温泉が予定どおり「温泉友好協定」を締結した。調印式には台湾側からの懇請により、松
山の「鉢合わせ」という神輿祭りが初めて海外でお披露目されたという。
豊かな温泉場を持つ日本と台湾ならではの「温泉友好交流」だ。これを機に、他の温泉
にも台湾との温泉交流が広がることを期待したい。
道後温泉と北投温泉の「温泉友好協定」について伝える産経新聞と朝日新聞の記事を下
記にご紹介したい。
道後温泉と友好協定 台北の北投温泉
【産経新聞:平成23(2011)年11月4日】
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111104/chn11110415180002-n1.htm
愛媛県松山市の道後温泉と台北市の北投温泉が4日、友好協定を結んだ。北投温泉の広場
での調印式には、道後温泉旅館協同組合の大木正治理事長、野志克仁松山市長らも参加し、
協定文書に調印した。
野志市長は「今後とも台湾と愛媛県、松山市の結び付きが深まることを祈ってます。道
後温泉は日本最古のいい温泉なので、ぜひ来て下さい」とあいさつした。
この日は台北の温泉祭り開幕イベントの一環として調印式が行われた。イベントには、
中村時広愛媛県知事や、松山の秋祭り「鉢合わせ」の関係者らも含め愛媛県から約300人が
参加。鉢合わせに使われるみこしも披露された。
北投温泉は、台湾の日本統治時代に温泉地として開発された。木造瓦屋根の建物や日本
庭園のある和風旅館が残る台湾有数の温泉地として知られている。(共同)
*写真:道後温泉と北投温泉が姉妹温泉に。新北投駅前の式典で披露された松山市の神輿
=4日午前(吉村剛史撮影)
*写真:台北市の北投温泉との友好協定を調印し、記念のお酒を受け取る道後温泉旅館協
同組合の大木正治理事長(右)=4日、台北(共同)
*写真:道後温泉と台北市の北投温泉の友好協定を調印し、台湾側へ記念品を贈る野志克
仁松山市長(右)=4日、台北(共同)
台湾でも「もてこーい」鉢合わせ初渡航
【朝日新聞:2011年10月29日】
http://mytown.asahi.com/ehime/news.php?k_id=39000001110290002
松山の秋祭りの華「鉢合わせ」が、初めて海を越える。11月、道後温泉旅館協同組合が
台湾・台北市の新北投(しんぺいとう)温泉と友好締結を結ぶイベントとして、現地で披
露される。松山を代表することになった「道後 伊佐爾波(いさにわ)湯(ゆ)神社 八
町会(はっちょうかい)」のメンバーは「海外で、日本の文化を発信してきます」と意気
込んでいる。
「もてこーい」「もてこーい」
日曜日の10月23日、松山市の駐車場に鉢合わせを呼ぶかけ声が響いていた。例年なら祭
りも終わり、練習する時期ではないのだが、今年は違う。本番の祭りは終わっても、今年
はさらなる舞台が待っているからだ。
鯉口(こいくち)と股引(ももひ)きの祭り衣装のかき夫たち180人が、練習用のみこし
を使って「かき比べ」や「差し上げ」などの動きを試していく。
ドシン──。手順を確認しながら、見事にみこしをぶつける。「思いのほか、いい当た
り!」。かき夫の中から声があがった。「どうじゃ! どうじゃ!」。本番さながらの迫
力。準備は万端だ。
台湾での鉢合わせは、11月4、5日に行われる。道後温泉と新北投温泉は、松山市に松山
空港、台北市に松山(しょうざん)空港を抱えるなどの縁で交流してきた。松山市が台湾
で行った観光展で、松山の祭りを映像で紹介したところ、鉢合わせに人気が集まり、台湾
側から「ぜひ、道後のみこしの鉢合わせを」と、熱烈なラブコールがあった。
松山市道後地区の八町会では「松山と台湾との友好の助けになれば」と快諾した。今回、
台湾で鉢合わせをするのは、「持田連合大神輿」と「北小唐人大神輿連合会」のみこしで、
八町会の清水完二事務局長(54)は「松山だけでなく、日本を代表する気持ち。台湾でも、
思いっきり鉢合わせます」と意気盛んだ。(奥村輝)
≪鉢合わせ≫ 松山地方祭の鉢合わせは、担いだみこし同士を激しくぶつけ合う。一説で
はみこしが街をまわる神幸(しんこう)の時に、上下左右に荒々しく揺さぶる魂振(たま
ふり)の一種と言われている。みこしに乗っているご神体を揺さぶることで活力を取り戻
してもらい、豊作や商売繁盛などを祈るものだとされている。松山市の祭り以外でも、松
前町や砥部町などでも行われている。