た。しかし、台湾には日本人が住み、日本に台湾人も住み、互いの経済交流なども活発だ。そこで
日本は「財団法人交流協会」、台湾は「亜東関係協会」を設立、その年の12月に「財団法人交流協
会と亜東関係協会との間の在外事務所相互設置に関する取決め」を交わし、日本は台湾との関係を
「非政府間の実務関係」と位置づけて交流を保ってきている。
交流協会が「日本台湾交流協会」と名称を変更したのは本年の1月1日。どことの交流なのか業務
内容がはっきりしないなどの理由による。45年目にしてようやく改称し、日台交流正常化への道筋
を示した。
台湾の外交部(外務省に相当)は「新名称は協会業務の実際の意味合いをはっきり反映させたも
ので、台日関係が正しい方向に発展していることを示している」と歓迎したのと対照的に、中国外
務省はこの名称変更は「『二つの中国』のたくらみ」だと強烈な不満を表明し、日本に抗議してき
たのは未だ耳目に新しい。
日本側の改称により、台北駐日経済文化代表処の代表をつとめた許世楷氏は、亜東関係協会の名
称も日本側に合わせて変更するよう提言、台湾の外交部も検討する考えを明らかにしていた。
本誌でこのニュースを伝えた際、「日本がこれまでの交流協会の頭に『日本台湾』と付したのな
ら、亜東関係協会は頭に『台湾日本』と付して『台湾日本関係協会』という名称もいいかもしれな
い」とコメントしたが、なんと嬉しいことにその通りに名称を変更するという。心からこの正名に
祝意を表したい。
3月6日、李大維・外交部長は立法院の外交及び国防委員会における質疑応答で、亜東関係協会の
名称を「台湾日本関係協会」に変更することを明らかにした。
産経新聞は「すでに亜東関係協会の理事会での決定を終え、行政院(内閣)での手続き中」と報
じている(下記)。
また、日本台湾交流協会への改称に伴い、出先機関の名称も、大使館に相当する台北事務所は
「日本台湾交流協会台北事務所」に、領事館に総統する高雄事務所も「日本台湾交流協会高雄事務
所」と改称している。
当然、亜東関係協会の日本の出先機関である東京の「台北駐日経済文化代表処」も改称の対象と
なる。産経新聞は、李・外交部長が「『台北』を『台湾』に改称したいとの意向を日本側に伝えた
ことも明らかにした」ことを伝えている。
外交部としては「台湾駐日経済文化代表処」への名称変更を希望しており、日本側に伝えたもの
の「今のところ『進展はない』」(中央通信社)というが、機関名称の変更は相手国の同意を得る
必要があり、すでに亜東関係協会の「台湾日本関係協会」への改称に日本側が同意しているのだか
ら、それに伴う変更だから特段の問題はないだろう。
ただ、以前から「台北駐日経済文化代表処」の名称は長くて覚えにくいという不満が出ていた。
せっかくのチャンスなのだから「台湾駐日経済文化代表処」ではなく「台湾駐日代表処」でいいの
ではないか。
実は、3月5日、台湾独立建国聯盟日本本部が「台湾2・28時局講演会」を開いた際に来賓として
臨席した謝長廷・代表(大使に相当)が亜東関係協会の改称について触れ、亜東関係協会の理事会
での決定を終えて行政院で手続き中であることを明らかにして参加者を驚かせた。会場から盛大な
拍手が巻き起こったのは言うまでもない。
謝代表は「台北駐日経済文化代表処」の名称変更についても触れたが、あまりにも長いこの名称
にも不満そうな口ぶりだった。やはり、「台湾駐日経済文化代表処」ではなく短くスッキリと「台
湾駐日代表処」、またはアメリカは「駐日米国大使館」、イギリスも「駐日英国大使館」なのだか
ら、台湾も「駐日台湾代表処」でいって欲しいものだ。
台湾の窓口機関も名称変更へ
【産経新聞:2017年3月6日】
【台北=田中靖人】台湾の李大維外交部長(外相に相当)は6日、台湾の対日窓口機関「亜東関
係協会」の名称を「台湾日本関係協会」に変更することを明らかにした。立法院(国会)での質疑
での発言を中央通信社が伝えた。
日本の対台湾窓口機関、交流協会が今年1月から「日本台湾交流協会」に名称を変更したことに
ともなう措置。すでに亜東関係協会の理事会での決定を終え、行政院(内閣)での手続き中という。
李氏は、日本での出先機関「台北駐日経済文化代表処」についても、「台北」を「台湾」に改称
したいとの意向を日本側に伝えたことも明らかにした。