岸信夫・防衛相が中国国防部長に極めて深刻な懸念と台湾情勢の注視を伝達

 岸信夫・防衛大臣は12月27日、中国の魏鳳和・中国国務委員兼国防部長とテレビ会談を行い、「力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに極めて深刻な懸念を伝達」するとともに、「台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても極めて重要であり、我が国としても、引き続き関連動向を注視していく旨」を述べたという。

 1年ぶりの中国国防部長との直接会談で、中国の覇権的行動を抑え込むためには、言うべきことは言うという岸防衛相の真価が発揮された形だ。

 防衛省はこのテレビ会談について4点からなる要点を発表している。下記にその要点並びに産経新聞の記事をご紹介したい。

 なお、会談では「日中防衛当局間ホットライン」は来年内の運用開始を目標とすることで一致したそうで、中国との間でホットラインが設置されれば、かなりの抑止効果を発揮するだろう。これもできるだけ早いうちに運用を開始したいものだ。

 高市早苗・自民党政調会長は本会の講演で「個人的見解」と断りつつ、台湾とのホットラインの設置など相互通報できる仕組みを構築すべきではないかと提唱していたように、岸防衛相には台湾とのホットライン設置にも力を注いでもらいたいものだ。

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日中防衛相テレビ会談について【防衛省:2021年12月27日】https://www.mod.go.jp/j/approach/exchange/area/2021/20211227_chn-j.html

 標記について、下記のとおり実施されましたのでお知らせいたします。

 2021年12月27日16時30分から約2時間、岸防衛大臣と魏鳳和・中国国務委員兼国防部長とのテレビ会談が行われました。

1.両大臣は、日中関係や地域情勢について意見交換を行いました。岸大臣からは、尖閣諸島周辺海域を含む東シナ  海情勢に関し、中国軍や中国海警局に所属する船舶による活動といった個別の事案について指摘しつつ、力を背  景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに極めて深刻な懸念を伝達し、中国側に強く自制を求めまし  た。

2.また、台湾情勢についても言及し、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障にとってはもとより、国際社会  の安定にとっても極めて重要であり、我が国としても、引き続き関連動向を注視していく旨述べました。

3.さらに、南シナ海問題について、一方的な現状変更の試みや緊張を高める如何なる行為にも強く反対する旨伝達  したほか、本年2月に施行された海警法についても深刻な懸念を伝達しました。また、中国の不透明な国防費の  増加及び戦力の近代化・増強に対しても、強い懸念を伝達しました。

4.その上で、両大臣は、「日中防衛当局間における海空連絡メカニズム」につき、その実効性を向上させるため  「日中防衛当局間ホットライン」の早期開設が重要であることを改めて確認し、引き続き、両大臣が強いリーダ  ーシップを発揮し、来年内の運用開始を目標とすることで一致しました。

—————————————————————————————–岸防衛相、台湾動向注視を伝達 日中防衛相会談で【産経新聞:2021年12月27日】https://www.sankei.com/article/20211227-HFEFLHBGBRNKZBUESJTIQ3JXJI/?493349

 岸信夫防衛相は27日、中国の魏鳳和(ぎ・ほうわ)国務委員兼国防相とテレビ会議形式で会談し、防衛当局間のホットライン開設について、来年内の運用開始を目指すことで一致した。

 両氏の個別会談は昨年12月に続いて2回目となる。会談では、自衛隊と中国人民解放軍との偶発的な衝突を回避するため、平成30年に運用を始めた相互通報体制「海空連絡メカニズム」などについて協議した。昨年は、メカニズムの柱となるホットラインの早期開設に向け調整を加速することで一致していたが、来年に先送りした形となった。

 岸氏はこの日の会談で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を含む東シナ海をめぐる個別の問題について、極めて深刻な懸念を表明した。台湾情勢も言及し、動向を注視することを伝えた。

 岸氏は会談後、記者団に「中国の軍事的活動が地域の安全保障上の強い懸念となっていることを中国が正確に理解し、責任ある行動を取るよう隣国のカウンターパートとして強く求めた」と述べた。

 会談は今年2月の海警法施行を受け、岸氏から求め、その後も複数回要請していた。会談は予定時間の1時間半を超え、約2時間行われた。

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