本誌前号で、和田有一朗・衆議院議員(日本維新の会)が3月9日、外務委員会において、陸上自衛隊が主催した多国間演習「サイバー防護競技会」への台湾の参加や台湾に在留する「在外邦人の保護措置」(自衛隊法84条の3)における「当該外国」とは台湾なのかなど、台湾に関係する質疑を行ったことを、インターネット中継のURLとともにお伝えしました。
ただ、30分と言えども映像だけではうまく理解しがたいところもあります。そこで、台湾に関係する質疑応答の全文ここにご紹介します。
◇和田有一朗・衆議院議員:外務委員会質疑【2022年3月9日 13時47分〜14時20分(33分)】 https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=53788&media_type=
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○和田(有)委員 日本国内で実践的なことを、まあいわゆるVRですかね、できるんだと。 こういうものを入れていく時代になっている中で、実は、前のときの、私、この委員会でも、サイバーのことを聞こうと思ったんですが、なかなかうまく聞けなくて、今日、ちょうどこういう話になってきましたから、お聞きしていきたいんですね。 今回のロシアによるウクライナ侵攻を見ていても、これはサイバー戦をやったわけです、やっているわけです、今だって。これは、いわゆる情報戦であったり、世論操作であったり、いろいろなことをやるわけです。いわゆるハイブリッド戦争です、これは、ハイブリッド攻撃です。こういうことが行われていく中で、我々はサイバー戦に対してしっかりと備えをしていかなければなりません。 そういう中でお伺いしたいんですが、日本が主催をして、陸上自衛隊が主催なんですかね、アメリカ、オーストラリア、フランス、インドネシア、フィリピン、ベトナム、六か国と多国間演習としてサイバー防護競技会というのを開催したと。このサイバー攻撃に特化した多国間演習というのを日本が開催するに至った経緯、理由等をお伺いします。
○鬼木副大臣 防衛省・自衛隊においては、サイバー能力の抜本的強化を目的に、様々な取組を進めております。その一環として、サイバー攻撃対処能力の向上や諸外国との連携強化を目的に、陸上自衛隊は、三月一日に、防衛省・自衛隊及び数か国のサイバー関連部隊等が様々な場所からリモートで参加する多国間サイバー防護競技会を開催いたしました。 本競技会の参加国については、諸外国との連携強化の観点から複数国を招待し、結果、同盟国であるアメリカを始め、オーストラリア、フランス、インドネシア、フィリピン及びベトナムが参加することとなりました。
○和田(有)委員 まさに、こういったものの一つの訓練としても、今回のこういう特別協定の予算措置というのは活用できていくんでしょうけれども、ベースになって。 その上で、これは日本が主催したものでした。ほかの国でもやはり主催しているものがあると思うんですね、私は。そういうものに参加しているのか。その際、これは実利的な話ですから、台湾なんかもそういうところに出てきて、一緒に訓練というんでしょうか、同じ場でそういう作業に当たっていることもあるんでしょうか。
○鬼木副大臣 防衛省としては、安全保障上の極めて重大な課題であるサイバー攻撃に対して迅速かつ的確に対応するためには、我が国自身の体制強化のみならず、同盟国であるアメリカを始めとする諸外国と効果的に連携することが必要と考えております。 このため、これまでも、例えばNATOサイバー防衛協力センター主催のサイバー防衛演習、ロックドシールズ二〇二一、また、タイとアメリカが主催する多国間共同訓練、コブラゴールド中に行われたサイバー攻撃対処等に係る訓練など、他国等が主催するサイバー演習やサイバー関連の訓練を含む多国間訓練に参加をしております。 他国等が主催する各演習の参加国等については、各演習の主催者の判断で公表されるものであるため、主催者でない防衛省からお答えをする立場にございません。
○和田(有)委員 我が防衛省からは、どこのものに行ったかというのはなかなか言いづらいと。 実は、前の外務委員会で私が質問したときに、こういう御答弁がありました。台湾と米国が締結をしたグローバル協力訓練枠組み、GCTFといいますが、これに基づいて実施しているワークショップには日本も参加するようになって、そこには、台湾の外交部、米国在台湾協会、日本台湾交流協会の三者でサイバーセキュリティーリスクに対応する議論を重ねていっておりますという既に実は御答弁があったわけでございます。 ここでお伺いしたいんですけれども、このグローバル協力訓練枠組みにおける成果というものはどんなものなのか、そして、その議論の内容については自衛隊も共有しているのかということについてお伺いします。
○岩本政府参考人 お答え申し上げます。 先般もこの場で御説明申し上げたとおり、台湾との関係でいきますと、グローバル協力訓練枠組み、これは、元々、米台間で二〇一五年に立ち上げられまして、二〇一九年からは我が国の民間窓口機関である日本台湾交流協会も参加している人材育成の枠組みでございます。 二〇二一年には、このGCTFの枠組みの中で日本台湾交流協会が、台湾、米国を含む関係者と国土強靱化、サプライチェーン、ワクチン、科学技術、サイバー犯罪対策等に関するオンラインセミナーを共催しております。 この枠組みは、台湾が自らの知見を活用して国際社会に貢献する上で効果的に機能していると考えておりまして、我が国としましても、これまでのセミナーの結果も踏まえつつ、協力と交流の更なる深化を図っているところでございます。 こうしたGCTFの結果につきましては、日本台湾交流協会のホームページで公開しております。また、その内容に応じて日本政府の部内でも適切に共有をしてきているところでございます。
○和田(有)委員 私、自衛隊とも共有しているかということを具体的に聞いたんですが、いかがですか。自衛隊との成果の共有。
○岩本政府参考人 お答え申し上げます。 先ほど申し上げたとおりでございますが、内容に応じて日本政府部内でそれぞれ共有をしておりますが、一つ一つ、どのテーマについてどの政府部門と共有したかということは、ちょっと、済みません、この場では資料がございませんので、はっきりしておりません。
○和田(有)委員 共有しているというふうに受け取りますけれども、よほどそういうことについては言葉をはっきりと言いたくないんだなというふうに私は受け止めます。それで、もうちょっと、何とか時間内に収まる中で、このことはもう一度戻って申し上げたいんですが。 じゃ、もう一つ、次、この特別協定の中でお伺いしておきたいことがありまして、訓練が、アラスカに移転するものが出てまいりました。このアラスカに行くということの戦略的意義をお伺いします。
○鬼木副大臣 我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化する観点から、日米間では実践的な訓練の必要性等を確認してきております。また、沖縄の負担軽減は政府の最重要課題の一つであり、嘉手納飛行場等に所属する航空機の訓練移転等に取り組んできたところであり、引き続き地元の負担軽減に取り組んでいく必要があります。 かかる観点から協議を行った結果、本特別協定において、航空機の訓練移転について、米軍による訓練の日本国外への移転を拡充し、広大な空域など恵まれた訓練環境を有するアラスカを訓練移転の対象とすることについて日米間で合意したところであります。これにより、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする地元の負担軽減を図るための訓練移転を更に促進することが可能になると考えております。
○和田(有)委員 一点確認しておきたいんですが、アラスカに行くということは、地球儀を見れば、上から行けばすぐ隣なんですけれども、何となく、一般的な素人の感覚でいうと、どうもアメリカに後ずさりしていっているんじゃないかというイメージを受け取るんですね、私みたいなごく素人の人間からいくと。それはないということですよね。
○鬼木副大臣 これは訓練の移転でございますので、その実施する訓練を、嘉手納で行っていたものを、アラスカに行ってアラスカで訓練を行って。ですから、本拠は嘉手納のままでございますので、そこに空白が生まれるということにはならない。よりよい環境で訓練をして、また戻ってくるということでございます。
○和田(有)委員 はい、理解しました。 次にお伺いするんですが、大臣は所信の中で、今回、三つの覚悟という言葉を使われているんですよ。覚悟を持って臨むんだと。覚悟という言葉は私は本当に重い言葉だと思うんです。この覚悟を示すというためにはそれなりのものを示さなきゃいけないと私は思っているんです。 その中で、私、一つお伺いしたいのは、昨日も随分と本会議でも議論になりましたし、我が党の美延先生もお伺いになりました。台湾有事における邦人保護についての自衛隊法八十四条三についてです。 これでも、要は、当該国が一体どこなのか、これをお聞きしたら、何か、先ほどの答弁のような曖昧模糊とした答弁になるわけです。中国に聞くんですか、台湾に聞くんですかと言うと、日中何とかかんとか、うにゃうにゃうにゃというような感じで。こういうときにやはりはっきりと、ぴしゃっと物を言う、台湾に聞くんですとか。これが覚悟になってくると思うんです、私は。 そこら辺をちょっと、覚悟という点も含めて実はお伺いしようと思っておりまして、時間が限られてきていますので、まず、この邦人保護の自衛隊法八十四条の三についてお伺いします。
○林国務大臣 海外に渡航、滞在する邦人の保護、これは外務省の最も重要な責務の一つでありまして、平素から在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定し、必要な準備、検討を行っており、邦人保護の強化を図っているところであります。 その上で、一般論として、邦人の退避が必要となる事態が発生する場合には、まずは極力、商用定期便が利用可能なうちに、在外邦人の出国、出境又は安全な場所への移動の確保に努めることになります。 有事における我が国の個々の対応につきましては、個別具体的な国、地域名を挙げてつまびらかにすることは事柄の性質上差し控えますが、いずれにせよ、邦人の安全確保に万全を期するべく、政府として全力を尽くす考えでございます。
○和田(有)委員 いつものとおり、事柄の性質上、こういう言葉になるわけです。私はやはりそこが、そろそろこの時点においては覚悟を示すというのなら、事柄の性質上、やはりはっきりしたことを言っていくことが必要じゃないか。 これを言いますと、例えば、不用意に緊張を高めてしまうとか、こういうふうな答えが返ってくるときがあるわけです。でも、そういうことを続けてきた結果、今、日本の周りはこうなっている。尖閣の周りだってああなっている。こういうことを考えると、そろそろ、そこら辺、本当の意味で覚悟を示すべきではないかと思うんですね。 もう一点、私、お伺いしたいのは、事態対処法三条七項に出てくる「関係する外国」という文言について伺いたいんです。 これは、関係する外国とはどこなんでしょうか。もう時間がありませんから先に聞きますが、台湾は関係する外国なんでしょうか。
○青柳政府参考人 事態対処法第三条は、武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処におきまして基本的な理念を明らかにする規定でございまして、そのうちの第七項、これにつきましては、米国等との関係や国際協調に係る基本理念を定めたものでございます。 その第七項にあります、関係する外国との協力を緊密に協力しつつという部分につきましては、日米安保条約に基づく米国との緊密な協力が我が国の安全保障の基軸となるものである、こういう認識の下、米国以外の外国との協力も当然重要であるということから規定されているものでございます。 したがいまして、関係する外国につきましては、特定の国を念頭に置いたものではなく、武力攻撃事態等や存立危機事態への対処における外国との協力が重要であるということの基本理念を示したものでございます。
○和田(有)委員 そういうことを聞いているのではないんでして、ここまで来ると、一般論的に、一般論ですよ、なぜここまで中国の顔色をうかがうのかな、こう私みたいな人間は思ってしまうわけですよ。 要は、一つの中国というのは中国が主張していることです、中華人民共和国が一つの中国ということを言って、それを我々は、言っていることは言っていますよねと、おっしゃることは尊重しましょう、こう言っているだけで、何もそれを、丸まま、我々は丸のみをしているわけでも何でもないわけですよ。でも、こういうふうな皆さんのお答え方をしているのを見ていると、どう見ても、何か忖度をしているようにしか思えないんです、中華人民共和国、北京政府に対して。それが、翻って、今まで私たちの国益をプラスに転じてきていたらいいですよ。今となってみればマイナスに作用してきたんじゃないかと思ってしまうわけです。 今日はやりませんけれども、領土問題を、私、いずれ聞きます。私、尖閣諸島にも上陸したことがあります。そのときの経験をもってしても、今の現状というものは目を覆うばかりですよ。まだ私が行った七、八年前というのはそこまでひどくはなかったと私は思います。 そういう意味で、やはり、中国に対してなぜここまで顔色をうかがうんですかねと聞きたいんですけれども、聞いたって、そんなことありませんと答えるでしょうけれども、そこがやはり覚悟の示し方があるんじゃないかと私は思うんですが、もう一度、大臣、御覚悟とはどういうものか、御意見いただけませんか。
○林国務大臣 大臣所信におきまして、三つの覚悟を持って外交を切り開いていくと述べさせていただきましたが、まさに、今回のロシアによるウクライナ侵略や緊張する米中関係に見られるとおり、厳しさと複雑さを増す国際情勢の中で、とりわけ、一番目に申し上げました普遍的価値を守り抜く覚悟、そして二番目に申し上げました日本の平和と安定を守り抜く覚悟、これを持って、対応力の高い、低重心の姿勢で外交を展開していかなければならないと改めて考えたところでございます。
○和田(有)委員 そのとおりでございますが、そのとおりなんですが、覚悟というのは示すものがないと駄目ですね、やはり。私はそう思います。 もうこれ以上やり取りしても、お聞きしても、そこら辺は今日は出ないと思いますので、また別の形でお伺いしてまいりますけれども、覚悟を示すというのは大変なことです。我々政治家にとってみたら、例えばの話、このバッジを外すから、そういうふうなことに類するようなものになってくると思います。それはやはり重いです。そういうことをもって書き込まれ、書き込まれたならば、それをするために何が今できるかというのを真剣に考えていただきたいと思います。
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