登輝元総統が1996年に農林水産省に持ちかけて以来、17年目にして17回目の協議でようや
く妥結を見た。李登輝元総統は、先に本誌で紹介したように「台湾の漁民のために早期妥
結を望んできた私にとっても、じつに喜ばしいことである。まさに歴史的快挙だ」と喜ば
れている。
ただし、これも本誌で指摘してきたように、今回締結の「日台民間漁業取決め」は大筋
で合意したということであり、細部は「日台漁業委員会」で詰めていくということで「特
別協力水域における操業に関する具体的な事項については,この取決めの第3条に基づいて
設置する日台漁業委員会において協議される」(第2条「ウ」項)。となっている。
その第3条に定める「日台漁業委員会」は以下のように記している。
第3条
(1)両協会は,この取決めの目的を達成するため,日台漁業委員会(以下「委員会」とい
う。)を設置する。
(2)委員会は,両協会それぞれの代表又はその代理を含むそれぞれ二人の委員で構成す
る。
(3)委員会は,次の事項について討議し,その結果を議事録として記録する。両協会は,
委員会の議事録をそれぞれの関係当局に通報し,その内容が実施されるために必要な
措置をとるようそれぞれ関係当局に要請する。
(ア)取決め適用水域における海洋生物資源の維持が過度の開発によって脅かされな
いことを確保するための協力関係に関する事項
(イ)取決め適用水域における漁船の航行及び操業の安全を確保するための協力に関
する事項
(ウ)漁業分野での協力に関するその他の事項
(4)両協会それぞれの代表又はその代理は,会議を招集し,必要な専門知識を有する関係
機関の代表者を特別委員として招請することができる。
(5)委員会は,原則として毎年一回,東京と台北で交互に会合する。両協会が必要と認め
る場合には,臨時に会合することができる。
(6)委員会は,必要に応じ,漁業関連民間団体との間で共同会合を開催することができる。
(7)委員会の全ての決定は,出席する委員全員の合意により行う。
この規定に基づき、早くも来る4月29日と30日、東京において第1回目の「日台漁業委員
会」を開催するという。時事通信が伝えているのでご紹介したい。大きな難所を乗り越え
たことは確かだが、日台漁業協議はこの「漁業委員会」で本番を迎える。今後も注目して
いきたい。
29日から日台漁業委=尖閣周辺の漁獲枠を協議
【時事通信:2013年4月24日】
日本と台湾は29、30の両日、沖縄県・尖閣諸島周辺海域での漁業権をめぐる取り決め
(日台漁業協定)に基づき、操業ルールを決める日台漁業委員会の初会合を都内で開く。
双方の関係者が24日、明らかにした。協定で定められた水域で操業できる漁期や漁船の
数、漁獲枠などを協議する。