際、住民基本台帳(住民票)の表記を「中華人民共和国台湾省」や「中国(台湾)」か
ら「台湾」への改正を進める活動を推進しています。
杉並区や日野市では東京都の5月30日通達を受け、すでに「台湾」に正名されており、
東京都武蔵村山市でも、天目石要一郎市議が9月議会で質したところ「市民の要望どお
りに表記する」として台湾表記を認める答弁を引き出しています(9月20日発行、本誌
第867号)。
東京都の住民票通達を受け、住民票の台湾正名は全国に波及しています。石川県でも
去る10月1日に開かれた総務企画委員会において、宮元陸県議の質問に対して、担当部
長から台湾表記を認める旨の答弁があり、市町村からの問い合わせには公文書として回
答することもできるとの答弁を引き出しています。
特に「問題の国名等の表記については、そもそも国名についてこうしなければならな
いという縛りはない」との石川県の認識は、住民票の国籍表記が法務省の外登証におけ
る国籍表記の縛りから完全に自由になっていることを示しており、他の自治体にも認識
してもらいたい重要ポイントだ。
ここにその質疑応答を議事録速報からご紹介したい。
この石川県議会以外にも、9月、10月に開かれた全国各地の議会で同様の質疑応答が
行われているようですので、詳細が分かり次第お伝えいたします。 (編集部)
帰国者の住民基本台帳の表記内容について
【平成20年10月1日(水) 石川県議会総務企画委員会】
【宮元議員】外国人登録事務に関することについて。今年の5月に東京都が外国人の住
民票の表記に関して、今まで昭和62年に行われた都の通達では台湾人であっても中国人
として表記すべきと指導していた。それが平成12年の地方分権一括法で住民基本台帳の
業務が完全に市区町村に移行し、これにより、国名の表記につき市区町村が独自に判断
できるようになった。そこで都に対して以下のような問い合わせがあり、都が公文書で
回答した。その問い合わせとは「台湾からの転入者の場合、戸籍事務及び外国人登録事
務に準じて『中国』と標記することも、本人の届出によって『台湾』等と標記すること
も、区市町村長の判断として良いか。また、転出の場合も同様として差し支えないか。」
という問い合わせに対して、都は「差し支えない」という返事をしている。つまり、昭
和62年の通達から制度も大幅に変わり、市区町村の判断に任せるということになったわ
けであるが、台湾と表記してよいかどうかという問い合わせに対して都が差し支えない
と返答したのである。これは公文書として住民票に台湾表記を認めてもよいという初め
ての先例となっている。この問題について、おそらく石川県もそれぞれの市町村からい
ろいろな形で問い合わせがあったのではないか。台湾出身の方々が台湾出身であるから
台湾としたいと思っても、これまで東京都の場合は昭和62年からこれまで中国しか認め
られなかったのが、今では台湾でも書けると都が先例を示したわけであるが、県の対応
としてはどのような状況になっているのか説明してもらいたい。
【荒井部長】外国に1年以上、駐在・出張・留学した方が日本に帰国した場合には住所
地の市町村に転入届を出さなければならない。その際に、どの国から来たのかの表記に
ついて台湾と書いていいのか、中国と書かなければいけないのか、というご質問だと理
解している。これについては、お話しにあったように平成12年の地方分権一括法におい
て市町村の住民基本台帳事務は自治事務として扱われている。自治事務なので、住民基
本台帳事務の施行については自らの判断で市町村が行ってよいとなっている。問題の国
名等の表記については、そもそも国名についてこうしなければならないという縛りはな
く、さらに地方分権一括法以降は自治事務となっているので、市町村の判断でもって施
行することができると考えている。したがって、ご質問のようなお問い合わせがあれば
差し支えないと回答することになると考えている。
【宮元議員】確認するが、市町から問い合わせがあった場合に、たとえば文書で「本人
が台湾表記としたいということに対してそうしてよいか」という問い合わせに対して、
「差し支えない」ということを県の文書として公文書で出すことも十分可能であるとい
うことでよいか。当然、文書のやり取りがあるはずなので。
【荒井部長】基本的に事務の仕方について何らかの縛りを国なり県が掛けているという
ことはないので、改めてそのような回答をする必要があるかどうかという問題はあるか
と思うが、あえて文書で回答がほしいということになれば議員ご指摘のとおりになると
思われる。