米国の国防権限法(NDAA:National Defense Authorization Act)は国防授権法とも称され、米国の国防プログラムの承認と予算上限額を決定するもっとも重要な法律の一つで、毎年、上院・下院の両院一致案の可決を経て、大統領の署名をもって成立する。
2019会計年度の国防授権法は2018年8月13日、戦費を含め計7160億ドル(約80兆円)というこれまでにない国防予算を計上する法案にトランプ大統領が署名し成立している。台湾に関しては、台湾との実地訓練や軍事訓練を行う機会の促進や、台湾旅行法に基づいた米台双方の国防関連の高官などによる交流の促進が提言されていた。
2020会計年度の国防授権法は2019年12月20日にトランプ大統領が署名して成立。米台関係については、「台湾関係法」と、台湾への武器供与に終了期間を設けないことなどを公約した「台湾に対する『6つの保証』」を拠り所にすると明記し、「台湾旅行法」に基づいた米台高官の交流促進や人道支援分野における協力拡大等を提唱していた。
米国の2021会計年度は2020年10月1から2021年9月30日まで(Fiscal Year 2021/FY21)で、このほど上下両院によって一本化された国防授権法案が公表された。今後、上下両院で可決後、トランプ大統領の署名をもって成立する。すでに両院一致案がまとまったことから、両院で可決後、トランプ大統領も署名すると見られる。
法案の内容について、中央通信社は「台湾の国防力の近代化を米国がサポートすることを支持。また、『太平洋抑止イニシアチブ』(Pacific Deterrence Initiative、PDI)として22億米ドル(約2280億円)を投じ、米国の実力とインド太平洋地域における米国の地位と能力を強化し、中国の悪意ある行動を抑止する同盟国やパートナーを支援することも提言」されていると報じている。
トランプ政権下の上院も下院も、連邦議会は米国の「インド太平洋戦略」の拡充強化を旨とし、今後も台湾の国防力の近代化をサポートし、中国抑止を促進させてゆく方針だそうで、バイデン政権に替わったとしても成立した国防授権法の方針は変えられない。
—————————————————————————————–米国防権限法案、台湾の防衛力強化を支持 対中抑止イニシアチブも提案【中央通信社:2020年12月4日】
(ワシントン中央社)米連邦議会の上下両院によって一本化された2021会計年度の国防権限法(NDAA)が3日、下院軍事委員会共和党議員団によって公表された。台湾に関する部分では、台湾が十分な自己防衛力を維持するのを支援する姿勢が改めて示された。
同法案では、台湾の国防力の近代化を米国がサポートすることを支持。また、「太平洋抑止イニシアチブ」(Pacific Deterrence Initiative、PDI)として22億米ドル(約2280億円)を投じ、米国の実力とインド太平洋地域における米国の地位と能力を強化し、中国の悪意ある行動を抑止する同盟国やパートナーを支援することも提言された。
同法案は、上下両院でそれぞれ可決された後、大統領が署名して発効する。
(江今葉/編集:塚越西穂)
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