「日台議員外交」より重要に  謝 長廷(台北駐日経済文化代表処代表)

「日台議員外交」より重要に  謝 長廷(台北駐日経済文化代表処代表)

 超党派の国会議員連盟「日華議員懇談会」会長の古屋圭司・衆議院議員(自民党)が同会事務局長の木原稔・衆議院議員を伴い、8月22日〜24日の日程で台湾を訪問することが明らかになった。李登輝元総統の墓参も予定しているという。

 本誌で何度かお伝えしているように、昨年から米国やヨーロッパから台湾を訪問する政治家が急増している。米国のナンシー・ペロシ下院議長が8月2日に訪台してからまだ2週間も経ていない8月14日には、同じく米国の上院外交委員会東アジア太平洋小委員会の委員長を務めるエドワード・マーキー上院議員(民主党)を団長とする米国議員団5人が台湾を訪問した。

 首都ビリニュスに台北ではなく台湾の名称を冠した「駐リトアニア台湾代表処(駐立陶宛台湾代表処)」の開設を許可したリトアニアは、中国によるウイグル族などへの人権蹂躙は「ジェノサイド」という立場から、中国・中東欧首脳会議「17+1」から離脱して中国との距離を取る一方、自由、民主、法の支配などの価値観を共有する台湾との関係を強化しはじめた。ヨーロッパでは、ウクライナ状勢とあいまってリトアニアの動きに連動する国が多くなっている。もちろん、半導体などを通じた台湾との経済交流も視野に入れてのことだ。

 安倍晋三元総理が提案し、米国が戦略として採り入れた「自由で開かれたインド太平洋」の要衝に台湾が位置するという要素も見逃せない。台湾へ訪問する海外要人は、中国による台湾への威圧的な行動が台湾海峡の平和と安定を脅かしているという認識で一致している。

 台湾の謝長廷・駐日台湾代表も本日(8月17日)の産経新聞への寄稿で「台日米豪欧などの民主主義陣営が固く団結し、台湾が国際社会と緊密につながることこそが、自由で開かれたインド太平洋の平和と安定の要となる」と述べ、固い団結のためには「本来あるべき当局間対話を補完する議員外交がより一層重要となる」と、日本の国会議員を鼓舞している。

 実は、8月22日から訪台する日華議員懇談会の古屋会長は本年3月に開いた総会において、サプライズで安倍元総理と蔡英文総統とのオンライン会談を設け、約10分という短い時間ではあったが「力による現状変更の試みは決して許してはならない」「日本と台湾は安全保障上の重要なパートナー」という認識で一致していた。

 古屋会長には、日台政府間による安全保障対話が実現できるよう期待したい。

 下記に、謝長廷代表の寄稿全文をご紹介したい。

https://www.youtube.com/supported_browsers?next_url=https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fwatch%3Fv%3DJx6kmWHsoLg&feature=youtu.be

—————————————————————————————–「日台議員外交」より重要に 民主主義陣営団結 インド太平洋安定の要謝 長廷(台北駐日経済文化代表処代表)【産経新聞:2022年8月17日】https://www.sankei.com/article/20220816-XYBHEWNFDJISPIT3IPAS7HQHBE/?818205

 台湾の台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(駐日大使に相当)=写真=が産経新聞に寄稿し、日本と台湾はインド太平洋の安定のため安全保障面を含め連携を強化すべきであり、外交関係のない日台間では議員外交がより重要になると訴えた。

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 「台湾有事は日本有事」。安倍晋三元首相は生前、こう警鐘を鳴らしていた。8月4日、中国が軍事演習として台湾周辺に11発の弾道ミサイルを発射し、うち5発を日本の排他的経済水域(EEZ)に撃ち込んだ。台湾を封鎖するかのような大規模演習は航空・海上の輸送に影響し、この言葉の意味を人々に実感させた。

 今回の中国による軍事行動は、ペロシ米下院議長の訪台を口実に実施された。台湾の大切な友人であるペロシ氏は、自由、民主主義、人権といった価値観を極めて重視し、蔡英文総統と会談したほか、かつて政治犯が収容されていた「国家人権博物館」を訪問し、台湾に住む中国や香港の民主活動家とも会った。中国の強烈な反対を押し切って訪台したペロシ氏は「台湾を孤立させない」と強調した。私は果敢に正義を貫くペロシ氏を心から尊敬している。

 台湾の民主社会は初めからあったわけではなく、人々の長年にわたる努力によって勝ち取ったものだ。台湾人は日本統治時代を経験した後、蒋介石政権による2・28事件と白色テロの時代も経験した。私も(デモ弾圧の)美麗島事件で政治犯の弁護団に加わり、戒厳令時代に禁止されていた初の野党結成にも携わった。台湾は1990年代から世論の高まりを受けて民主化へと歩み出し、96年に初の総統直接選が実施された。このときも中国は台湾周辺にミサイルを発射して威嚇したが、台湾の人々はひるむことなく投票で総統を選出した。

 台湾ではこの30年間、時には与野党が激しく対立しながらも、台湾の人々に最も合った民主的な社会づくりが行われてきた。その結果、今の多様性を尊重する活力ある社会と自由で豊かな経済がある。日本との良好な関係も、台湾と日本が理念を共有しているからこそ分かり合えるのだ。

 中国は台湾侵略のための軍事演習で台湾のみならず日本や米国を威嚇し、台湾海峡の現状を破壊し、一方的に軍事的緊張を高めている。台湾は自ら挑発することはしないが、圧力には決して屈服しない。台湾は今後も中華人民共和国に属さず、自由と民主主義の憲政体制と主権を守り、台湾の未来は2300万人の住民の意志に基づいて決定するとの立場を堅持していく。

 今年は日中国交樹立50年にあたるが、それは日台断交50年でもある。台湾と日本は正式な外交関係がないからこそ、本来あるべき当局間対話を補完する議員外交がより一層重要となる。中国は台湾の孤立化を狙っており、台湾が弱体化するほど台湾への侵攻リスクが高くなる。したがって、台湾と日本が安全保障面も含め、より一層協力を深めていくべきだ。台日米豪欧などの民主主義陣営が固く団結し、台湾が国際社会と緊密につながることこそが、自由で開かれたインド太平洋の平和と安定の要となると確信している。

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