切り出したのは中国側で、習近平・中国国家主席は1月2日、人民大会堂で台湾政策に関し、平和統一の実現、一国二制度適用、「一つの中国」原則の堅持、中台の融合・発展、統一意識の増進という包括的な演説を行い、外部の干渉や台湾独立派の活動に対しては「武力放棄は約束しない。必要な措置の選択肢を留保する」と表明した。
恐らくトランプ大統領が12月31日に「アジア再保証イニシアチブ法案」に署名したことを受けての演説内容のようだが、台湾の蔡英文総統はこの演説を受け、2日午後、総統府で記者会見を開き、下記の談話を発表したという。
<「われわれは一貫して92年コンセンサスを認めていない」と台湾の立場を明確にした上で、「北京当局が定義する92年コンセンサスとは一つの中国、一国二制度だ。対岸の指導者のきょうの談話はわれわれの懸念を証明した」と言及。台湾は一国二制度を決して受け入れず、「大多数の台湾の民意も一国二制度に断固反対している。これも台湾のコンセンサスだ」と主張した。>(中央通信社)
台湾は、中国があげたきな臭い狼煙(のろし)に敢然と立ち向かう姿勢を示した。
————————————————————————————-中国主席が台湾との平和的統一主張、武力行使排除せず 台湾反発【ロイター:2018年1月2日】
[北京 2日 ロイター] 中国の習近平国家主席は2日、北京の人民大会堂で演説し、中国には台湾統一のために武力を行使する権利があるとした上で、平和的な「統一」を目指す考えを示した。台湾の蔡英文総統はこれに反発し、中国は民主主義を受け入れるべきと主張した。
中国は台湾と中国の一部とみなしており、独立派の民進党の蔡政権誕生後、台湾への圧力を強めてきた。
習主席は、中国が台湾政策を武力行使から対話に転換した「台湾同胞に告げる書」の発表から40年を記念する式典で演説した。
その中で、「統一」は台湾を中国の一部として受け入れる「一つの中国」の原則の下で実現する必要があると訴えた。
また、台湾の大多数の人は独立が「大惨事」につながることをはっきりと認識していると指摘。その上で「中国が中国人を攻撃することはない。最大限の誠意と努力によって平和統一を目指す用意がある」と強調した。
一方で武力行使しないとは約束せず、平和統一の目標を達成し台湾独立を阻止するため、あらゆる必要な手段を講じる選択肢を保持すると述べた。
ただ、標的となるのは外国勢力による干渉や、ごく少数の台湾独立勢力とその活動だとした。米国を念頭に置いた発言とみられるが、詳細には踏み込まなかった。
「一つの中国」の原則を受け入れるなら、台湾のいかなる政党とも統一に向けた政治プロセスの推進に向けて協議する用意があるとの立場もあらためて示した。
さらに「平和統一後、台湾には持続的な平和や豊かな生活がもたらされる」とし、住民の懸念払しょくに努めた。
これを受けて蔡総統は記者団に、台湾は「一国二制度」を決して受け入れず、民主的社会を誇りに思っていると主張。
「台湾の大半の住民は『一国二制度』に断固反対だ。これは『台湾のコンセンサス』だ」と述べた。
そのうえで「われわれは、中国に対し、勇気をもって民主主義に向け踏み出すよう呼び掛ける。それによってはじめて台湾の考え方や主張を真に理解できる」と語った。