この演説では「我々は中国共産党の指導を堅持」するとも述べられたそうだが、台湾との関係を強化し、中国との不均衡な貿易関係を是正しようとする米国では、中国というより、中国共産党を批判する声が相次いだ。
共和党の重鎮で、上院多数党院内総務のミッチ・マコーネル議員は「中国共産党の行動は十数億人の中国人に悲劇をもたらした」と、中国共産党を非難する声明を発表し、同じく共和党のミット・ロムニー上院議員も、10月1日に発表した声明で「共産党の執政70年は、残忍な抑圧と検閲の連続だ」と述べているという。大紀元紙が伝えているので下記にご紹介したい。
ミッチ・マコーネル上院議員は、トランプ政権下で運輸長官を務める台湾出身のイレーン・チャオ氏を妻としているものの、トランプ大統領とはあまり反りがよくないとも言われる。が、中国共産党批判ではトランプ大統領と足並みがそろう。
本誌でお伝えしたように、米国上院議員のトード・ヤング議員とジェフ・マークレイ議員は9月23日、中国共産党による国連への影響力と活動の調査を求める法案を外交委員会に提出し、この法案にも端的に現れているが、米国は政府も議員も一党独裁を70年以上続ける「中国共産党批判」では一致しているようだ。
トランプ大統領は2017年12月18日に発表した「国家安全保障戦略」において、米国の国益や価値観と対極にある世界を形成しようとする修正主義勢力としてロシアと中国を位置づけ、国防省も2018年1月19日発表の「国家防衛戦略」でロシアと中国を「主要脅威」としている。
トランプ大統領にかけられていた「ロシア疑惑」が晴れた現在、残るは中国だ。米国の中国への姿勢は揺るがない。それどころか、中国には一切手を抜かないその姿勢からは「中国共産党潰し」とも思える気迫さえ感じさせる。
それにしても、日米同盟を組む米国がこれだけ中国共産党批判を繰り返しているにもかかわらず、日本の国会議員からの声はまったくと言っていいほど聞こえてこない。台湾との関係を強化しようという声も聞こえない。なんとも不可思議な現象ではあるが、中国の微笑外交に騙されてはいけない。
—————————————————————————————–「共産党、中国十数億人の悲劇の根源」米共和党重鎮、建国70年に声明【大紀元:2019年10月2日】
https://www.epochtimes.jp/p/2019/10/47818.html写真:米国上院多数党院内総務ミッチ・マコーネル議員は、中国共産党の創立70周年に合わせた発 表の中で、同党の動きは十数億人以上の中国の人々の悲劇の根源だと述べたGettyImages)
米国上院多数党院内総務ミッチ・マコーネル議員は、中国建国70周年に合わせて声明を発表した。中国を支配する共産党は十数億の中国の人々の悲劇の根源であり、さらに周辺国への脅威だと述べた。
「中国建国70周年に際して、中国共産党の下で何百万人もの命が失われたことを、改めて認識すべきだ」マコーネル氏は声明で述べた。さらに、「中国共産党は香港で民衆に暴力を振るい続けている」と付け加えた。
マコーネル氏は、毛沢東時代のような現代中国の監視システムを批判した。「新疆ウイグル人を監禁する現代のグラグから、情報の流れを制御するファイアウォールおよび検閲システム、国家レベルでの広範なハイテク監視まで、中国はすべて党の支配下にあり、人々は不安を抱えている。毛沢東時代の現代版のようだ」と書いた。
マコーネル氏は共和党幹部で、1992年に香港政策法の通過を促進したベテラン議員。同氏は、香港での4カ月に及ぶ市民の抗議活動について非常に懸念している。同氏は中国共産党政府に対して、香港問題で武力を使わないよう何度も公に警告している。
「中国共産党の行動は十数億人の中国人に悲劇をもたらした。中国の人民は、北京の指導者からもっと大切にされ、より多くの自由を享受すべきだった」
「中国の人々に起きたこの悲劇は、中国共産党が隣国にとって脅威であることを証明した。この大国が、自国民を取り扱う手段を見れば、外国人がどのように扱われるかを考えなければならない」
10月1日、北京で一糸乱れぬ兵隊の行進と新型兵器を披露するパレードが行われたが、香港では警察が初めて実弾を発射し、18歳の高校生の胸に命中した。英字主要通信社ほか世界中のマスメディアがこの事件を報じ、北京の「祝賀」ムードに暗い影を落とした。
米議会の多くの議員は、緊張がエスカレートする香港政府による暴力の使用を非難し、自由を希求する香港市民を支持している。
共和党のミット・ロムニー上院議員は同日に発表した声明で、共産党の執政70年は、残忍な抑圧と検閲の連続だとした。専制体制の中国は、「世界の自由に対する最大の脅威」と表現した。
民主党と共和党の上下両院10人以上の議員は、香港の高校生が警察に銃撃された事件について、懸念する声をあげた。一部の議員は、10月1日を国慶節として祝うべきではないと書いた。
◆台湾総統「共産党は文明に対する脅威」
建国70年を迎え、台湾総統府も声明を発表し、中国の独裁を非難した。中国は台湾に脅威を与え、「平和的な統一」を主張しながら、軍拡と武力行使の選択を捨てていないとした。
習近平国家主席は、北京での大規模な軍事パレードでの演説で「祖国の完全な統一のために努力し続ける」と述べた。この発言を受けて、台湾政府の大陸政策を担う大陸委員会は、台湾は「一国二制度」を決して受け入れないと述べた。
「中国共産党は70年にわたり一党独裁政権を維持してきた。民主主義、自由、人権の価値を侵害し、中国本土の正常な発展に難題をもたらしてきた」「共産党の言う『団結』、『偉大な再建』、『統一』などの言葉は、力の拡張の言い訳に過ぎず、地域の平和と世界の民主主義、文明に対して深刻な脅威だ」とした。
(翻訳編集・佐渡道世)