台湾がリトアニアに「駐リトアニア台湾代表処」設置を公表 米国が支持

台湾がリトアニアに「駐リトアニア台湾代表処」設置を公表 米国が支持

 本誌7月8日号でお伝えしたように、バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)で国の西がバルト海に面するリトアニア共和国は6月22日、台湾に英アストラゼネカ製ワクチン2万回分を無償提供することを発表している。

 台湾外交部は7月20日、台湾と国交がないこのリトアニアの首都ビリニュスに代表機関の「駐リトアニア台湾代表処」を設置すると発表した。

 この名称にご注目いただきたい。日本にある「台北駐日経済文化代表処」や米国にある「駐美国台北経済文化代表処」、フランスにある「台北駐フランス代表処」のように台北ではなく「台湾」という名称を冠している。恐らく、台湾の在外公館で「台湾」を冠するのは初めてではないだろうか。

 NHKニュースは「台湾と外交関係のない国は通常、中国への配慮から『台湾』の名称の使用を認めることがなく、呉外交部長は『非常に大きな意義がある』としていますと報ずるように、在外公館の名称は相手国の了承の下に決められる。

 日本でも、陳水扁政権のときに、台湾側から「台湾駐日代表処」の名称を日本政府側に打診したことがあったが、了承を得られなかったと漏れ聞く。よくぞリトアニア政府が了承したものだと驚いた。

 本誌で紹介したように、リトアニア共和国は、国際連合や北大西洋条約機構(NATO)、欧州連合(EU)、経済協力開発機構(OECD)などに加盟する人口280万人ほどの北欧の小国。旧ソ連の連邦構成国ながら独立国家共同体(CIS)には加盟しておらず、ロシアと距離を置く。

 また、中国が主導する中国中東欧首脳会議議の加盟国だったが、リトアニア議会は今年5月下旬、新疆ウイグル自治区のウイグル族への中国政府による圧力をジェノサイド(民族大量虐殺)と認定する決議案を可決して中国中東欧首脳会議議からの離脱を宣言し、中国と距離をとりはじめた。

 同時に台湾と接近し、リトアニアのガブリエリュス・ランズベルギス外相は台湾へのワクチン提供に際して「自由を熱愛する者同士、互いに助け合うのは当然だ」とツイッターで述べたそうで、同外相は6月末、台湾に代表機関を設置する計画を発表していた。

 台湾がリトアニアに代表機関を設置することを発表すると、台湾にある米国在台協会(AIT:American Institute in Taiwan)は間髪を置かず声明を発表し、台湾支持を明らかにした。その全文(英文と中文)はAITのホームページから確認できる。

◆美國在台協會聲明:2021年7月20日 英文:https://www.ait.org.tw/ait-statement/ 中文:https://www.ait.org.tw/zhtw/ait-statement-zh/

 台湾は蔡英文氏が総統に就任してから、中国により7ヵ国と国交断絶の憂き目にあっている。米国と日本を後ろ盾として、いよいよ台湾の反撃がはじまるようだ。

 リトアニアに無事「台湾代表処」が設置されれば、すでに日本では代表処自身が内部においては「駐日台湾代表処」という名称を使ってもよいとされているそうだから、台北から台湾に改める台湾の在外公館が続出するかもしれない。楽しみである。

—————————————————————————————–台湾、リトアニアに「大使館」を設置へ 中国が反発【日本経済新聞:2021年7月20日】https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM203VK0Q1A720C2000000/

 【台北=中村裕】台湾の外交部(外務省)は20日、バルト3国の一つのリトアニアに代表機関を設置すると発表した。事実上の大使館として機能する見込み。中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を主張する中国は強く反発している。リトアニアは中国と国交を結ぶが、最近は中国に不信感を募らせ、台湾との関係を強めていた。

 台湾は「駐リトアニア台湾代表処」の名称で代表機関を設置する計画。台湾の呉?燮・外交部長(外相)は20日の記者会見で「欧州に台湾が代表機関を置くのは、2003年に設置したスロバキアに続き、18年ぶりとなる」と語った。ただ「準備段階で、設置時期は未定。代表機関の設置には今後、リトアニアの国内法の改正が必要だ」と述べた。

 一方、リトアニアも台湾に今秋、代表機関を設置する計画だ。中国外務省の趙立堅副報道局長は20日の記者会見で、「(中国と)国交を結ぶ国が、台湾といかなる交流をすることにも断固反対する」と反発した。さらに「台湾独立の動きは必ず行き詰まるだろう。1つの中国と1つの台湾をつくろうとするたくらみは失敗する」とも警告した。

 リトアニアはバルト海に面する人口約280万人の国で、エストニア、ラトビアと「バルト3国」をなす。

 従来中国とは良好な関係にあったが、最近は特に人権問題で批判姿勢を強めている。同国議会は5月、中国のウイグル族への弾圧を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定した。さらに中・東欧17カ国の経済協力の枠組み「17+1」から離脱を宣言し、欧州連合(EU)に対して、中国との関係見直しも求めている。

 一方、中国は欧州で広域経済圏構想「一帯一路」の拡大を狙い、インフラ投資などでバルト3国にも影響力を強めることを狙ってきたが、むしろ反発される状況にある。日本の茂木敏充外相も今月3日までに中国と距離を置くバルト3国を相次ぎ訪問し、日米などとの関係強化を確認したばかりだ。

 台湾は中国の圧力で近年、世界で外交関係を次々と失う問題に直面している。16年に発足した蔡英文(ツァイ・インウェン)政権では既に7カ国と外交関係を失った。現在、正式に外交関係があるのは15カ国のみ。6割は中南米・カリブ地域の小国に集中する。

 2月には、台湾が南米ガイアナに代表機関「台湾事務所」を設置すると発表をしたが、ガイアナが1日も経たずに台湾との合意を撤回し、代表機関の設置が中止となった。ガイアナが国交を結ぶ中国から圧力を受けたためだと、台湾当局は主張している。

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