【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2020年3月26日】
◆イタリアの感染爆発は武漢華中師範大学の胡亜敏氏夫妻から
3月25日、新型コロナウイルスの世界の感染者数が累計40万人を突破しました。感染者数が最多の国は中国で8万人ですが、イタリアが7万人と、中国に肉薄しています。
また、死者数はイタリアが7503人で世界で最も多く、次いでスペインの3434人、中国は3281人で3位となっています。
ヨーロッパの死者は1万3581人で、世界の死者数約2万人の半数以上がヨーロッパという状態になっています。
このような状況下、中国外務省幹部が「新型コロナウイルスは中国由来ではないかもしれない」「アメリカ軍が中国に持ち込んだ」などと発言するようになっており、責任転嫁に躍起になっています。
それどころか、中国は新型コロナウイルスに「勝った」と宣言、「世界は中国に感謝せよ」とまで言い出していることは、以前のメルマガでも述べました。
ところで、なぜこれほどまでヨーロッパで新型コロナウイルスが広がってしまったのでしょうか。EUではシェンゲン協定によって人やモノ、資金の移動の自由を保障しているため、感染者の往来が頻繁に行われてきたということもあるでしょう。
そして、イタリアで感染爆発が起こっている理由としては、2019年3月に、G7(主要7カ国)ではじめて「一帯一路」に参加し、中国との関係を強めてきたことを指摘する専門家も少なくありません。
中国はイタリアの服飾産業に投資し、経営参加を進めてきましたし、サッカーの有名クラブであるインテル・ミラノのオーナー企業は中国の蘇寧グループです。またACミランもかつては中国人実業家のリー・ヨンホンがオーナーを務めるなど、中国は積極的にイタリアへ投資や進出してきました。
産経新聞の古森義久氏によれば、ワシントンのウッドローウィルソン国際学術センターのマーシー・クオ研究員が「コロナウイルスがイタリアを襲う・中国との絆の実験」という論文、ベルギー・ブリュッセルの研究機関「ロシア欧州アジア研究センター」のテレサ・ファロン所長が「中国、イタリア、そしてコロナウイルス・地政学とプロパガンダ」という論文で、こうした中国との密接関係が、新型コロナウイルス感染の温床になったと指摘しているそうです。
台湾の自由時報は、イタリアで最初に感染者として確認されたのは、武漢華中師範大学の前文学院院長の胡亜敏氏とその夫であり、しかもこの2人の感染は、ヨーロッパにおいて感染確認された最初の2例のうちのひとつだと報じています。
しかも、胡亜敏氏は中国共産党員だということもあり、ネットでは「千里投毒」、つまり遠いところまで行って毒をまき散らしてきた張本人として、大きく批判されています。
シルクロードを通じて中国大陸を訪れたイタリア人旅行家といえば、マルコポーロが有名ですが、習近平もイタリアとの「一帯一路」におけるインフラ投資に関する覚書調印に際して、マルコポーロの名を出して、中国とイタリアの絆を強調しました。
「一帯一路」は別名「シルクロード構想」とも呼ばれています。海と陸のシルクロードを通じて、中国からヨーロッパ、アフリカまで巨大な経済圏を構築するという構想であり、シルクロードを通って中国を訪れたマルコポーロは象徴的存在であるわけです。
そして、2019年3月にこの覚書調印が行われてから、中国人のビジネスマンや観光客が大挙してイタリアを訪れるようになりました。
「ロイター」(2019年8月20日)は、「イタリアに中国人が大挙、21世紀版シルクロードが呼び水」というタイトルの記事を掲載、覚書調印後の2019年5月〜8月にかけて、イタリアを訪れた中国人観光客は、前年同期比31%増加、アジアからの観光客の数としては最も大きな伸びだったことを報じています。
胡亜敏氏夫妻も、こうしてイタリアを訪れた中国人の一人だったというわけです。
◆一帯一路のルートに沿うように感染は拡大
マルコポーロの時代、中国大陸を支配していたのはモンゴル帝国の大元でした。いうまでもなく、モンゴル帝国は世界覇権を目指して中東やヨーロッパまで勢力を広げましたが、その過程で、ペストが拡散したことは有名です。
14世紀にはヨーロッパでペストが大流行し、ヨーロッパの人口の3分の1近くが亡くなったとされていますが、それも中国大陸で発生したペストがモンゴル帝国の勢力拡大によって拡散したことが原因でした。
そういう意味では、中国の勢力圏拡大を目指す「一帯一路」の覚書が調印された後、イタリアおよびヨーロッパで疫病感染が拡大したことは、示唆に富んでいます。
じっさい、一帯一路のルートに沿うように感染は拡大しています。
そして、現在、心配されているのが、ラテンアメリカとアフリカへの感染拡大です。開発途上国であるため、日・米・欧のように医療衛生面はあまり進んでいません。
東京も小池都知事の外出自粛の呼びかけがありましたが、日本も世界的なパンデミックの嵐の下では、決して安全、安心ではありません。
ただ、日本はかつての江戸鎖国という歴史があり、いまでも内需依存の国ですから、水と食料以外には心配は比較的少ないと思います。それに対して、外需依存の貿易・通商国家などは極めて危険な状況でしょう。
もちろん経済が崩壊すれば、政治体制も変わらざるをえない国も出てくるでしょう。今回のパンデミックによって、世界秩序は大きく変貌していくでしょう。パンデミック前と後では、世界は大きく変貌するものと思われます。
ところで、志村けん氏が新型コロナウイルスに感染したことが報じられましたが、台湾でも大きなニュースとなっています。
志村氏は2002年に、俳優の金城武氏と台湾旅行のCMに出演したことがあり、また、台湾でお気に入りのマッサージ店があるなど、台湾通としても知られています。
台湾では、2015年に木村拓哉氏と映画監督のジョン・ウーが撮影した台湾旅行のCMと「どちらが好きか?」といった論争が起こったこともあります。結果は、金城・志村の圧勝だったそうです。志村氏の一刻も早い回復を祈ります。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。