――英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港136)

【知道中国 2254回】                       二一・七・念二

――英国殖民地だった頃・・・香港での日々(香港136)

 行きがけの駄賃である。不動産業界を見たついでに同じ93年の資料に基づいて、70年代前半に上場された主だった企業を挙げておきたい。味気ない記録の羅列ではあるが、その無味乾燥気味の事実から当時の香港の経済状況が薄ぼんやりと浮かび上がって来るから、やはり興味は尽きない。

 銀行・金融・投資――

   亜洲証券国際有限公司:不動産投資に特化。73年登記・上場。 

   恒生銀行有限公司:HSBC(香港上海匯豊)銀行に次ぐ規模。72年上場。

   百富勤投資有限公司(Peregrine Investment Holdings Ltd.):72年登記・上場。

   第一上海投資有限公司(First Shanghai Investment Ltd.):中国系。72年上場。

   新鴻基有限公司:新鴻基地産創業者の1人の馮景禧によって69年創業。72年上場。

   湯臣太平洋有限公司(Tomson Pacific Ltd.):73年創業。

   友聯銀行:中国系資本。64年創業。73年上場。

   永隆銀行有限公司:伍一族創業の両替商から出発。73年に銀行に改組。

   中策投資有限公司:72年9月創業。同年11月上場。

   港基国際銀行有限公司:70年創業。

   聯合集団有限公司:オーストラリアの李明治の不動産投資。72年創業。73年上場。

   粤海投資有限公司:中国系粤海集団傘下。73年創業・上場。

   麗新製衣国際有限公司:林百欣一族の中核企業。72年上場。後、不動産金融へ転身。

   南順(香港)有限公司:マレーシアの黄一族の香港における中核企業。72年上場。

   利豊有限公司:馮一族の中核企業。73年上場。

   力宝有限公司:インドネシアの李文正一族の中核企業。73年上場。

   廖創興企業有限公司:中核は廖創興銀行。70年登記。72年上場。

   森那美香港有限公司:マレーシアの森那美集団傘下。70年創業。

   宝光実業集団有限公司:タイの黄子明一族の中核企業。72年上場。

   永安国際集団有限公司:マレーシアの郭鶴年傘下。73年創業・上場。

 製造業―― 

   実力国際集団有限公司:75年創業。主として電子・音響機器製造。

   東茗国際(集団)有限公司:74年、劉学宏が中心となって創業。

   航天科技国際集団有限公司:中国系製造業(電子機器)。75年創業。

   通用電子有限公司:73年に方叔海一族が経営権を取得し、電子機器製造・販売。

   蜆殻電器工業(集団)有限公司:翁祐一族中核企業。70年登記。

   升岡集団有限公司:劉克勤・錫康父子、69年創業。

   福田実業(集団)有限公司:夏松芳・蔡建中、69年創業。

   南聯実業有限公司:69年6月登記。同年11月上場。

   徳昌電気控股有限公司:59年汪松亮創業の小型モーター製造。72年家電製造に。

   金山実業(集団)有限公司:電池製造で出発し、70年代に電子機器製造に。

   冠亜商業集団有限公司:カンボジア出身の楊啓仁創業の時計製造。

   北京発展(集団)有限公司:中国資本系。63年創業。72年上場。

 以下、デパート、小売り、ホテル、飲食、メディア、公共事業(電気・ガス・水道・電話・交通機関・フェリー・トンネル)などと続くが、登記・創業・上場の時期は70年代前半に集中し、規模・業種・業態に拘わらず、なんらかの形で不動産ビジネスに参入していることに改めて気づかされる。やはり資産形成の道は「地産致富」から、なのか。《QED》


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