改正して政治犯が釈放し、叛乱罪事件で係争中の事件も免訴としています。8月1日には戒厳司令部ともいうべき警備総司令部を廃止しました。

 このように振り返ってみますと、1991年という年が台湾民主化にとって「キー」となっていたという見方に得心がいくようです。まさに「民主元年」です。

 在りし日の李登輝元総統が当時を振り返って「万年議員をひとり一人訪ね、議員を辞めて欲しいと頭を下げて頼んだんだよ。当時のお金で600万元持ってね。国民党は豊かだったから、こういうときに使わないとと思ってね」と、にこやかに話されていたことを思い出します。

—————————————————————————————–「李登輝元総統と民主元年展」開幕、蔡総統が「台湾の民主化振り返ろう」と呼びかけ【Taiwan Today:2021年8月2日】https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=205391&unit=148&utm_source=

 蔡英文総統が7月30日午後、国史館(台湾北部・台北市)で「関鍵1991:李登輝与台湾民主元年展覧開幕典礼」(「カギの1991年:李登輝と台湾民主元年展」開幕セレモニー)に出席し、同特別展の開幕にあたって李登輝元総統を偲び、台湾における民主化の道のりを振り返ろうと呼びかけた。蔡総統は、数十年にわたる民主化を経て、こんにちの台湾はもはやよちよち歩きの民主主義ではなく、他と支え合え、共に前進できる成熟した民主主義を持つまでになっており、今後いかにして台湾の民主主義をさらに深め、世界へと歩みだすかが自分たちの世代に与えられた挑戦であり使命であると強調した。

 蔡総統はあいさつの中で、李登輝元総統が死去してちょうど1年経った30日、この特別展の開幕にあたり皆で李元総統を偲び、台湾における民主化の道のりを振り返ろうと語った。

 蔡総統はこの特別展が「カギの1991年」と名付けられていることについて、その年に李元総統が「動員戡乱時期」の終結を宣言し、「動員戡乱時期臨時条款」を廃止したことを指摘。1991年の様々な改革があったからこそ国民代表が同年初めて全面的に改選され、翌年には立法院(国会)でも全面的な改選が初めて行われたと説明、これによって台湾における一連の民主改革が可能となり、1996年の総統直接選挙につながったとの見方を示した。

  「動員戡乱時期臨時条款」は中華民国憲法に追加されていた条項で、国が戦時下や非常事態下にある場合、総統や国会議員の任期をはじめとする憲法の規定を超越する措置を認めていた。国民代表はかつて正副総統を選ぶ権利や憲法改正の権利を持っていた国民大会の議員のこと。「動員戡乱時期臨時条款」に基づき、国民政府が台湾に移ってからは顔ぶれが凍結され、改選が行われていなかった。

 蔡総統は、今回の特別展では誰もが1991年に立ち戻って当時国内外に存在した様々な挑戦、ならびに国の発展方向を巡って行われた官民の議論を目にすることになり、李元総統がどのように台湾の民主化を推し進めたのかを深く理解することが出来るだろうと述べた。

 蔡総統は、台湾は民主化の経験を国際社会と共有すると共に民主の価値を守る最前線に毅然と立っているとした上で、今後台湾における民主主義をいかにしてさらに深め、世界へと歩みだすかが自分たちの世代に与えられた挑戦であり使命であると強調した。

 そして蔡総統は、「民主の価値」によって台湾と世界との連携及び交流が深まったことに言及。昨年は台湾が新型コロナウイルスの感染予防物資を他の民主主義国に寄付して感染拡大に共に対抗し、今年台湾が新型コロナワクチンを獲得する上でそれらの国からサポートを得られたことは「善」のサイクルであり、同時に民主主義のパートナーによる助け合いであると評価した。

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