――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習174)

【知道中国 2508回】                      二三・四・初一

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習174)

先ず「資本主義国家の老舗」であるイギリスを、「世界資本主義発展の歴史上、資本の原始蓄積と工業革命の典型であり、世界の工業と市場において長期間独占的な地位を押さえていた」と捉え、「歴史上、世界最大の殖民地帝国であり、200余年の長期にわたって広大な殖民地と半殖民地国家の人民を残虐にも略奪し搾取してきた」とし、「同時に最も早く没落した帝国主義国家」だと断定する。

続いて「現代における帝国主義超大国」のアメリカについて、「200年前はイギリス統治下の殖民地に過ぎなかった」が、反英独立戦争⇒独立⇒資本階級による共和国建国を経て急速に発展し、「20世紀初頭に帝国主義段階に進み、独占資本主義が最高度に発展した帝国主義国家となった」。「2度の世界大戦期には戦争特需で大いに潤い、国際金融搾取の中心となり、世界の覇権を唱えるようになった」と見なす。

その「資本主義発展史は薄汚れた搾取と略奪による血塗られたものであり」、「マルクスが指摘しているように、アメリカにおいて資本主義は他のどのような国家とは比較にならぬほどに恥ずべき条件の下で発展した」と断罪した。

「イギリスと同様に古い資本主義国家」であるフランスでは、第2次世界大戦終結直後、「フランス最大の政党であった共産党の指導集団が高い官職と高給と引き換えに恥ずべきことに資本階級と妥協し、武器を差し出し、武装闘争を放棄し、3年ならずして反動勢力の手で政権から叩き出され、残酷な弾圧に遭遇することになった」と嘲笑気味に難詰する。

「後発資本主義国家のドイツ」は2度の世界大戦期に「国家独占資本主義段階に突き進み、当時の資本主義世界の最高水準に達したが、最終的に没落する運命には逆らえない」。

主要な資本主義国家の中では「最後発」である日本における「帝国主義の歩みは日本軍国主義による中国・朝鮮侵略史でもある。日本近代100年は、どのような国家であれ侵略、戦争、軍国主義に靠れかかった経済発展を夢想するかぎり、最終的には破綻という歴史の運命からは逃れることが出来ないことを明白に物語っている」と結論づけた。

ところで『主要資本主義国家経済簡史』は「1949年に中国人民革命が偉大な勝利を勝ち取り、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの多くの国家は次々に民族独立の道に突き進む」と毛沢東思想による世界革命の青写真を描いてみせる。だが“革命の本家”であるはずの中国が対外開放に転じ、革命を捨て経済の道に邁進し、「共産党の指導集団」が西側の「資本階級と妥協し」、脇目も振らず不正に励むわけだから、共産党はヘンテコリンだ。

閑話休題。

ここらで本筋である1973年4月に戻って、レーニン(列寧)を読むこととする。

『列寧是怎様学習的』の表紙のイラストは、机に肘をつけた左手で広い額を支え、右手に鉛筆を持ったレーニンの上半身。目の前には書物が積み上げられている。

表紙を繰ると2枚の写真――執務机に座り、覗き込むようにして「プラウダ」の記事を追っているレーニン、次の頁には赤の広場で群衆を前に演説するレーニン――が置かれている。2枚目は、素人目にも群衆の写真の上に後からレーニンの立ち姿の写真を合成したとしか思えない。偽造! フェイク! 歴史修正主義!

『列寧是怎様学習的』には未亡人が綴ったレーニンの回想――「レーニンは宣伝家で煽動家」「レーニンの編集作業」「レーニンが論じた労農大衆のためのよりよい著作」「レーニンはどのようにマルクスの著作を研究したか」「レーニンの著作に見える『資本論』」「創造性の研究過程」「理論を実際に結びつける学風」「レーニンの『唯物主義と経験批判主義』を記念して 出版25周年」「レーニンの方針」「レーニンはどのように図書館を利用したか」「レーニンはどのように外国語を学んだか」の11編が収められている。《QED》


投稿日

カテゴリー:

投稿者: