だけで出撃できる海兵隊が米国の在外公館の警備を担当している。
台北市内湖区に建設中の米国在台協会(AIT)台北事務所は今年中に完成すると言われるが、
この警備を海兵隊が担うことが明らかとなった。
これは、米国のシンクタンク「Global Taiwan Institute」が15日(米国時間)に開催したトラ
ンプ大統領の対台湾政策に関するシンポジウムの席上、挨拶に立ったスティーブン・ヤング元米国
在台協会台北事務所長がAITのビルには海兵隊が配備され、これは米国による台湾重視の「具体
的な象徴だ」と述べ、明らかにした。
米国は昨年7月、下院で可決された「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の
基礎とすることを再確認する両院一致決議案」を上院でも可決し、「台湾への武器供与の終了期日
を定めない」など「6つの保証」を台湾関係法とともに米台関係の基礎とした。
また12月には、米軍の高官や国防関係幹部職員が台湾軍の高官や国防関係幹部職員との交流を盛
り込んだ「2017国防授権法案」(NDAA: National Defense Authorization Act)という画期的
な法案を上下両院で可決し、12月23日、オバマ大統領が署名して法案が成立している。
その上で、米国在台協会台北事務所に在外公館と同じく海兵隊を配備するというのだ。トランプ
政権になってますます米国の台湾重視姿勢が鮮明となってきた。
それにしても、ジョン・ボルトン元米国連大使が在沖縄米軍の台湾への一部移転案を1月17日付
の「ウォールストリート・ジャーナル」紙に発表したが、海兵隊は沖縄から移転させるつもりなの
だろうか。また、何人くらい配備されるのか。気になるところだ。その規模からも米国の台湾重視
の程度が推し量れるからだ。
なお、下記に紹介する中央通信社の記事に「AIT台北事務所では、2005年から軍人外交官が勤
務」とある。軍人外交官とは、在外公館に派遣されている「防衛駐在官」に相当する役割を担う外
交官のことだろう。日本も、日本台湾交流協会台北事務所には2003年から「防衛担当主任」が勤務
している。
米対台湾窓口機関の台北事務所、海兵隊が警備へ=元所長
【政治】 2017/02/16 17:18
(ワシントン 16日 中央社)米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)台北事務所(大使
館に相当)で過去に所長を務めたことのあるスティーブン・ヤング氏は15日、台北市内湖区に建設
中の新事務所について、警備は海兵隊が担当するとの認識を示した。
米国の在外公館は通常、海兵隊が警備を担当しているが、米国はこれまで、台米関係を「非公式
の関係」とし、AITを民間機関だとしていたことから、海兵隊による警備が実現すれば、台米関
係の大きな変化になるとみられる。
ヤング氏は、「台湾の友人らに対する約束の表れだ」と強調。新事務所に海兵隊の関連施設を設
置する可能性があることにも触れた。同施設は世界各地の米国在外公館にもあるとし、現地職員の
社交の場になるとしている。
AIT台北事務所では、2005年から軍人外交官が勤務しているものの、軍服は着用していない。
(鄭崇生/編集:齊藤啓介)