共産党と国民党は瓜二つ  河崎 真澄(産経新聞論説委員)

共産党と国民党は瓜二つ  河崎 真澄(産経新聞論説委員)

【産経新聞「一筆多論」:2022年2月22日】https://www.sankei.com/article/20220222-P6HDUVXRFFIXTECMNHI7VJ5GIA/?395071&cx_testId=12&cx_testVariant=cx_1&cx_artPos=1

 中国共産党政権が威信をかけた北京冬季五輪。4日の開会式に聖火リレー最終走者として、ウイグル族の中国選手が起用されたことに「偽善的だ」と海外メディアは相次ぎ批判した。

 ウイグル族へのジェノサイド(集団殺害)に対する国際社会からの指摘を、小手先でかわそうとする共産党の思惑が、中継映像からも見え隠れしたからだ。

 批判に対し中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は、「新疆(しんきょう)ウイグル自治区でジェノサイドがあるとの見方は世紀の?だ」と強弁し続ける。

 ただ、ナンシー・ペロシ米下院議長が喝破したように、「米国と国際社会は真実を知っている。中国はジェノサイドを含む徹底した人権侵害を行っている」ことに、疑う余地はない。

 政権にとって邪魔な住民は強権弾圧し、ジェノサイドもいとわない。そして事件は否定し、隠蔽(いんぺい)する。

 ウイグルに限らず、チベットや内モンゴル、香港など共産党政権が繰り広げた弾圧には、既視感(デジャビュ)もある。戦後、台湾に渡った中国国民党政権が台湾の群衆を無差別に虐殺した「2・28事件」だ。

 1945年の終戦まで50年間、日本統治下で教育を受け、文明社会を築いた台湾の人々。だが戦後、国民党とともに逃れてきた約200万人の中国大陸出身者には、目障りに映った。

 47年2月28日、国民党の横暴な支配に反発した台湾の群衆に対し、憲兵らが機銃掃射。この暴挙をきっかけに台湾各地で抗議デモが広がった。だが、増派された国民党軍によって武力制圧され、49年5月には戒厳令が布告されることに。

 毛沢東が率いた共産党との内戦に敗れた蒋介石(しょうかいせき)の国民党。台湾に渡って統治者となり、反体制とみなした人物を容赦なく連行して処刑した。「白色テロ」と呼ばれた恐怖政治は実に87年の戒厳令解除、そして92年の特務機関廃止までさまざまな形で続き、十数万人が拘束されて投獄された。

 処刑された台湾人は3万人前後とされるが、詳細は不明。多くは戦前、高い日本教育を受けた人々だ。

 2・28事件や白色テロは通信手段の乏しい時代に起き、海外に伝わりにくかった。台湾のジェノサイドが明確に語られるようになったのは、90年代からだ。

 戦前、旧制台北高や東京帝大で学び、京都地検で検察官にまでなった伯父の王育霖(おう・いくりん)の命を2・28事件で奪われた王明理(めいり)さん。「台湾では国民党のジェノサイド隠蔽が数十年に及んだ。悲劇性は深い」と話した。

 明理さんの父、育徳(いくとく)は兄の育霖が殺害された後、命からがら日本に亡命。東大で博士号を得て明治大の教壇に立ちながら国民党の非道さを訴え続け、台湾独立運動に生涯をささげた。

 共産党による弾圧の証拠はいま、証言や映像で明白に伝わるが、それでも為政者は否定を続ける。明理さんは「日本人には理解しがたいでしょうが、平気な顔で?をつき通そうとする政権がそこにある現実を、認識してほしい」という。

 戦後台湾でジェノサイドを行った国民党。イデオロギーこそ異なれど、残忍性と偽善性において共産党と行為も発想も瓜二(うりふた)つだ。

 国民党政権は90年代、日本統治下の台湾で生まれた李登輝(り・とうき)総統(当時)が民主化にカジを切り、中国大陸由来の体質は薄らいだ。

 今月28日、あの2・28事件から75年が経過する。

(論説委員兼特別記者)

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