の第1回会合に向け都内で予備会合を開催、話し合いはスムーズに進み、5月7日に台北で開
催することで合意した。
交流協会が発表したプレスリリースによれば「(漁業)委員会の在り方等について議
論」したという(下記参照)。また報道によれば、双方が操業できる漁場での漁獲枠やト
ラブル発生時の対応策などについて意見交換」(時事通信)したと伝えられる。
安倍晋三首相は4月12日、10日に調印した「日台民間漁業取決め」(台湾側は「台日漁業
協定」と表記)について、報告のために官邸を訪れた交流協会の大橋光夫会長に「台湾は
大事なパートナーだ。日本と台湾にとって非常に良かった」と表明し、菅義偉・官房長官
は沖縄の漁業関係者への影響に関し「取り決めによって大きな痛手を受けないようきちん
と対応する」と強調したと伝えられている。
本紙でも紹介したように、1996年に協定締結を提案した李登輝元総統も「台湾の漁民の
ために早期妥結を望んできた私にとっても、じつに喜ばしいことである。まさに歴史的快
挙だ」(月刊「Voice」5月号「改稿版」)と絶賛した。
ただ、沖縄県や石垣市などはこの取決めに反発していて、仲井眞弘多・沖縄県知事は国
に対して「協定の見直しと、台湾漁船の取り締まり強化など」(4月25日)を求めており、
「沖縄と台湾の漁業者間のトラブルや混乱は避けられない。漁業機会が減り、漁獲高が減
少する可能性もある」(4月12日、高良倉吉・沖縄県副知事)ことを表明している。八重山
漁協など沖縄県内漁業者も取決めの見直しを求めている
この懸念ももっともで、沖縄タイムスは昨日、下記のニュースを伝えている。
<台湾のマグロはえ縄漁船が4月28日、竹富町鳩間島の北側約35キロの日本の排他的経済水
域(EEZ)内で操業しているのを八重山漁協所属の漁師が確認した。日台漁業協定で台
湾側に操業を認め、10日までに適用される「法令適用除外水域」外の海域で、違法操業と
なる。漁業者は「協定スタート前からルール破りだ」と不信感を募らせている。>
・台湾漁船が石垣北で違法操業【沖縄タイムス:2013年5月2日】
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-05-02_48767
17年にわたった交渉の末に「日台民間漁業取決め」を締結したことは歴史的快挙だ。し
かし、日本の漁民が「大きな痛手」を受けるのでは本末転倒で、そのような事態を未然に
防ぐよう政府としてしっかり対応すべきだ。台湾側も協定を締結した以上、協定を遵守
し、漁民たちが違法操業しないよう対応する義務がある。
ただ、本誌で何度か指摘しているように、「日台民間漁業取決め」は大枠合意であり、
漁獲枠やトラブル発生時の対応策などの細部は日台漁業委員会で詰めてゆくことになって
いる。それが、しつこいと思われるくらい日台漁業委員会について本誌が報じている理由
だ。
日本の漁民が痛手を受けず、台湾の漁民も喜んで漁ができる日台共栄の東シナ海になる
ことを願わずにはいられない。日台がいがみあえば、北叟(ほくそ)笑む国がある。
日台漁業委員会予備会合の結果について
【公益財団法人交流協会HP:2013年 5月 2日】
5月1日から2日にかけ、日台漁業委員会第1回会合の早期開催に向けた予備会合が、公益
財団法人交流協会本部会議室にて開催された。
出席者については、日本側は、交流協会本部総務部長を団長とし、オブザーバーとして
外務省、水産庁、海上保安庁及び沖縄海区漁業調整委員会の事務局を務める沖縄県庁の関
係者が出席した。台湾側は、駐日台北経済文化代表事務所業務部長を団長とし、オブザー
バーとして外交部、漁業署、海岸巡防署の関係者が出席した。
日台双方は、4月10日に署名された日台民間漁業取決めに基づいて設置される委員会の在
り方等について議論し、日台漁業委員会第1回会合を5月7日(火)に台北で開催することで
一致した。
【問い合わせ先】
公益財団法人交流協会(総務部部長 小松道彦)
電話:03-5573-2600(ex10)