――英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港135)

【知道中国 2253回】                       二一・七・廿

――英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港135)

 曰く因縁のあるカネを銀行口座を転々と経させ最終的に「きれいなカネ」に洗浄することをマネー・ロンダリングと言う。これに倣うなら、さながら越後屋の手法はビジネスのためのヒューマン・ロンダリングとでも表現できそうだ。「愛国商人」でキレイさっぱり。

 ここで興味深い事実を示しておきたい。

 返還4年前の1993年の記録だが、当時の香港で不動産開発や管理など不動産関連ビジネスで株式を上場している企業を数えると90社。そのうち70年代前半に活動を本格化した企業を拾って簡単に紹介しておくと、

長江実業(集団)有限公司:李嘉誠傘下企業の中核。71年創業。72年上場

華潤創業有限公司:香港における中国系企業の中核。65年登記。73年上場。

鷹君集団有限公司:タイ生まれの羅鷹石一族の中核。63年創業。72年上場。

恒隆有限公司:陳啓宗一族の中核。60年創業。72年上場。

 恒基兆業発展有限公司:李兆基一族の中核企業。72年登記。同年上場。

 全澳控股有限公司:73年にマカオで創業。同年、香港で上場。

 香港興業国際集団有限公司:査済民一族の中核企業。73年登記。88年上場。

 合和実業有限公司:胡應湘一族の中核企業。72年9月創業。同年8月上場。

 希慎興業有限公司:利希慎一族の中核企業。70年創業。

 広生行国際有限公司:化粧品輸出入・販売で1905年創業。75年不動産ビジネスに転身。

 新世界発展有限公司:鄭裕?一族の中核企業。70年創業。72年上場。

 百利保国際控股有限公司:71年創業。73年上場。

 Paragon Holdings Ltd.:70年、富輝企業で登記。73年上場。

 聯邦地産有限公司:会徳豊集団傘下企業。64年にロープ製造業から転身。70年上場。

 川河集団有限公司:64年創業。73年上場。

 海裕集団有限公司:73年登記。同年上場。

 信和置業有限公司:シンガポールの黄廷芳一族の中核企業。71年登記。

 新鴻基地産発展有限公司:郭兄弟の中核企業。72年2月登記。同年8月上場。

 大昌集団有限公司:陳斌一族の中核企業。72年8月創業。同年11月上場。

 大生地産発展有限公司:馮清偉一族の中核企業。68年創業。73年上場。

 尖沙咀置業集団有限公司:黄廷芳一族の中核企業。72年6月創業。翌月上場。

 世貿中心集団有限公司:中国糧油食品出入口総公司の香港中核企業。73年登記・上場。

 僑福建設企業機構有限公司:黄周旋(台湾)一族の中核企業。73年登記・上場。

 中国光大国際有限公司:中国系の光大集団傘下企業。61年登記。73年上場。

 銀建国際実業有限公司:中国系企業。60年登記。73年上場。紡織から転身。

 明輝発展有限公司:72年上場。

 漢国置業有限公司:56年創業。72年上場。2回目の下宿先だった冠華園大廈の所有者。

 ――こう見てくると、70年代前半が不動産ビジネスの助走期に当たると同時に、後に「地産覇権」と呼ばれることになる経済構造の骨格を形作ったことが指摘できそうだ。

70年代半ば以降の激烈な不動産商戦のなかで李兆基の恒基兆業、黄廷芳の信和置業、利希慎の希慎興業、シンガポール出身の陳松青の佳寧置業などが一気にトップ集団に接近する。やがて「返還バブル」に向かって不動産ビジネスが火を噴き始めると、新世界発展と恒基兆業が目覚ましいばかりの急成長を遂げ、「愛国商人」に生まれ変わる。

新世界発展と恒基兆業は合和実業を抜き去り、大昌集団を蹴落とし、長江実業、新鴻基地産、恒隆に肉薄し、新たな「不動産業界の5匹の虎」にまで上り詰めるのであった。《QED》


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