下院で可決された際、米国の「国防授権法」(NDAA: National Defense Authorization Act)は国防権限法とも称され、米国の国防プログラムの承認と予算上限額を決定するもっとも重要な法律の一つだと言われ、毎年成立していることを書き添えた。
また、2017年度の国防授権法は、米国と台湾の間の軍と軍の関係を向上させるため、米軍の現役将官や国防総省の次官級以上の職員が台湾軍の高官や国防関係幹部職員と交流を実行すべきとする画期的な内容で、昨年12月23日にオバマ大統領の署名をもって成立していることもお伝えした。
トランプ大統領が2月の習近平との電話会談で明らかにしたように、米国の「『一つの中国』政策」( “one China” policy)とは米中間の3つの共同コミュニケと台湾関係法のことだが、米国の連邦議会上院は昨年7月6日、「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する第38号両院一致決議案」を可決している。つまり、米国は米台関係の基礎として「台湾に対する『6つの保証』」も加えたのだった。
その上で「2017国防授権法」と「2018国防授権法」を可決して台湾のさらなる関係強化を図っている。
さらに加えて、米国は台北市内湖区に建設中の米国在台協会(AIT)台北事務所の警備を海兵隊が担うことを明らかにしている。
今年2月15日、米国のシンクタンク「Global Taiwan Institute(GTI)」が開催したトラ ンプ大統領の対台湾政策に関するシンポジウムの席上、スティーブン・ヤングAIT台北事務所長がAITのビルには海兵隊が配備され、これは米国による台湾重視の「具体的な象徴だ」と述べたことで明らかになった。
通常、海兵隊が警備するのは米国の在外公館である。海兵隊は、議会の承認を必要とせず、大統領の命令だけで出撃できるからだ。国交のない台湾にあるAITも、海兵隊が警備するというのだ。
米国の台湾重視は、国内法の整備に止まらず、AIT警備という具体的な事柄にまで及んでいる。中国へ無言の圧力をかけているのは明白だろう。恐るべし米国!
—————————————————————————————–米上院、米台の軍艦相互訪問盛り込んだ国防権限法可決【中央通信社:2017年9月19日】
(ワシントン 19日 中央社)米上院は18日、米台の軍艦相互訪問などを盛り込んだ2018会計年度の国防権限法(NDAA)を賛成89、反対8の圧倒的多数で可決した。同案では、米政府は台湾との戦略的パートナーシップを強化するべきだと指摘。7月に下院を通過した案と同様、国防長官に対し、米軍艦の台湾の港への寄港、米太平洋軍司令部がハワイやグアムなどで台湾の軍艦を受け入れることへの可能性を評価した報告書を来年9月1日までに提出するよう求める内容が含まれた。
上院案ではまた、米政府は台湾が自律型無人潜水機(AUV)や水雷などを含む水中戦能力を発展させるに当たって関連の技術支援を行うことや、中華民国軍を合同軍事演習に招いて交流を深めることなどを提言している。
NDAAは今後、成立に向けて上下両院案の一本化が図られる。
(鄭崇生/編集:塚越西穂)