昨年4月の台湾東部地震で被災した国立東華大学原住民民族学院に本会が義捐金

昨年4月3日、台湾の東部海域でマグニチュード7.2、最大震度6強の地震が起こりました。

花蓮地震や台湾東部地震と称されるこの地震は、台湾では1999年の921大地震(集集地震)以降でもっとも大きな地震となり、太魯閣(タロコ)渓谷を観光していた方や倒壊したビルの下敷きとなった方など18人が亡くなり、花蓮市でも数棟のビルが倒壊するなどで多くの人が巻き込まれました。

そこで、これまで台湾の大きな災害に際して「お見舞い募金」を実施してきた本会は、4月8日から4月末まで義捐金を募る「お見舞い募金」活動を始めました。

お陰様で、昨年4月30日までに100を超える個人や団体から389万円の義捐金を寄せていただきました。

その後、本年10月末までに追加で義捐金が寄せられ、延べ129の個人・団体から寄せていただいた義捐金総額はちょうど400万円となりました。

お見舞い募金の案内状では、台北駐日経済文化代表処を通じて台湾政府にお届けする予定としていました。

しかし、昨年4月末に募金を終え、ゴールデンウィーク明けに代表処に確認すると、代表処は4月下旬に義捐金の現金受け取りを中止し、台湾の義捐金振込先になっていた衛生福利部も振込先銀行を5月3日に締め切っていたことが判明しました。

ちょうどそのころ、花蓮にある国立東華大学の校舎が地震による火事のために被災し、復興には日本円で120億円ほどかかり、現在、学生たちはオンラインで授業を続けているというニュースを目にしました。

実は、本会は2011年春に蔡焜燦先生が理事長だった李登輝民主協会に500本の河津桜の苗木をお贈りし、蔡先生はこの国立東華大学の原住民民族学院(原住民民族学部)の校舎近くの校庭に200本ほど植え、蔡先生の和歌を刻んだ石碑を建立していました。

翌2012年2月、本会は「2012台湾・お花見ツアー」として国立東華大学を訪れ、蔡焜燦先生や同会理事で台湾高座会会長を兼任していた李雪峰先生、国立東華大学・原住民民族学院の呉天泰院長などに植樹した河津桜や石碑をご案内していただいたことがありました。

そこで、義捐金の使途がよく分からない台湾政府や花蓮市などに贈るよりも 、ご縁がある国立東華大学に贈った方が有意義なのではないかと思い直し、ご仲介役を李登輝学校研修団で何度もご講義いただいていた原住民研究の第一人者でもある台湾中央研究院の黄智慧先生にお願いし、昨年5月下旬から取り組んでいただきました。

お忙しい黄智慧先生ですが、わざわざ 国立東華大学まで足を運んで被災状況や蔡先生の和歌を刻んだ石碑を確認し、以前からお知り合いだった 国立東華大学・原住民民族学院の石忠山院長(副学長を兼任)とも相談し、送り先は原住民民族学院が適切ではないかとのご助言をいただきました。

それが今年の8月30日のことです。

その後、黄智慧先生から今年9月3日に原住民民族学院が受け容れを快諾していただいた旨のご連絡があり、10月23日には原住民民族学院のお振込先をお届けいただきました。

そこで、11月3日からの第35回・李登輝学校研修団で訪台する前に振り込みを済ませておきたいと思い、10月30日に銀行から振り込もうとしましたら「海外送金した場合は、その後、国内に1週間は留まっていていただきたい」と言われ、これには驚きました。

これまで何度か台湾に送金していますが、振り込んでから1週間の国内待機という「しばり」があることを初めて知りました。

それを守れない場合は受け付けられないとのことでしたので、すでに11月3日から李登輝学校研修団で訪台するため、やむなくこの日の振り込みを断念しました。

その日のうちに、銀行に「海外送金の予約」手続きを取りましたが、なんと11月11日まで予約は満杯で、12日の12時が空いているという状態でした。

そのような事情で振り込みが遅れ、ようやく11月12日にお見舞い募金400万円の振り込みを終えました。

仲介していただいた中央研究院の黄智慧先生に振り込んだ旨をお伝えしたところ、国立東華大学・原住民民族学院の石院長にお伝えするとの返信をいただきました。

本誌購読者の皆様からもお見舞い募金にご協力いただいたにもかかわらず、なかなか報告がないのでご心配をおかけしたのではないかと思います。

そのような事情で遅れたことを報告させていただくとともに、多大なご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。

令和7年(2025年)11月17日

                             日本李登輝友の会 会  長 渡辺利夫                                      事務局長 柚原正敬


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