ホンジュラス新大統領就任式典への初外遊で男を上げた頼清徳副総統

ホンジュラス新大統領就任式典への初外遊で男を上げた頼清徳副総統

 台湾が国交を結ぶ14ヵ国のひとつ、ホンジュラス共和国のシオマラ・カストロ新大統領の就任式典に出席するため、頼清徳・副総統は蔡英文・総統の特使として1月25日から30日まで外遊した。

 27日、頼副総統と会談したホンジュラス史上初の女性大統領となったカストロ新大統領は会談後、報道陣に「ホンジュラスの国民は台湾の長期にわたる協力に感謝している。両国がこれまでに手を組んできたように、今後も引き続き友好関係を維持してほしい」と話していた。カストロ氏は大統領選では台湾との断交も口にしていただけに、今後も台湾との外交関係を維持していく意向を表明したことで、外交関係をつなぎとめた功績は小さくない。

 頼副総統は、カストロ新大統領と会談する前には、国交を結んでいる中南米のベリーズのジョン・ブリセーニョ首相と会談し、台南旅行へ招待している。

 カストロ新大統領の就任式典では、米国のカマラ・ハリス副大統領と同じように一列目に座わったことから挨拶を交わし、ロイター通信は、ハリス副大統領の談話として「双方の中米における共通利益、アメリカが移民問題を解決する際の抜本策などについて」話し合ったと伝えている。

 話は前後するが、ホンジュラスへ向かう途中、トランジットで1月25日の午前6時30分にロサンゼルス空港に到着した頼副総統を出迎えたのは、アメリカ在台協会(AIT)のジェームズ・モリアーティ理事長だった。

 この日は早速、オンラインで17名の米国連邦議会の上・下議員らと会談を行っている。エドワード・マーキー上院議員(外交委員会アジア太平洋小委員会)、マーク・タカノ下院議員(退役軍人委員会委員長)台湾系米国人のテッド・リュウ議員、中国系米国人のジュディ��ぢチュー議員、韓国系のヤング・キム議員など17人の連邦議員だ。

 ホンジュラスから帰台する1月28日にはまた米国のサンフランシスコを経由。28日はペロシ米下院議長とオンラインで30分ほど会談し、安全保障や経済などについて話し合ったという。

 29日には「3つのリモート会議に相次いで出席し、医療や経済、国防などの専門家らと意見交換を行った他、タミー・ダックワース米上院議員と電話会談」(中央通信社)と伝えられている。

 頼副総統は初の外遊となったホンジュラス共和国の大統領の就任式典出席に際し、特使として与えられた3つの任務(ホンジュラスとの友好関係の強化、双方の協力関係の強化、民主主義の台湾による国際社会への参与の強化)を着実に果たし、蔡英文総統も「外遊で3つの大きな仕事を見事に成し遂げた。円満帰国を歓迎する」とのコメントをフェイスブックで発表している。

産経新聞の矢板明夫・台北支局長は「蔡氏の投稿をみた与党・民主進歩党の幹部は『今回の外遊成功は頼氏にとって大きな意味を持つ。ポスト蔡氏の地位を固めたといえる』と話した」と伝え、「蔡氏が頼氏を総統特使としてホンジュラスに派遣し、国際社会で活躍する機会を与えたことは、次期総統選で他候補を支持するのを諦め、頼氏支持にシフトした表れだと受け止めた民進党関係者が多い」とも伝える。下記にその記事をご紹介したい。

 2024年の総統選挙に向け、現在、総統候補として頼清徳・副総統、鄭文燦・桃園市長、林佳龍・前交通部長の3氏が有力視されている。今のところ、初の外遊で男を上げた頼清徳副総統が一歩リードしたというところだろうか。果たして誰が蔡英文総統の意中の候補なのか、台湾内のつばぜり合いはすでに始まっている。

—————————————————————————————–独立派の「プリンス」台頭矢板 明夫(産経新聞台北支局長)【産経新聞「矢板明夫の中国点描」:2022年2月2日】https://www.sankei.com/article/20220201-GI4RF46G7BK67NYXNLYATWE5NE/

 台湾の蔡英文総統は1月31日、フェイスブックに頼清徳副総統の写真を大きく載せ、「外遊で3つの大きな仕事を見事に成し遂げた。円満帰国を歓迎する」とのコメントを投稿した。

 頼氏は同月25日から31日まで、中米ホンジュラスのカストロ大統領の就任式に出席するため外遊した。蔡氏がいう「3つの大きな仕事」とは、頼氏が1)カストロ大統領と会談し同国との関係を強化した2)外遊中に各国の要人と交流した3)国際社会を舞台に台湾の存在感を示した─ことを指す。特に就任式で米国のハリス副大統領と会話を交わしたことは、米台関係における外交上の突破を意味した。

 蔡氏の投稿をみた与党・民主進歩党の幹部は「今回の外遊成功は頼氏にとって大きな意味を持つ。ポスト蔡氏の地位を固めたといえる」と話した。

 蔡氏と頼氏は2019年、総統選挙の予備選に出馬し、民進党を二分して激しく争った。蔡氏は勝利後、「党の結束」をアピールするために頼氏を副総統に指名したが、2人の間には大きなわだかまりが残ったとされる。

 蔡氏は24年に2期目の任期満了を迎える。法の規定で3期目には出馬できず、民進党公認の次期総統候補を来年夏ごろまでに選ばなくてはならない。蔡氏の意中の後継者は、予備選で支持してくれた鄭文燦(てい・ぶんさん)・桃園市長か、林佳龍(りん・かりゅう)・前交通部長(国土交通相に相当)といわれている。しかし、最近は2人とも存在感を示す場面があまりなく、各種世論調査でも支持率が伸び悩んでいる。

 一方の頼氏は、米国産豚肉の輸入の是非などを問うた昨年12月の住民投票を前に、積極的に各地方の集会に出かけた。その弁舌や迫力で多くの聴衆を魅了し、住民投票での与党勝利に大きく貢献した。世論調査でも昨年夏以降、野党・中国国民党の侯友宜(こう・ゆうぎ)・新北市長と支持率でトップを争うなど上位をキープしている。

 蔡氏が頼氏を総統特使としてホンジュラスに派遣し、国際社会で活躍する機会を与えたことは、次期総統選で他候補を支持するのを諦め、頼氏支持にシフトした表れだと受け止めた民進党関係者が多い。

 三立テレビなど台湾メディアも「24年の総統選、頼氏が大きくリード」と伝えた。同時に、頼氏と組む民進党の副総統候補としては、女性の蕭美琴(しょう・びきん)・駐米代表(大使に相当)が有力だと伝えた。

 蕭氏は蔡氏の親友であり、さらに頼氏からの信頼も厚い。頼氏が今回の外遊で米国に立ち寄った際、ペロシ米下院議長とのオンライン会談を実現できたのは、蕭氏の力によるところが大きいといわれる。蕭氏が副総統になれば、民進党内で蔡氏と頼氏の二大勢力の橋渡し的存在になるだけでなく、米台関係強化にも力を発揮することが期待される。

 しかし、穏健派の蔡氏と異なり、頼氏には台湾独立志向が強く、行政院長(首相)在任中には立法院での答弁で「私は台湾独立を主張する政治家だ」と発言し、大きな波紋を広げたことがあった。最近、こうした主張はあまりしなくなったが、台湾独立派の「プリンス」であることには変わりはない。

 頼氏が台湾の総統候補になれば、中台関係は大きく変わる可能性がある。(台北支局長)

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