――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習46)

【知道中国 2380回】                       二二・六・仲六

――習近平少年の読書遍歴・・・“あの世代”を育てた書籍(習46)

かくてドボーン。デブ隊長はもんどりうって川の中へ。船上のおじいさんが付け髭を取り外すと、これが民兵隊長だった。大声で「生け捕りだ」と叫ぶ。すると一斉に川に飛び込んだ子どもたちは、必至に逃げ惑う日本兵の足や手を掴んで川の中に引きずり込んで溺れさせる。しばらく戦闘が続いたが、日本兵は全員が民兵に捕縛されてしまった。

静かになった川面をスイカ満載の小船が行く。船上の子どもたちはハシャギながらスイカを口に。そこに「日本の侵略者を我等数億の立ち上がった人民の前に引きずり出し、一匹の野牛を火陣の中に追い込むように仕向ける。一声挙げて驚かせば、この野牛は焼け死ぬしなかい」と毛沢東の教えが重なり、「毛主席の教えは何とすばらしいことか」と続く。

これぞ文革時に数限りなく出版された毛沢東賛歌絵本の先駆け、と言っておこう。

『動脳筋爺爺』と『石荘児童団』に続き、中ソ論争における主要論文集である『在戦争与和平問題上的両条路線』(人民日報・紅旗雑誌編輯部 人民出版社)を見ておきたい。

「五評蘇共中央的公開信(一九六三年十一月十九日)」を副題とする『在戦争与和平問題上的両条路線』は、ソ連共産党中央からの公開書簡に対する中国共産党理論中枢が発した5回目の公開反論になる。

『在戦争与和平問題上的両条路線』は「全世界は戦争と平和の問題を論じている。諸悪の根源である帝国主義制度は世界人民に数限りない戦争を嘗めさせ、2度に及ぶ世界大戦の惨禍をもたらした。帝国主義の戦争は人民に限りない苦難を与えると同時に、人民を教えもする」と大上段に振りかぶり、ソ連を修正主義者と糾弾し、その欠陥を挙げて論駁する。 

 

修正主義者は、

第1に帝国主義を美化し、世界の人民闘争の視線を他に転化させようとしている。

第2に帝国主義を側面援助し、新たな戦争の危機を隠蔽し、人民の闘志を挫こうとする。

第3に戦争は人類を破滅に導くというデタラメで大衆を恐怖に陥れる。

第4に正義の戦争と不義の戦争の弁別をせず、革命を認めない。

第5に唯武器論を吹聴し、革命の武装闘争に反対する。

第6に軍縮が世界平和に繋がるというデタラメを撒き散らし、民族は平等だという誤った考えをでっち上げる。

第7に軍備削減によってムダを省き、浮いた予算で開発途上国の援助が可能とする。

第8に帝国主義のために“和平戦略”とやらを助言する。

第9に帝国主義に対し、国連運営に当たるべしというおべっかを使う。

第10にアメリカ帝国主義に依存してこそ世界平和は可能となるという幻想をばら撒く。

――要するに暴力革命を放棄したソ連は、恥ずかし気もなくアメリカ帝国主義の軍門に下った帝国主義の走狗であり、破廉恥な修正主義である。以上の10か条を世界の戦う人民に対する犯罪的行為だと強硬に論難し、反す刀でアメリカ帝国主義のデタラメを論う。

第1にアメリカ帝国主義の軍事予算は平和時の最高水準を遥かに超え、すでに朝鮮戦争当時の基準を大幅に突破している。

第2にケネディー大統領は最近、核武装を含む戦備の充足ぶりを豪語している。

第3にアメリカの戦略目標統合参謀部は、ソ連を含む社会主義国家への核戦争計画を制定済みだ。

第4にケネディー政権はアジア、ラテンアメリカ、アフリカでの軍事態勢を強化した。

第5にケネディー政権は戦争指揮機構を強化・整備している。

つまり「アメリカ帝国主義が懸命に巧妙に戦争準備しているのに、ソ連修正主義は卑怯にもシッポを巻いて哀れみを請うばかりだ」と、中国側の主張は徹頭徹尾・勇猛果敢。《QED》


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