伝えしたとき、写真説明の一つに産経新聞の吉村剛史・台北支局長の写真説明「新北投駅
前の式典で披露された松山市の神輿」も紹介した。
吉村支局長がそのときの取材がてらの日台の温泉交流について、今日の朝刊の「台湾有
情」でつづっている。台北で「ああ、温泉に入りたい」と思ったら、30、40分くらいで北
投温泉にいける。それも、いわゆる日本家屋の温泉旅館で温泉に入ることができる。日台
で温泉交流をしない手はない。これからの日台を取り持つのは温泉だ。
台湾有情:温泉がとりもつ縁
【産経新聞:平成23(2011)年11月7日】
久しぶりに温泉につかりたくなったので、台北市北郊の北投温泉を訪ね、共同浴場の「瀧
乃湯」で一風呂浴びてきた。
日本統治時代からの伝統を持つ古い浴場で、手ぬぐいを頭に乗せて湯船で浪曲をうなっ
ていると、地元のお年寄りから日本語で「『一本刀土俵入り』ですね」と話しかけられ、
意気投合してしまった。
この浴場前の川で、明治後期に発見されたのが、ラジウムなどを含む鉱物・北投石。後
に同種の石が秋田県玉川温泉でも発見された縁から、今年8月、秋田県と台北市で「姉妹温
泉」締結も行われた。
日台共通の温泉文化を通じた交流が目的といい、4日からは玉川をはじめ、道後(愛媛)
伊東(静岡)草津(群馬)湯田(山口)の各温泉地関係者ら約260人を招いた第10回温泉祭
りも開催中だ。今回は台北松山空港と同じ「松山空港」を持つ縁から、道後と姉妹温泉を
締結。松山のおみこしも披露された。
台湾の作家、黄春明氏の代表作「さよなら・再見」は1970年代に日本でも翻訳出版され、
台湾に買春ツアーに訪れた日本人客を郷里の温泉場に案内するハメになった通訳の男のコ
ミカルな葛藤が衝撃的だったが、そんな時代が遠くなったことを日台双方のためにしみじ
み喜びたい温泉日和だった。(吉村剛史)