日米防衛相会談で尖閣有事に備え自衛隊と米軍による共同演習実施で一致

 昨日(3月16日)、初来日した米国のアントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン国防長官と日本側の茂木敏充・外務大臣、岸信夫・防衛大臣は外務省飯倉公館において日米安全保障協議委員会(2+2)を開催した。

 それに先立ち、12時50分から約90分間、岸防衛大臣とオースティン米国防長官の会談が防衛省で行われ、同省ホームページによれば「自由で開かれたインド太平洋を維持・強化するため、日米が基軸となって取り組んでいくことを確認」するとともに、「岸防衛大臣は、国際法との整合性に問題のある規定を含む中国海警法により、東シナ海や南シナ海などの海域において緊張を高めることになることは断じて受け入れられない旨を述べ、両閣僚は深刻な懸念を表明した」と伝えるとともに「両閣僚は、台湾海峡の平和と安定の重要性について認識を共有した」(日米防衛相会談の概要)と伝えている。

 また、岸防衛大臣はこの会談後、短い記者会見に臨み、会談で「日米同盟の抑止力・対処力を高めるためには、より高度な訓練等を通じて、自衛隊と米軍の双方が即応性を強化していくことが重要であるということで一致」(防衛省ホームページ「防衛大臣臨時記者会見」)したことを紹介しつつ、具体的に「沖縄県の尖閣諸島の有事に備え、自衛隊と米軍による共同演習を実施することで一致した。日本側は陸海空の自衛隊、米側は海兵隊と陸海空軍が参加する予定」であることも話し合われたという。公式発表では出てきていないが、読売新聞が伝えているので下記に紹介したい。

 その後の2+2では「中国海警法等の最近の地域における混乱を招く動きについて深刻な懸念を表明」したことが共同発表に記され、さらにこの共同発表でも「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調」したと記された。

 南シナ海についても「中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明し、1982年の国連海洋法条約の下で設置されたフィリピンと中国との間の仲裁裁判所の2016年7月の判断が最終的であり、当事国を法的に拘束すること」も確認され、香港及び新疆ウイグル自治区の人権状況について深刻な懸念を共有した」と発表されている。

 台湾政府や関係者などには、防衛相会談で日米が台湾海峡の平和と安定の重要性について認識を共有し、2+2でも同様の認識を共有したことにホッとしているのではないだろうか。

 米国はすでに「台湾海峡の平和と安定」のため、トランプ政権は昨年だけで10回以上も軍艦が台湾海峡を通過し、バイデン政権になってからも2月4日に海軍第7艦隊所属のミサイル駆逐艦が台湾海峡を通過している。

 では、日本は「台湾海峡の平和と安定」のために何ができるのだろう。自衛隊と米軍による共同演習も確かにその一つだろうが、菅義偉政権がその他どのような具体的な行動を取ってゆくのかに注目したい。

 本会が政策提言として発表した、日本版「台湾関係法」と言われる「日台交流基本法」の制定こそ「台湾海峡の平和と安定」に極めて重要な役割を果たすことを改めて強調したい。

—————————————————————————————–【独自】尖閣奪還、上陸を想定…中国けん制へ日米「共同演習」で一致【読売新聞「独自」:2021年3月17日】

 岸防衛相は16日、オースティン米国防長官と防衛省で会談し、沖縄県の尖閣諸島の有事に備え、自衛隊と米軍による共同演習を実施することで一致した。日本側は陸海空の自衛隊、米側は海兵隊と陸海空軍が参加する予定だ。尖閣諸島が侵略された場合の奪還や、上陸を想定した役割分担などを確認する。領海侵入を繰り返す中国をけん制する狙いがある。岸氏は2プラス2後の共同記者会見で「米軍と自衛隊が共に行動する姿を示すことが抑止力の観点から重要だ」と語った。

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